爪が黒い:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典
メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】
爪は主にタンパク質で形成される器官ですが、形状や硬度、色調などは栄養状態をはじめとした体調を示すバロメーターでもあります。特に、爪の色は健康状態によって変わりやすいばかりでなく、爪の病気やけがによって変色を生じることも少なくありません。
これらの症状がみられた場合、原因としてどのようなものが考えられるのでしょうか。
爪は環境や体調によって状態が変わりやすく、脆弱化することで爪床に出血が生じやすくなり、黒く変色する原因になることがあります。爪の黒い変色は病気やけがによるものもありますが、日常生活上の習慣が原因の場合も少なくありません。
爪は常に指先からの外力がはたらく部位であり、空気の乾燥などによって水分が失われて脆弱化することがあります。また、度重なるネイルカラーなども爪の上皮を変性させることがあります。脆弱化した爪は些細な刺激で爪床に出血を生じやすくなり、黒い変色の原因となりえます。
爪は乾燥に弱いため、空気が乾燥しやすい冬場などは保湿性のあるハンドクリームなどを使用するようにしましょう。また、ネイルカラーは頻回に行わず、爪の痛みがみられる場合は中止して爪を休ませましょう。
伸びた爪は、日常生活の動作の中で思わぬ部位に引っかかることでけがをすることがあります。けがによって爪を強く打ったり、爪が剥がれかけたりすると黒い変色の原因になることがあります。
爪の先端の白い部分が指の先に出ない長さに揃えて切ることが理想的です。また、丸い形に切ると深爪の原因などになるため、なるべく平たんに切るようにしましょう。
日常生活上の対処法を講じても爪の変色が改善しない場合は、何らかの病気が原因の可能性があります。中には早めに治療を始めることが望ましい病気もあるため、それぞれの症状にあった診療科を受診するようにしましょう。
健康的な爪は薄い紅色をしていますが、何らかの原因によって黒く変色することがあります。中には、以下のような病気が原因のこともあるため注意が必要です。
爪の変色は、爪に生じる病気が原因で引き起こされることがあります。爪が黒くなる主な病気には以下のようなものが挙げられます。
爪に黒い縦筋が現れる病気です。爪への真菌感染や度重なる刺激などによって、爪床(爪の下の皮膚)のメラノサイトが活性化することが原因です。通常は痛みなどを伴わず、爪の変色以外は自覚症状がありません。しかし、変色の範囲が広くなったり、色が濃くなったりする場合には、がんの可能性もあるため慎重な経過観察が必要です。
爪床や爪母(爪の根元)に発生する悪性黒色腫などの皮膚がんによって爪が黒く変色することがあります。爪の一部が隆起したり割れたりすることもあり、進行すると爪の脱落を引き起こします。また、爪の変色は徐々に爪周囲の皮膚にまで波及することが特徴で、痛みや出血を伴うことも少なくありません。
爪の色は、爪床の色調に左右されています。このため、指の強い打撲などによって爪の下に内出血を生じると爪が黒く変色することがあります。軽度であれば徐々に色は元に戻ります。しかし、重症な場合には内出血部を中心に爪が少しずつ剥がれ、脱落することもあります。
爪の黒い変色は、爪自体の病気やけがではなく、以下のような爪以外の病気によって引き起こされることがあります。
血友病や白血病、血小板減少性紫斑病など、血液の病気や肝機能障害などでは出血を引き起こしやすくなるため、些細な外力で爪の下に出血が生じ、爪が黒く変色することがあります。黒く変色する範囲や出血に伴う爪の変形の有無などはそれぞれの病気の重症度によって異なります。より出血が生じやすい場合には出血量も多くなるため、爪の脱落につながることがあります。
慢性閉塞性肺疾患や先天性心疾患などのように、血液中に酸素が不足しやすい病気によって血色が悪くなり、爪が青黒く変色することがあります。爪だけでなく、唇や手足の先端なども青黒い変色がみられ、酸素が大きく不足すると意識障害やけいれんなどの症状を引き起こすことがあります。
爪の黒い変色は日常的なけがでもしばしば起こりうるものであり、思い当たるけががある場合には、病院を受診せずに自然と治ることを待つ人も多いでしょう。しかし、中には思わぬ病気が潜んでいることもあるため注意が必要です。
爪に外力が加わった覚えがないのに爪が黒く変色した場合や、黒い変色が徐々に大きくなる場合、変色部分の爪の変形がみられる場合、強い痛みや爪の割れを伴う場合などはなるべく早めに病院を受診しましょう。
受診に適した診療科は皮膚科ですが、足の爪の場合は整形外科で診察してもらうこともよいでしょう。また、爪だけでなく体の症状がある場合には内科の受診がよいでしょう。
受診の際には、けがの有無、変色以外の爪の症状、いつから症状が現れたか、爪以外に生じる症状などについて詳しく医師に説明しましょう。かかっている病気や服用中の薬がある場合は、事前に情報を伝えておくと診療がスムーズに進むことがあります。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。