独立行政法人 地域医療機能推進機構 下関医療センター(以下、JCHO下関医療センター)は、山口県下関市の上新地町に位置しています。
診療科面では、特に脳神経系の病気を強みとしているほか、消化器内科や循環器内科などの内科系の診療科および眼科(アイセンター)や耳鼻咽喉科、皮膚科などの診療科にも注力しています。また、これからも地域の皆さんに安心して医療を受けていただくことに加えて、医療を通じて地域を豊かにしていくために、同院では地域医療構想や地域の病院の再編などにも積極的に取り組んでいきたいと、院長の山下智省先生はおっしゃっています。
JCHO下関医療センターについて、山下先生にお話を伺いました。
当院の前身は、1950年に開院した社会保険 下関厚生病院です。当時は戦後間もない時期であったことから、「荒廃してしまったこの地域に公的な病院がほしい」という地域の方々の強い要望により開設されたという経緯があります。1958年には下関厚生病院の運営法人は全国社会保険協会連合会となりました。2014年には独立行政法人 地域医療機能推進機構に法人が変わり、同時に病院の名前も現在のJCHO下関医療センターへと改称しました。前身の病院からの伝統を引き継ぎ、公的病院として求められる医療の提供に努めています。
当院は、脳神経系の病気に対する診療を下関厚生病院のときからの強みとしていて、「脳・神経センター」と「脳卒中センター」をそれぞれ設けています。
脳・神経センターは、脳神経外科や脳神経内科、神経放射線科、さらには当院の附属健康管理センターにて診療を行っている脳健診科(脳ドック)の4部門から成り立っています。脳神経外科と脳神経内科が連携して治療を行うことで、外科的な治療だけでなく内科的な治療の提供も可能です。また、神経放射線科や脳健診科とも連携をとることで、病気に対するより正確な診断に努めています。
脳・神経センターでは、脳腫瘍やくも膜下出血などの脳血管疾患から、頚椎や腰椎などの脊椎・脊髄系の病気、ほかにもパーキンソン病や偏頭痛まで幅広い病気に対応しています。
近年、脳血管疾患は日本の3大疾病の1つであるといわれています。当院では脳血管疾患に、より専門的かつ迅速に対応するために、脳・神経センターとは別に脳卒中センターを開設しました。
脳卒中センターでは、脳神経外科と脳神経内科、神経放射線科の3部門が連携し、脳血管疾患の診療を専門に行っています。また、リハビリテーション部との連携も行い、脳血管疾患の患者さん一人ひとりに適したリハビリテーションの提供に努めています。
2019年3月現在、当院には24の診療科を揃えており、受診していただいた患者さんに対して、より総合的な医療を提供できるように努めています。そのなかでも、特に消化器内科や循環器内科、血液内科、糖尿病内科などの内科系の診療科を強みとしています。一方で、眼科や耳鼻咽喉科、皮膚科などの診療科においても、必要な場合には外科系の治療を取り入れていることも当院の強みであると考えています。それらの強みを踏まえ、それぞれの診療科が密に連携を取りながら、地域の方々や患者さんから求められる医療を提供しています。
今後も地域の方々や患者さんに、より安心して医療を受けていただくためには、大きく2つの課題があると考えています。
1つ目は、医師数の充実を図ることです。医師の不足は、主に都心部に医師が偏在してしまうことから発生している問題だと考えています。そのため、今後は医師がどうしたら山口県あるいは下関市に残ってくれるのかを考え、若手の医師に「この地域に残りたい」と思ってもらえるような環境を構築していきたいと思います。
2つ目の課題は、今後の下関市の医療環境についてです。医師の不足や高齢化が深刻化していることから、地域医療構想および地域の病院の再編計画を行っていくことも、医療を通じて地域を豊かにしていくうえで必要になると考えています。
今後は山口県あるいは下関市全体で課題に向き合い、地域の医療機関や福祉施設と連携しながら、この課題を解決していけるように努めていきたいと思います。
地域の皆さんのなかには、すでにご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、この地域では高齢化や医師の不足が進んでいることから、地域医療構想および地域の病院の再編計画が検討されています。そのため、なかには現在の医療環境が変わってしまうことに不安を抱く方もいらっしゃるかもしれません。しかし、地域医療構想や病院の再編計画は、これからも地域の皆さんに安心して医療を受けていただくことに加えて、医療を通じて地域を豊かにしていくために計画されているものです。このことを地域の皆さんにも認知していただいたうえで、地域の皆さんの声を聴きながら、本当の意味で安定した医療が提供できる環境を構築していきたいと考えています。そのため、地域の皆さんには暖かく見守っていただけますと幸いです。
若手の医師の皆さんには、地方の病院で働くことにメリットがあることに気づいてほしいです。
近年では、特に地方の病院で医師が不足していることが、大きな問題となっています。その一方で、若手の医師が都心部に集中してしまう傾向があり、それが地方の病院に医師が不足してしまう原因であると考えています。もちろん、都心部の病院には、都心部ならではの魅力があると思います。地方の病院は、患者さんとの距離が近く、どのような状態にも対応することが求められます。そのため、患者さんに対してより責任感を身につけることができるという点が、地方の病院で働くことのメリットだと考えています。ややきついと感じてしまうときはありますが、医師としての根本的な倫理観や責務に対しての対応力を鍛えることはできると思います。そういう面も含めて、医師としてのキャリアを積むうえで、地方で働くこともぜひ視野に入れてみてほしいです。
JCHO下関医療センター 院長、山口大学医学部 臨床教授
JCHO下関医療センター 院長、山口大学医学部 臨床教授
日本内科学会 認定内科医日本消化器病学会 消化器病指導医日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・消化器内視鏡指導医日本肝臓学会 肝臓専門医・肝臓指導医日本臨床栄養代謝学会 認定医日本プライマリ・ケア連合学会 プライマリ・ケア認定医・指導医
1985年に山口大学医学部を卒業し、内科医師としてのキャリアをはじめる。2010年に下関厚生病院の副院長に就任し、2018年よりJCHO下関医療センターの院長を務める。「医師としてのキャリアの終盤に、病院経営にチャレンジする機会を与えられたことはとてもありがたい」との思いから、自院の経営にとどまらず、下関医療センターを地域医療の中核となる病院に育てるという高い目標を掲げ、地域医療に貢献し続けている。
山下 智省 先生の所属医療機関
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