埼玉県西部に位置する日高市の緑豊かな環境に建つ旭ヶ丘病院は、地域医療の中核的な役割を担う病院です。2022年の新病棟開設を機に、回復期病院としての機能をさらに強化し、地域に根ざした信頼される病院として発展を続けています。
同院の役割や今後の展望について、院長である佐嶋 健一先生にお話を伺いました。
当院は、1953年の開設以来、70年以上にわたり地域住民の健康を支えるために尽力してきました。現在、142床の病床(一般病床19床、地域包括ケア病床26床、回復期リハビリテーション病床37床、療養病床60床)と、内科、外科、整形外科、小児科、婦人科など全14診療科を有しています。
また、同じ建物内には介護医療院(100床)を併設しており、医療から介護・福祉までこの地域の多様な医療ニーズに応えられるよう体制を整えています。
私が院長に就任したのは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起きた2020年のことなのですが、新型インフルエンザの流行に対応した経験があったため、それを生かし、今回のパンデミックでも迅速に対策を講じることができました。
当院では、コロナ禍初期からPCR検査のドライブスルー方式を導入し、検査対応数は1日約200人に上りました。また、ワクチンの集団接種も積極的に行い、1日200人のペースで接種を進めました。さらに、職員の協力のもとコロナ患者さんの入院受け入れを早期に決断し実施しました。
近年当院は、回復期病院へと方針転換を図り、リハビリテーションに注力するとともに、高齢者在宅医療の強化にも取り組んでいます。さらに2024年5月からは、24時間体制の訪問診療を開始し、現在、在宅療養支援病院として運営しております。また、当院が運営する訪問看護ステーションは、約20人のスタッフが在籍する充実した体制となっており、がん患者さんの在宅での看取りにも対応しています。
当院は地域の医療機関との連携にも力を入れて取り組んでおり、近隣の大学病院などからの患者さんの受け入れもスムーズに行っています。急性期治療を終えた患者さんが安心して療養を続けられるよう、今後も連携を強化しく所存です。
当院は、2024年12月より災害時連携病院として埼玉県から指定を受けており、平時からの備えに加え、災害時には迅速な対応を行えるように体制を整えています。その中核を担うのが、DMAT(災害派遣医療チーム)です。DMATとは、大規模災害発生時に迅速に被災地へ駆けつけ、救急治療や病院支援を行う専門的な医療チームのことです。実際に、2024年1月の能登半島地震の際には、当院からもAMAT隊員(全日本病院医療支援班)を派遣し、災害時の医療支援体制の強化に努めました。
また、当院が所属する医療グループ全体で、定期的に災害訓練を実施しています。2023年は、消防や近隣の医療学校と共同で自院にて災害時の模擬診察や模擬検査を行い、ドローンも活用しました。
現在、当院はベッドの稼働率が高く、新規患者さんの受け入れが困難な状況にあります。この状況改善のため、2026年8月を目途に57床の増床を行う予定です。現状では、増床後の人材確保が課題となっていますが、地域の医療ニーズに応えるべく着実に準備を進めてまいります。
私は、外科医としてのキャリアを積んできたなかで、“どんな状況でも患者さんをお断りしない”という姿勢を大切にしてきました。この姿勢は、地域の皆さまからの信頼に応えるためにも重要だと考えています。
当院は、急性期から回復期、在宅医療まで切れ目のないケアを提供できるよう努めています。また、マンモグラフィなどの医療機器も導入しており、検診にも力を入れて取り組んでいます。
“旭ヶ丘へ行けばどうにかなる”と地域の皆さまから思っていただけるように、今後もこの地域に根ざした病院として、信頼され、必要とされる存在であり続けたいと考えています。困ったときは、どうぞ旭ヶ丘病院にお越しください。
*医師や提供している医療についての内容、および本文中の数字は全て2025年9月時点のものです。
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