院長インタビュー

福知山市の医療を支え、魅力あふれる街づくりを目指す市立福知山市民病院

福知山市の医療を支え、魅力あふれる街づくりを目指す市立福知山市民病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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市立福知山市民病院は、地域がん診療連携拠点病院や地域救命救急センターなどの役割を担い、120年以上にわたって京都府福知山市の地域医療を支えてきました。2023年には紹介受診重点医療機関に指定され、地域のクリニックなどから紹介を受けた患者さんに対してより専門性の高い医療を提供しています。

そんな同院の特長について、病院長・病院事業管理者を務める阪上 順一(さかがみ じゅんいち)先生に伺いました。

外観(ご提供)
病院外観(市立福知山市民病院ご提供)

当院のルーツは、1898年に福知山市岡ノで開院した陸軍衛戌病院です。1945年には国立福知山病院となり、1970年の新病院建設に伴って今の所在地である福知山市厚中町へと移転しました。現在は計353床の病床を有し、地域がん診療連携拠点病院や地域救命救急センターなど多方面において地域医療の中心的な役割を担っています(2024年10月現在)。

当院の外来診療は広いエリアをカバーしており、所在地である京都府だけでなく隣接する兵庫県からも患者さんがお越しになります。そうした皆さまの信頼に応えるためにも、当院では日々医療体制の向上に努めています。

当院のある福知山市は、舞鶴若狭自動車道の福知山インターチェンジやJR福知山線・山陰本線を有する交通の要衝として発展し、大阪市や京都市のような都市部からのアクセスもスムーズです。また、株式会社 東洋経済新報社が発表した“住みよさランキング2023”では、福知山市が京都府内の中で1位になり、人気のある街として紹介されました。

福知山市は子育てがしやすい点が特長で、2013年から2017年までの統計によると、福知山市の特殊出生率(1人の女性が15歳~49歳の間で生むことが見込まれる子どもの数の平均)は2.02となっており、京都府で1位、本州では3位の非常に高い水準です。

当院は年間300件ほどの分娩を行っており、地域周産期母子医療センターとして指定されています。また、早産妊娠高血圧症候群など合併症のある妊娠前置胎盤などさまざまな周産期(妊娠・出産)のサポートを行っており、必要に応じて他科と連携を取りながら診療を行っています。

救命救急センターは、2012年に府内初の地域救命救急センターとして指定を受け、軽症から重症まで常時幅広く対応しています。福知山市消防本部と密に連携を取ることで、迅速な救急搬送が行われており、さらにドクターヘリの受け入れ病院としての役割も担っています。こうした面からみても、福知山市は安全性の高い住みよい街と言えるのではないでしょうか。

救命救急センター
救命救急センター内の初療室(市立福知山市民病院ご提供)

当院は、手術支援ロボットの中でも新しいモデルである“ダヴィンチ Xi”を導入し、低侵襲(ていしんしゅう)(体への負担が少ないこと)な治療に努めています。ダヴィンチ Xiは現在、泌尿器科、消化器外科をはじめ、呼吸器外科における肺がんの手術などに活用していますが、今後は産婦人科領域でも取り入れていこうと考えています。

整形外科では人工膝関節手術支援(じんこうしつかんせつしゅじゅつしえん)ロボット“ROSA Knee(ロザニー)”を導入し、変形性膝関節症の治療に役立てています。従来よりも精度の高い手術ができるようになりました。

そのほかの分野では、幹細胞を移植する再生医療に取り組んでいます。たとえば関節の治療では血小板のはたらきを活用したPFC-FD療法*を採用し、運動機能を阻害する関節や筋腱の修復に努めています。また稀少疾患にも対応している血液内科にはクリーンルーム(無菌室)を設け、白血病などに関する治療を行っています。

*PFC-FD療法について……自費診療(保険適用外)の治療です。

・費用(税込):診察・採血・血液検査代 16,500 円/注入代 154,000 円

・リスク・副作用:自身の血液を利用するため、アレルギーや拒否反応のリスクは非常に少ないと考えられ、深刻な有害事象の報告はありません。しかし、新しい治療法であるため今後新たなリスクが発見される可能性もあります。また、一人ひとりの血小板に含まれる成長因子の働きを活用した治療であるため、効果にはばらつきがあります。

当院は学会・論文発表などの学術活動を奨励しており、医師だけでなく看護師や理学療法士などのコメディカルも積極的に取り組んでいます。医療に対する向き合い方は人それぞれですが、医療活動のモチベーションの源泉は学術的好奇心によるところが大きいと思います。

当院では職員の学術活動を支えるために医療機器を取りそろえたり、研修医が研究成果を発表できる機会を設けたりしてサポートしています。

当院では職員による“ウグイス部隊”を結成して積極的なあいさつを推進しています。“あいさつは魔法の力”という言葉があります。あいさつを通じて心を開き、親身になって寄り添えば、患者さんの信頼にもつながっていくはずです。

職員全員が率先してあいさつを行い、地域の皆さんから「福知山市民病院の職員なら安心」と言っていただける存在になれれば幸いです。これからも当院は地域医療の中心的な役割を担い、誠実な医療活動に努めてまいります。

*病床数や診療科、医師、提供している医療の内容等についての情報は全て2024年10月時点のものです。

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