DOCTOR’S
STORIES
手の治療を専門とする副島 修先生のストーリー
私は、代々医師の家系に生まれました。佐賀県にある実家は、病院を開業しています。そのような環境で育ったためでしょうか。医師である父を間近で見ながら、迷うことなく医師を志すようになりました。逆に、ほかの道を考えたことはありません。
なかでも整形外科の道に進んだのは、福岡大学時代に所属していたテニス部の顧問である
高岸先生には、整形外科教室に入局後もたくさんのことを教わりました。特に、“愛と和”を大切にし、患者さん中心の医療を徹底する姿勢を学びました。先生のあたたかな指導もあり、私は整形外科の道に大きなやりがいを感じることができました。
高岸先生の下で整形外科の臨床について学んだ後は、4年間大学院で基礎研究に従事しました。その後、再び整形外科教室に戻ってきたのです。
高岸先生が退任後に教授に就任された、
正直にいうと、最初から手外科を専門とすることに前向きだったわけではありません。手は、整形外科が取り扱う分野の中でも複雑で、非常にとっつきにくい印象があったからです。手の外科は、骨、関節、靭帯、神経、血管など幅広い領域を扱います。また、非常に細かい操作が求められる分野でもあります。そのため、難しさを感じることもありましたが、取り組むうちに、手外科の魅力に惹かれていきました。
手の外傷や障害を、一見小さなことのように思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私たちは、日常生活や仕事、趣味など、あらゆる場面で手を使いながら暮らしています。手は、ときとして人間の尊厳に関わることもあるほど、重要な役割を果たすパーツであると考えています。
治療によって、患者さんが再び手をスムーズに動かすことができ、日常生活や仕事、趣味などを楽しむことができるようになる姿を見ると、大きなやりがいを感じます。
1993~1995年には、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)で手外科研究所への留学も経験しました。留学先では、診療や手術などをときどき見学しながら、Edward Diao教授の下で手外科の研究に従事しました。
「せっかく留学したからには何かをやり遂げて帰りたい」という思いもあり、あちこちの手を専門とする教授に手紙や電話で連絡をとり、他の州までインタビューに出かけたこともあります。そうして精力的に取り組んだ結果、留学の成果として、英語論文や著書を発表することができました。
また、家族で過ごす時間を多くもつことができ、留学生活はとてもよい思い出です。Diao先生とは、帰国後も家族ぐるみの付き合いが続いています。今でも、研究会や学会で会うたびに一緒にテニスを楽しむなど交流させていただいています。
留学から帰国後は、新たに教授に就任された
テニス肘とは、ものを持ち上げたりタオルをしぼったりする動作をしたときに、肘の外側に痛みが生じる病気です。中年以降でテニスを愛好する方に発症することも多いため、テニス肘と呼ばれています。一方、母指CM関節症とは、加齢などが原因で、親指の付け根の関節が変形していく病気です。女性の患者さんが多く、親指が使えなくなることで、家事ができなくなってしまうなどQOL(生活の質)に大きく影響を与える病気です。
テニス肘や母指CM関節症を治したいという思いで、近年では、オリジナルの手術にも取り組んでいます。たとえば、母指CM関節症に対する新しい関節形成術として、UCSFに留学していた時代にDiao先生が行っていた手術を改良しました。治療成績を検討しながら、今後もさらに改良を続けていくつもりです。また、後進を育成しながら、次の世代にも、手術手技を引き継いでいきたいと思っています。
私の原動力は、家族とテニスです。愛する家族の支えがあったからこそ、研究や診療に精力的に取り組むことができたと思っています。また、小学生のときにスタートしたテニスが大好きで、今でも週に3日はプレーを楽しんでいます。
最近では、リトアニアで行われた国際テニススポーツ医科学会議に出席しました(2019年)。同会議は、年に一度、世界各地のテニスを愛好する医師が一堂に介し、テニスに関連するスポーツ障害の治療と予防について研究報告する国際会議です。今回の会議で、私は、テニス肘について基調講演をさせていただきました。実は、18年前、福岡で開催された同会議で講演を行ったのは、私を整形外科の道に導いてくださった高岸直人先生でした。恩師と同じ大役に抜擢されたことを大変光栄に思うとともに、非常に感慨深かったです。
私は、医師として、次の4つを大切にしてきました。それは、向上心、ヒューマニティー、利他主義、説明責任です。
患者さんに対しては、特に分かりやすい説明を心がけてきました。たとえば、母指CM関節症やテニス肘の治療を行う際には、これまでのデータをお見せしたり、図を交えたりしながら、なるべく理解しやすいような説明に努めています。また、痛みがどれくらいで引くのかなど、術後の経過についてもお伝えするようにしています。
お話ししたように、私にとっての日々の原動力のひとつは、大好きなテニスです。同じスポーツを愛する者として、何らかの病気によってスポーツができなくなってしまう患者さんの辛さは痛いほどわかります。そのような患者さんが、治療によって再びスポーツなどの趣味を再開し、人生を楽しむことができるようになることは、私にとっての喜びでもあります。
私は、医師である限り、一生学び続ける必要があると思っています。今後も向上心を忘れず、ひとりでも多くの患者さんが人生を楽しむことができるよう、研鑽を積んでいくつもりです。
この記事を見て受診される場合、
是非メディカルノートを見たとお伝えください!
福岡山王病院
国際医療福祉大学 名誉教授
石橋 大海 先生
福岡山王病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 部長、福岡国際医療福祉大学 教授、九州大学 医学部 臨床教授
澤津橋 基広 先生
福岡山王病院 病院長/循環器センター長、高木病院 循環器センター長 、国際医療福祉大学 教授
横井 宏佳 先生
福岡山王病院 名誉病院長
中村 元一 先生
福岡山王病院 ハートリズムセンター センター長、国際医療福祉大学 大学院 教授
熊谷 浩一郎 先生
福岡山王病院 副院長・産婦人科 部長
福原 正生 先生
福岡山王病院 産婦人科部長
渡邊 良嗣 先生
福岡山王病院 神経内科、日本神経学会 代議員
赤松 直樹 先生
高邦会福岡山王病院 神経内科部長
谷脇 予志秀 先生
国際医療福祉大学 教授、福岡山王病院 膵臓内科・神経内分泌腫瘍センター長
伊藤 鉄英 先生
福岡山王病院 泌尿器科 部長、福岡国際医療福祉大学 特任教授
野村 博之 先生
福岡山王病院 消化器外科 部長、福岡国際医療福祉大学 特任准教授
愛洲 尚哉 先生
福岡山王病院 整形外科 関節外科センター長、福岡国際医療福祉大学 医療学部 教授
佐伯 和彦 先生
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