爪が剥がれる:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典
メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】
私たちが爪と呼んでいる硬い部分を爪甲、その下にある土台を爪床と呼びます。本来、爪甲と爪床はしっかりとくっついていて剥がれることはありません。しかし、さまざまな原因によって剥がれてしまうことがあります。また、原因の中には爪甲の表面が薄く剥がれるものもあります。
このような症状がみられる場合、何が原因になっているのでしょうか。
日常生活が原因となって爪が剥がれることも多くあります。その原因や対処法は以下の通りです。
爪床部から爪甲に絶えず水分が供給されていますが、指先が乾燥すると爪甲の水分量が減ります。乾燥によって爪が脆くなってしまうため、剥がれやすくなったり、でこぼこしたりと爪に異常がみられるようになります。
爪の表面からは常に水分が蒸発しています。手洗い後や入浴後などに保湿クリームを塗り、水分を逃がさないようにしてあげましょう。また、水仕事をする際にはプラスチック手袋などを使用して乾燥を防ぐようにしましょう。
ネイルのしすぎは、爪にダメージを与えたり水分を奪ってしまったりします。また、マニキュアで除光液を使いすぎることも爪の乾燥を引き起こし、爪を脆くなって剥がれるなどのトラブルを招くことがあります。
爪への負担になってしまうため、爪に何らかの異常がみられたときには極力つけないようにし、爪を休ませてあげましょう。この際、保湿クリームを塗るなどして乾燥予防に努めましょう。
上で挙げた対策を試しても爪の異常が続くような場合には、ほかに原因があるのかもしれません。原因をはっきりさせるためにも病院を受診することを考えましょう。
爪が剥がれる代表的な病気には、以下のようなものがあります。
俗に二枚爪と呼ばれているもので、爪甲の表面が先端のほうで薄く剥がれる状態を指します。乾燥による爪の水分量不足、爪への外力、鉄分不足などが原因と考えられ、乾燥しやすい冬に生じることが多いとされています。
爪甲が先端から剥がれ、浮き上がる状態を指します。特に女性に多く、部位では指の爪によくみられます。原因はカンジダなどによる感染症、接触皮膚炎や尋常性乾癬などの皮膚の病気、内科系の病気などさまざまで、基本的に剥がれた部位は白色または黄色っぽく変色しますが、細菌感染によるものでは緑色に変色することもあります。
原因によってはその病気に応じた症状を伴い、たとえば皮膚の病気なら爪が変形したり穴が開いたり、鉄欠乏性貧血や甲状腺機能の異常によるものでは動悸やめまい、疲れやすいなどの全身症状がみられる場合があります。
扁平苔癬とは、皮膚や粘膜に慢性的な炎症が引き起こされる病気で、爪にみられるものを爪扁平苔癬といいます。免疫細胞の異常が原因と考えられ、一部の爪甲が薄くなったり、縦に割れやすくなったりします。また、ときに爪が剥がれることもあります。
指をドアに挟むことや爪を引っ掛けるなどして、爪に外からの強い力が加わると剥がれる場合があります。外力の程度によっては爪が変形したり、爪の下の組織である爪床から出血したりすることもあります。通常は、激しい痛みを伴います。
外傷によって爪が剥がれて激しい痛みがある場合には早めに病院を受診し、何らかの皮膚症状や全身症状を伴う場合も受診を検討しましょう。
内科系の病気によって爪が剥がれることもありますが、爪の剥がれが主な症状であれば、まずは皮膚科への受診でよいでしょう。
問診の情報が診断材料になることも多いため、受診の際には、爪が剥がれたきっかけや気になる症状について、自身のわかる範囲で詳しく医師に伝えましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。