インタビュー

スポーツ医学とは? 長い歴史を経て発展している分野

スポーツ医学とは? 長い歴史を経て発展している分野
副島 修 先生

福岡山王病院 整形外科部長、福岡国際医療福祉大学教授 教授

副島 修 先生

この記事の最終更新は2016年03月03日です。

古代エジプトを起源とするスポーツ医学の概念は時代とともに大きく変化しました。スポーツを対象とするほか、最近では健康増進という観点でもスポーツ医学が採り入れられています。そのような経緯をたどってきているスポーツ医学の現状について、福岡山王病院 整形外科部長の副島修先生にお話を伺いました。

スポーツ医学の概念は紀元前にまで遡り、古代エジプトでの治療体操や中国の呼吸体操といったものが起源だといわれています。また、スポーツが医学の対象として研究されるようになったのは、近代オリンピックの再興がはじまりとされます。オリンピックはスポーツ医学の発展に大きく関与したともいわれており、実際日本で1964年に開催された東京オリンピックは、日本がスポーツを医学的および科学的にとらえる機会となったことが知られています。

プロレベルや国レベルで行われる国際競技やオリンピックでは、競技団体ごとにサポートする医師が組織されていることが多く、当然ながらサポートする医師がいる国のほうが競技の成績も良好です。このように、国をあげて競技に勝つことが求められる国際大会などを背景にして、医学のスポーツへの関与が求められるようになったといわれています。

現在ではスポーツの裾野が広がり、トップレベルの選手だけに限らず、アマチュアレベルや高齢者の健康増進のための体操などもスポーツの範疇に含まれるようになりました。高齢社会を迎えた日本においては、健康増進という観点からも、スポーツの需要が今後さらに高まることが予想されています。

スポーツ医学は、 大きく「スポーツ外傷」と「スポーツ障害」のふたつに分類されます。

スポーツ外傷というのは、比較的大きな1回のケガなどによって起こるもので、骨折脱臼捻挫や創傷などがこれにあたります。一方、スポーツ障害というのは、使い過ぎ(オーバーユース)によって起こる故障のことで、競技を行うスポーツの種類によって故障する箇所も異なります。代表的な疾患としては野球肘テニス肘水泳肩、ランナー膝などがあります。

(野球肘の詳細については記事2『野球肘とは? 子どもに起こるスポーツ障害』を、テニス肘の詳細については記事4『テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とは』を参照)

スポーツによるケガや故障を起こす部位については、投げるスポーツであれば腕や上肢のことが多く、肩や肘、手首に故障をきたします。走る競技であれば足に多くみられ、サッカーであれば膝や足首が多くなります。アメリカンフットボールやラグビー、柔道といったコンタクト競技になると、ケガや障害の箇所がまた異なってきます。

スポーツ医学では、上記のように体のパーツ別に診る場合と、野球やテニス、サッカーや水泳といった競技別に診る場合とがあります。スポーツ整形外科においては、肘や手首、膝や肩といったように体のパーツ別で診ることが一般的です。私は特に肘や手首を得意としているので、野球やテニスという競技の選手を診ることが多くなります。

スポーツ医学(整形外科)の領域は、スポーツによる外傷や障害の治療および予防のほか、リハビリテーションやロコモティブシンドローム(運動器の障害によって要介護になるリスクが高い状態になること)対策としての体力作りや健康増進など幅広い分野を対象としています。今後、その役割はさらに広がっていくと考えられています。

(関連記事:大江隆史先生『ロコモティブシンドロームとは。定義を知って対策しよう』も参照してみてください)

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    副島 修 先生

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