武田病院はJR・近鉄・地下鉄線の“京都駅”より徒歩5分という好立地にあり、地元では“駅前の武田病院”としてランドマーク的な存在となっています。同院は京都市の下京区と南区周辺の救急医療と地域医療を支える中核的な病院として存在感があります。そんな同院が現在提供している医療の内容や今後の展望について、院長の武田 純先生に伺いました。
当院は病床数384床・17の診療科を備え総合的な診療を行うとともに、急性期病院として二次救急にも対応しています(2024年1月時点)。心臓血管外科・循環器内科・脳神経外科・内科・外科が24時間体制で診断や治療を行っており、“断らない救急”を実践できるよう努めています。当院の患者さんは京都市内が8割を占めますが、立地条件から、近隣県からの患者さんや観光客が残りの2割を占めています。すなわち、駅周辺に宿泊施設が多いことから、修学旅行生を含む観光客の健康障害の対応も重要なミッションになっています。
京都市内には大学病院などの大規模な病院も多く、患者さんが適切な医療を受けるためには病院ごとの役割分担も大切だと考えています。当院はその中でも脳卒中や心筋梗塞などの心血管イベント、骨折や外傷といった外科系疾患などの二次救急を主に担っています。また、当院で急性期の治療を終えた患者さんをその後も適切な医療につなげられるよう、地域のかかりつけの先生や回復リハビリテーション機能を持った病院との連携も重視しています。
当院には、循環器センターや心不全センター、脳卒中センターなど複数のセンターが存在し、より専門的な治療を提供できるよう努めています。たとえば循環器センターでは、循環器内科、不整脈科、心臓血管外科の3科クロスオーバーによる“心血管治療チーム”を組織しており、診療科の垣根なく治療にあたっています。
脳卒中センターでは、脳卒中や血栓の診断、治療を得意としており、2020年より日本脳卒中学会認定の一次脳卒中センター (primary stroke center: PSC) コア施設に指定されています。センターはSCU(脳卒中集中治療室)6床を備えており、院内の関連診療科と連携を取りながら24時間365日体制で診断、治療にあたっています。
心不全センターでは医師、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士、臨床工学技士、臨床検査技師、ソーシャルワーカーなどのオール専門職がチームをつくり、心不全の急性期治療や慢性病態の悪化予防に取り組んでいます。
そのほかにも、不整脈治療センター(不整脈科)や呼吸器センター、消化器センター、透析センター、神経脳血管センター(脳神経内科)などがあり、同じくチーム医療で高度の専門医療を実践できるよう取り組んでいます。
当院の強みは、急性期医療から地域医療まで幅広い医療を提供できることですが、それを支えているのは “ブリッジ・ザ・ギャップス(橋をかけよう)”という病院理念です。この理念は、当院と患者さんや地域社会の間はもちろんのこと、院内の各診療科や職域の間、当院と他の診療機関との間にまで、思いやりと信頼の架け橋をかけようという思いです。
たとえば、私の専門領域である糖尿病は多彩な合併症が現れるため、治療に際しては病態に合わせて各診療科や職域との連携が必須になります。同様に、地域の病院や施設との連携がうまく機能していることで、患者さんを地域の生活の中で適切な医療につなげることが可能となります。
この理念のもと、当院は「地域医療支援病院」としてかかりつけ医や住民に向けて、年に何回か研修会・講演会・教室を開催しています。また、地域に向けて“地域医療連携だより”を発行し医療情報を届けているほか、各医療機関向けには“地域医療連携ニュース”を発行することで当院の新しい機器やセンター設置などをお知らせし、信頼と安心のきずなを築けるよう努力を続けています。地域医師会との連携は特に重視しています。
また、当院は観光客の患者さんも多いので京都市観光課との連携が必要ですし、コロナ禍のワクチン接種や感染者対策では行政の担当課や保健所と連携を取り、医師会と一緒に対応にあたりました。さらに救急病院として、地域の消防署救急隊とのコミュニケーションも重視しており、年に数回程度、事例検討会を行っています。
当院では、このようなさまざまな医療連携をシームレスにするために“患者サポートセンター”を設置し、従来の入退院の窓口業務のほかに、病床の管理・調整や、診療科や職域を超えた連携マネージメントを推進してきました。さらに、同センターは地域コミュニケーションの窓口としての役割に加えて、地域を巻き込んだ医療研修の企画、広報などの業務も担当しています。さらに当院は外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)*の認証を取得しているので、センター内に「外国人医療支援部門」を設け、海外からの患者さんも安心して診療が受けられるように環境づくりにも努めています。現在、外国人患者は米国人・中国人を中心に年間1,000人以上**が受診されるので、翻訳ツールに加えて医療通訳を5人配置して対応しています(2024年1月時点)。
*外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP):一般社団法人 日本医療教育財団より認証を受けた認証医療機関は、医療を必要とする全ての外国人に安心、安全に医療を提供できる体制づくりを行っていることが証明されます。
**2018年度実績/外来:1,628、入院:23、合計:1,651
2021年度実績/外来:1,725、入院:43、合計:1,768
まずは、自身の健康管理を十分に行って病気を予防できる生活を送っていただきたいです。次いで、健康診断や各種検診を定期的に受けることで、病気の早期発見に努めていただければと思います。たとえば、自動車は定期的に車検を受けて、安全に快適に走れるようメンテナンスを行いますが、人間も同様の定期的メンテナンスが重要だと考えます。
もし気になる症状や病気の兆候が現れた場合は、まずはかかりつけ医を受診して相談しましょう。地域のクリニックで対応できない場合には、ご紹介をいただいて当院が対応します。当院でも対応が難しい場合には、適切に大学病院などと連携しますので、安心して受診していただければと思います。
康生会武田病院 病院長
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。