JCHO九州病院は、九州厚生年金病院として1955年に開設されました。2004年5月に現在地へ移転し、2014年より、独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)九州病院として再スタートを切りました。2024年6 月現在では、ベッド数575床を有する総合病院として地域の医療に貢献しています。
JCHO九州病院の取り組みについて、院長である内山 明彦先生にお伺いしました。
JCHO九州病院は、総合病院として幅広い診療科を有し、ほぼ全領域の診療をカバーしています。そのため、さまざまな病気を抱えている高齢者の方の診療などでも、病院内でほかの診療科と協力して対応することが可能です。
また、がん医療や周産期医療、循環器系の内科・外科など、各分野において力を注いでいます。
幅広い診療科を有する中でも、特に小児循環器科、小児心臓血管外科、新生児科、小児科、小児外科などは当院が強みとする領域の1つです。心疾患などの先天異常をもって生まれてくるお子さんだけでなく、循環器以外の形成異常をもっているお子さんの診療も行っており、さまざまな先天性疾患(生まれつきの病気)を診療できる体制があります。
また、2024年4月には成人・小児の循環器診療を統括する循環器センターを立ち上げました。これまでも当院では、先天性疾患の治療を受けていたお子さんが成人したあとも継続して診療を行ってきましたが、院内での医療提供体制を強化するために、センター化へと踏み切りました。先天性心疾患に対して、子どもから大人まで同じ病院で診療できるのは福岡県でも有数だと自負しています。
先天性心疾患では、年齢とともに病態が変化することや、一部の病気では早い年齢で肝硬変に至る場合もあり、豊富な知識と継続的な見守り体制が欠かせません。当院では、診療科を超えた情報共有を行い、チーム医療を推進することで適切な医療の提供を目指します。さらに、患者さんの妊娠・出産をはじめ、地域連携室との協働による就労支援など、患者さんが地域でその人らしく生活するためのサポート体制を整えています。
当院では、救急科専門医*をはじめ、各科の医師が救急部門を担当しています。地域周産期母子医療センターの指定を受けていることから、成人の初期対応だけでなく、小児科や新生児科、産婦人科領域の救急患者さんの対応にも尽力しています。また、北九州市は高齢化が進んでいる地域ということもあり、全国に57あるJCHO(地域医療機能推進機構)の病院の中でも当院は救急搬送受入件数が多い病院です。救急科を有する総合病院として、スタッフ一人ひとりが幅広い世代の患者さんを支える使命感をもって日々の診療に携わっています。
*救急科専門医…日本救急医学会による認定救急科専門医。
当院には48の診療科がある総合病院であり、救急や周産期の患者さんで当院にいらっしゃった患者さんで複数の病気のお持ちの方でも、総合病院のメリットを生かし各科が必要な医療を適切に提供します。
泌尿器科では、主に前立腺がんと腎がんの治療において、2015年から内視鏡下手術用の医療ロボット“ダヴィンチ”を導入し手術を実施しています。現在ではダヴィンチによる手術は消化器(胃、大腸)、産婦人科でも行っており、2024年6月からは2台目を導入しました。
循環器内科では、大動脈弁狭窄症の低侵襲治療の1つである“TAVI”を2020年度から開始し、現在まで年間平均25例程度を実施しています。この治療は手術台とX線撮影装置を組み合わせたハイブリッド手術室で行うもので、通常の手術室やカテーテル検査治療室などでは難しい複雑な治療を行うことが可能です。
また、消化器外科では2023年に655例の手術を行っており、内視鏡やダヴィンチを活用し患者さんの体への負担が少ない低侵襲な手術を積極的に行っています。
当院は地域がん診療連携拠点病院*です。手術、放射線治療、化学療法というがん治療の3本柱による集学的治療を提供でき、ほぼ全てのがんに対応しています。また、緩和ケアやがんサポートチームの活動にも力を入れており、当院内で一貫したがん治療をお受けいただけます。
手術においては先述したとおり、低侵襲な治療の提供に努めています。放射線治療では新しい機器を積極的に導入して高精度の放射線治療を行っているほか、小線源治療**の実績もあります。また、当院では近年進歩が著しい化学療法に対してもキャッチアップに努め、外来化学療法室20床を円滑に運用しています。
また当院は2023年10月よりがんゲノム医療連携病院として、九州大学病院と連携しています。当院で治療中の患者さんの中で、必要に応じてがん遺伝子パネル検査を受けていただき、患者さんに合う薬剤が見つかった場合は、それを用いた化学療法を受けていただくことができます。
*地域がん診療連携拠点病院…(JCHO九州病院の場合)北九州市を中心とする北九州医療圏において専門的ながん医療の提供や、地域におけるがん診療の連携協力体制の整備などの中心的役割を担う病院。
**小線源治療…放射線の線源を病変部に留置して根治を目指す治療。2003年7月に認可され、標準治療として普及している。
終末期の患者さんとご家族をサポートする緩和ケアでは、がんやその治療による痛み、精神面の不安等に寄り添い、必要なケアやサポートを提供します。当院は専門的な教育を受けた医師や看護師、管理栄養士や薬剤師といった多職種による緩和ケアチームを結成しており、患者さんとご家族が自分らしく生活していただけるようサポート体制を整えています。
また、がん相談支援センターでは、患者さんやご家族の方がいつでも、がんの專門相談員に相談できる窓口を設置しています。治療のことから医師とのかかわり方、心の悩みまで、どのようなことでもお気軽にご相談ください。
2014年の改築以降、臨床工学室(医療器材管理センター)で医療機器の点検や整備を行っています。ここでは、点滴関係の機器や、人工呼吸器、透析関係の機器など、病院内のさまざまな機器を一元的に、24時間体制で管理しています。
若い方には、やる気や情熱を常に持ち続けて、自分自身のレベルを高める努力をしていってほしいと思います。
また、病院にはさまざまな病状の患者さんがいらっしゃいますし、不安な気持ちで来院される方が多いため、優しい姿勢で接することが大切です。患者さんが今なにを希望しているのか、何を言ってほしいと思っているのか、そういったことを考えて行動してもらえればと思います。患者さんとしても、医師が話しながら時折笑顔を見せることで、少しでも勇気づけられるのではないでしょうか。
JCHO九州病院は1955年の開設以来、急性期医療を中心として地域からの信頼に応え続けてきました。この信頼は、各分野の医師たちが培ってきたものだと思います。今後も地域の方々に信頼されるよう、現状に満足せず、常に改善していけるような病院でありたいと考えています。
当院では、患者さんにふさわしい医療の提供を第一に考えていますが、同時にサービス、接遇の面でも気配りのできる病院を目指してまいります。また院内に意見箱を設けていますので、お気づきの点、ご要望されることなどあれば、率直なご意見を出していただきたいと思います。それらを参考にして、医療、病院の改善につなげていきたいと思います。
独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)九州病院 院長
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。