院長インタビュー

地域に密着し、一人ひとりの患者さんに寄り添う―いづろ今村病院

地域に密着し、一人ひとりの患者さんに寄り添う―いづろ今村病院
黒野 明日嗣 先生

いづろ今村病院 院長

黒野 明日嗣 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年04月02日です。

公益財団法人慈愛会 いづろ今村病院は、鹿児島市堀江町にあります。以前は急性期医療に積極的に取り組んでいましたが、現在は同じ医療グループである今村総合病院(鹿児島市鴨池新町)に急性期機能を集約しており、同院は以前よりも一人ひとりの患者さんに焦点をあてた医療を提供しています(2018年7月時点)。

今回は、同院がチームで提供している医療や、同院の役割や思いについて、院長である黒野明日嗣先生にお話を伺いました。

いづろ今村病院 外観

いづろ今村病院 外観

当院は、1934年に今村産婦人科医院として発足し、創立から長い歴史を歩んできました。2017年には、名称を「今村病院」から「いづろ今村病院」へ変更し、現在にいたります。

当院は発足当時、産婦人科医院として運用していましたが、診療科の増加や病院機能の拡充を繰り返し、現在は14の診療科を備えています(2018年7月時点)。

当院名の「いづろ」とは、この周辺地域の名称ですが、南林寺(現 松原神社)にあった石灯籠にも由来しています。石灯籠は昔、灯台として、錦江湾の船を導く役割を担っていました。当院も石灯籠のように、この地域の方々を健康に導く病院になれるように、という意味を込めて「いづろ今村病院」という名称にしました。

当院では、人間ドックがん検診などを受けることが可能であり、病気の予防から診療までを一貫して提供できる病院です。しかし、これらは皆さんから自発的に受診していただくもので、地域には受診したことがない方も少なくありません。そこで当院は、皆さんが人間ドックやがん検診の重要性を知り、受診していただきやすくなるように、無料で健康講座を行うなど、地域の方々の健康意識を高める活動を行っています。

この地域の方々の医療と生活を担い、今まで以上に地域に必要とされる病院になれるよう、職員一同で尽力してまいります。

カンファレンス中の風景
カンファレンス中の風景

当院にある慈愛会糖尿病センターは、糖尿病内科と眼科によって構成されています。慈愛会糖尿病センターは、初期の糖尿病から、動脈硬化などの合併症が進行した糖尿病まで幅広く対応しており、2017年4月から2018年3月までの集計では、入院患者638名、初診外来患者835名と、多くの患者さんが当センターに来られています。

当センターはチーム医療を行っており、糖尿病専門医*、糖尿病看護認定看護師*、薬剤師、管理栄養士、理学療法士など、糖尿病の知識や診療の経験が豊富なスタッフによって、チームを構成しています。

糖尿病は、患者さんの生活習慣と深い関わりをもつ病気です。患者さんが実生活の中で、無理なく継続できる治療を行うことが重要ですので、チームで知識を出し合い、一人ひとりの患者さんに適した治療方法を考えています。

また、当センターには、眼科も備えています。糖尿病の三大合併症には、糖尿病網膜症という病気があり、日本の成人の失明原因のなかでは上位にあがる病気です。しかし、適切な時期に治療を行えば、失明を防ぐことができる病気ですので、通常の目の病気だけではなく、糖尿病網膜症の治療にも特化した眼科を設置し、診療を行っています。

糖尿病専門医…一般社団法人 日本糖尿病学会が認定する専門医

糖尿病看護認定看護師…公益社団法人 日本看護協会が認定する看護師

当院の消化器内科では、患者さんの体の負担が少なくなるような治療を心掛けており、内視鏡を使用した治療や手術を積極的に行っています。

一般的な消化器の病気以外に、潰瘍性大腸炎クローン病などの炎症性腸疾患(IBD)の診療にも注力しています。IBDとは、腸管に炎症をきたす病気であり、IBDそのものを完治させる治療方法は確立しておらず(2018年7月時点)、厚生労働省の指定難病として認められています。

当科では、患者さんの症状を改善し、生活の質を向上させることを目的に、多様な職種から構成されたIBDチームで診療にあたっています。

*IBDについての詳しい記事は、こちらをご覧ください。

総合外来案内の様子
総合外来案内の様子

地域包括ケアシステムとは、高齢者の方が要介護状態になっても、可能な限り住み慣れた地域で最期まで生活を送れるように、地域内でサポートし合うシステムのことです。

当院にある地域包括ケア病棟は、当院の急性期病棟や他病院で治療を受けた後、ご自宅に戻られることに対してまだ不安が残る患者さんの受け入れや、重症レベルではない急性期疾患の患者さんの入院治療などを行っており、急性期医療と在宅医療を結ぶための架け橋であることと、在宅医療を支援する2つの役割があります。

この地域の診療所やクリニックにかかっている患者さんが、重い病気になって急性期病院で治療を行ったあと、当院の地域包括ケア病棟で安心してご自宅に戻るまでをサポートし、もとのかかりつけの診療所やクリニックに通えるようにする。そのような地域包括ケアシステムを構築する役割の一端を今以上に担うため、当院の地域包括ケア病棟を活用し、地域医療に貢献してまいります。

いづろ今村病院 内観

いづろ今村病院 内観

当院では、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の取り組みを行っています。ACPとは、健康なときから人生の最終段階における医療について考える機会をもち、家族や医療、ケアチームと話し合うことです。

年を重ねると、慢性疾患にかかりやすくなり、入退院を繰り返して亡くなられていくケースが多くなってきます。こうした取り組みにより、「最期まで治療を」という判断であれば、当然しっかりと治療を行わせていただきますが、一方で「次に慢性疾患が悪化しても入院をしない」と判断をされている方は、残された時間を充実させるための準備ができます。どちらがよい判断なのかは、一人ひとりで全く違います。人生の最期の過ごし方について考えてみることは、よいことだと思います。

当院が、ご自身の健康や将来のことを考えるきっかけを、提供する場所になれたらと思います。そして、患者さんの意思を尊重し、寄り添って一緒に考え、判断のお力添えになれればと考えています。

黒野先生

軽い病気になったときにも気軽にお越しいただいたり、さまざまな相談をしていただけたりするような、距離が近い病院になりたいと考えています。もし当院では対処できない病気の場合でも、適切な病院の紹介をすることが可能ですので、安心してご利用ください。

この地域の皆さんが、安心していつでもかかることができる病院になれるように、職員一同、よりよい医療の提供に努めてまいりますので、これからもよろしくお願いいたします。

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