院長インタビュー

患者さんとともに歩む医療─仙台整形外科病院の挑戦

患者さんとともに歩む医療─仙台整形外科病院の挑戦
佐藤 哲朗 先生

仙台整形外科病院 院長

佐藤 哲朗 先生

目次
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特定医療法人 白嶺会 仙台整形外科病院は宮城県仙台市で整形外科診療を提供しています。脊椎脊髄の疾患に対して内視鏡手術を提供し、患者さんに負担の少ない医療提供を目標に掲げ日々研鑽を重ねています。同院での診療や理想とする病院像について、院長の佐藤哲朗先生にお話を伺いました。

仙台整形外科病院─外観(仙台整形外科病院よりご提供)

仙台整形外科病院は1986年に開院し、さまざまな転機を迎え今日の医療提供へ発展しています。2006年に日本医療機能評価機構に認定されたことや2011年に発生した東日本大震災など、多くのことを経験しました。まず、日本医療機能評価機構に認定されるにあたって、病院内のシステム面の再整備を実施しました。

日本医療機能評価機構は、組織全体の運営管理や提供される医療について同機構がさまざまな見地から評価します。機能評価は提供している医療の水準や医療安全の面などから厳しい評価が出されます。この認定を受けたことで、医療安全の観点を見直し、患者さんに今まで以上によりよい医療を提供することが可能になったと思います。

また、2016年には脊椎脊髄内視鏡手術センターを、2018年には膝関節センターを新たに設置しました。各センターを設置したことで、部位ごとの診療を充実させることができたと思います。以下の項目では当院で行っている診療についてお話しいたします。

内視鏡を用いた手術の様子(仙台整形外科病院よりご提供)

当センターでは、脊椎や脊髄つまり背骨に発生する病気の治療を内視鏡を用いて行っています。内視鏡での手術は傷が小さく、患者さんの体に負担の少ない手術方法として期待され、実施している施設が増えています。

当センターで実施している脊椎内視鏡手術は中川副院長と高橋副院長が尽力し、脊椎疾患の手術数は毎年400件以上、その中で内視鏡を使用した手術は毎年300件以上となっています。内視鏡の手術が普及し、患者さんの体に負担の少ない治療方法をこれからも提供していきます。

脊椎疾患の中でも腰椎椎間板ヘルニア腰部脊柱管狭窄症の手術で内視鏡を用いることが多くあります。腰椎椎間板ヘルニアは、背骨をつなぐクッションの役割を持つ椎間板が突出してしまい、神経を圧迫することで足に痛みやしびれが現れます。

また、腰部脊柱管狭窄症は、加齢や背骨の病気により変形した椎間板と椎間関節(ついかんかんせつ)(上下の椎骨をつなげる関節)から骨が突出することで神経が圧迫されます。それにより、背筋を伸ばして立ったり歩いたりするとしびれや痛みがでて歩きにくくなります。

足に症状が出る場合や歩行が難しくなると患者さんの生活の質(QOL)が低下してしまうため、迅速な対応が求められます。

当センターでは脊椎の部位によっては従来の外科手術も行うことがあります。

2018年7月に開設した膝関節センターでは膝の靭帯再建術や半月板手術、変形性膝関節症などの治療を行っています。靭帯や半月板の損傷はスポーツ選手にも多く発生し、手術後に以前と同じようにスポーツに復帰できるように治療からリハビリテーションまでサポートが必要です。

変形性膝関節症は、加齢により関節軟骨が弾力性を失うことで生じます。関節軟骨は弾力性のある組織で、骨の関節面を覆っています。そのため、関節軟骨がすり減っていき関節が変形する病気です。

どちらの病気も膝に病態があるため、日常生活や就労に支障がでることがあります。膝関節センターではセンター長の柏葉副院長を中心に秋医師も診療に尽力し、患者さんの生活の質(QOL)を低下させないように努力しています。

膝関節手術の様子(仙台整形外科病院よりご提供)
仙台整形外科病院の外来待ち合わせ(仙台整形外科病院よりご提供)

2018年9月から、院内の全面禁煙を開始しています。職員だけでなく、患者さんにも禁煙を推奨しています。喫煙はさまざまな病気の原因と考えられていることもありますが、治療を開始したときに思うような結果が得られないこともあります。患者さんの中には喫煙が原因でCOPD慢性閉塞性肺疾患)のような症状をきたしていることもあり、治療の長期化も考えられます。

そのため、患者さんにも禁煙に協力してもらい、1日でも早い回復を目指してほしいと思います。

リハビリテーション室(仙台整形外科病院よりご提供)

当院のモットーである「ともに歩む医療」を実践するために、患者さんと医師がどういう関係性で医療を提供していくかを明確にしています。たとえば、アルピニストとガイドのような関係で患者さんと医師が医療に臨めればよいと思っています。(アルピニストとは、登山家の中でもアルプス山脈を主に登る登山家を指します。)

ガイドはアルピニストを無事に登頂させるという目的を持ち、それが達成した時には、アルピニストは登頂を果たした達成感を、ガイドはアルピニストを無事に登頂させることができた達成感を味わうことになります。

患者さんと医師も同じように、患者さんの病気からの治癒を共通の目的としてともに治療に臨む関係でありたいと思います。治療が終わり、喜んで帰宅する患者さんを見て医師もひとつの達成感を覚えます。

患者さんとともに歩み、医療を提供する姿勢を忘れずに実践していける病院になれるようにスタッフ一同努力を重ねていきます。

当院のモットーにある「ともに歩む医療」を実践してほしいと思います。患者さんの立場に立って、患者さんの求めている医療を提供することができることが大切だと思います。患者さんは一人ひとり病状が違いますし、求められる医療は異なります。押し付ける医療ではなく、患者さんの希望に沿った医療を提供できるように知識や手技を高めていってください。

もちろん、患者さんの希望する医療は病状などのさまざまな理由で提供することができない場合もあります。医師は患者さんの希望をくみ取りながら、よりよい医療を提供するために多くの知識が必要になります。当院では学会活動に積極的に取り組んでいる医師もいます。先輩医師から多くのことを学び、患者さんとともに歩む医療を提供できる医師になってください。

患者さんの体に負担の少ない手術を提供していくことを病院の治療目標に掲げています。内視鏡を用いた手術は侵襲が少なく早い社会復帰が期待されているため、治療後のリハビリテーションも重要になってきます。当院で治療した患者さんの回復期リハビリテーションだけでなく、近隣の医療機関からご紹介を受け、回復期リハビリテーションを提供しています。

治療後の経過観察も当院で行うことが多くあります。体力面や交通の面から経過観察の通院が難しい患者さんには、地域の医療機関と連携を取り、お住まいの近くでの通院のサポートもしています。そのため地域の医療機関との連携を密接にし、患者さんにスムーズに医療を受けていただきたいと思います。

治療から在宅復帰までのサポートを行い、患者さんによりよい医療を提供できるようにスタッフ一同研鑽を重ねてまいります。

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