院長インタビュー

患者さんが受診しやすい病院に―牛久愛和総合病院

患者さんが受診しやすい病院に―牛久愛和総合病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]院長インタビュー

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茨城県牛久市にある牛久愛和総合病院は、病床数489床の総合病院で、茨城県の災害拠点病院にも指定されています。取手・竜ヶ崎保健2次医療圏の中核病院として親しまれている同院の地域での役割や今後ついて、院長の瀬下 明良(せしも あきよし)先生に伺いました。

先方提供
牛久愛和総合病院ご提供

牛久愛和総合病院の前身となった牛久中央病院は、1978年に開院しました。その後、1986年に牛久愛和病院に名称を変更、翌1987年に牛久愛和総合病院に名称変更をして現在に至ります。

当院では早くから、地域の医療機関との連携を深めてきました。1988年に牛久市健康センターが開設されると同時に、センター内の診療所と協力体制を確立。1994年には、地域の診療所との病診連携をスタートさせました。現在では200以上の診療所と連携しており、紹介の患者さんが約7割を占めています。

また、筑波大学をはじめ、東京医科大学茨城医療センター、東京女子医科大学とは医療連携を行うことで、十分な医療が提供できるよう努めています。

さらに地域の方々が自宅で安心して療養できるよう、1993年に訪問看護ステーションを設置。2000年には介護療養型医療施設の指定を受け、訪問介護、通所介護、訪問入浴介護、通所リハビリテーションなどを行う居宅介護事業も開始しました。

2005年には、敷地内に介護老人保健施設・春秋園を開設し、2021年には、サテライト医院のひたち野ステーションクリニックを開院。かかりつけとしての身近なクリニックから急性期医療、慢性期医療から介護分野まで、シームレスな医療サービスを提供しております。

2024年現在、茨城の県南地域の人口は、転出よりも転入の人数が多い状態となっています。若い世代の人口が増えれば、地域から求められる医療サービスも変わってくることでしょう。今後も地域の動向をしっかりとつかみ、地域の方々に寄り添える病院でありたいと思っています。

救急・外傷センターでは、24時間体制で常勤医師4名をはじめとするスタッフが常駐し、救急患者の受け入れにあたっています。救急車の応需数としては年間3,000台以上(2023年度実績)、救急車以外で来院される方への時間外診療も、年間約8,000件(2023年度実績)となっています。

当院は2次救急医療機関として”断らない医療”を目指しています。稲敷地区は当然のこと、取手市、つくば市、土浦市といった近隣都市からの救急要請についても応じています。

救急隊からのホットラインに対しては、医師が直接対応し、救急外来担当医が初期診療を行うER体制をとっています。集中治療が必要な重症の患者さんや、外傷の患者さんは、救急医療科で入院を担当。それ以外の救急患者さんは、必要であれば各診療科に引き継ぎ、継続して治療を行います。

また当院は災害拠点病院に指定されているため、DMAT(災害派遣医療チーム)も組織しています。ドクターカーもあり、消防から要請があった際には医師をはじめとする医療スタッフが急行し、現地での治療を行っています。

2009年より総合診療科を開設しています。総合診療科は、消化器や循環器といった体の部位ごとに診る診療科とは異なり、“体の調子が悪いけれど、どの科にかかればいいのか分からない”という患者さんの窓口となる診療科です。また、感染症のような分類が困難な病気や、いくつもの病気を抱えて総合的な治療が必要な患者さんも、総合診療科で治療にあたっています。

当院は地域の診療所からの紹介が患者数の7割程度を占めています。それ以外の紹介がなく新規来院される患者さんの場合、まずは総合診療科を受診してもらい、適切な診療科に引き継ぐというシステムをとっています。

特に高齢の方の場合、複数の病気を抱えているケースが少なくありません。総合診療科では各科の専門医の診断も取り入れて複合的な治療ができるので、患者さんの負担も軽減されることでしょう。

当院の位置する茨城県南部の特徴として、糖尿病を専門に治療できる医療機関が少ないということが挙げられます。当院では糖尿病・代謝内科を設置し、地域の糖尿病患者さんを積極的に受け入れています。

患者さんの年齢層は10代から高齢の方まで幅広く、糖尿病合併症のある方も多いので、ほかの診療科とも連携して全身管理を行っています。当院では、糖尿病の教育入院から透析治療、シャント手術など、糖尿病にまつわる治療がすべてシームレスでできるため、患者さんにかかるストレスも少なく治療を受けていただけます。

近年、IVRと呼ばれる治療法を取り入れる医療機関が増えてきました。IVRとは、レントゲンやCTなどの画像診断装置で体の内部の状態を見ながら、ごく細いカテーテルを血管内に通して治療する方法です。外科手術のように体を大きく切開することなく治療できるので、患者さんの負担が少なく、入院期間も短縮できるメリットがあります。

当院でも以前からIVRを行っていましたが、新たに血管内治療科を新設。血管外科医も在籍し、万全の体制でIVR治療を行っています。現在は、当院では、下肢静脈瘤などをはじめとする病気に対応しており、今後さらに幅広い治療が行えるよう、IVR対応の手術室を増設する予定です。

当院は開院当初より、救急医療、予防医療、高齢者医療を3本の柱として、地域医療に貢献することを理念としてきました。その中でも予防医療は、今後ますます注目されていくと考えています。

当院では健康増進施設“スポーツリラックス”を運営しており、加齢によって運動機能が衰えてくるフレイルの予防や、体力の維持のための指導を行っています。指導に当たるインストラクターのほか、医師をはじめとするメディカルスタッフもサポートに入っているため、一般的なジムよりも効果的な運動ができるのではないでしょうか。

また、病気に対する理解を深めてもらうため、無料の生活習慣病教室を定期的に開催しています。在宅療養の患者さんのケアに当たっている人に向けて、YouTubeに”床ずれチャンネル”を開設し、褥瘡(じょくそう)に関する情報の発信をしています。

以前は病院に親しみを持ってもらうため、敷地内に露店を出してお祭りイベントを行っていました。当日は院内の出入り自由で、施設の見学ツアーなども行われるため、病院について詳しく知ってもらうにはいい機会だったと思っています。コロナ禍によって近年は中止しておりますが、近いうちに復活させたいと考えています。

病院や医師への信頼を高め、地域医療を支えていくためには、こういった日常的なふれあいが重要ではないでしょうか。いざという時に頼っていただけるよう、今後も真摯に診療にあたるとともに、情報発信にも努めていきたいと思っています。

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