爪が痛い:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典

爪が痛い

聖マリアンナ医科大学 皮膚科 教授

門野 岳史 先生【監修】

爪はケラチンと呼ばれるタンパク質が主成分であり、硬く強度のある構造をしています。爪は指の腹に加わった外力を吸収して、物をつまむ動作や歩行などを円滑に行えるよう補助する役割を持ちます。このため、爪にはさまざまな外力が加わりやすく、痛みを引き起こすことも少なくありません。

  • 爪がときどき痛み、爪の付け根にしこりがある
  • 爪が弧を描くように変形し、爪の周囲が腫れて(うみ)が出る
  • 爪をぶつけて黒く変色し、痛みを伴う

これらの症状がみられた場合、原因としてどのようなものが考えられるでしょうか。

爪の痛みは日常生活上の習慣が原因のこともあります。原因となる主な習慣と、それぞれの対処法は以下の通りです。

足の大きさに対して過度に小さな靴や、ヒールが高すぎる靴を長時間着用すると足の親指の爪を中心に負担がかかり、痛みを引き起こすことがあります。

爪にやさしい靴とは

先端部位にゆとりがあり、爪が靴で圧迫されないサイズのものを選ぶようにしましょう。また、ヒールは適度な高さのものを選び、爪に体重がかかるような靴の長時間の着用は控えることも大切です。

爪の両端部を深く切りすぎると陥入爪(かんにゅうそう)の原因となることがあります。

正しく爪を切るには

爪は、できるだけ直線的に整えるようにし、両端部は適度に長さを残すことが大切です。また、爪の伸ばしすぎも爪が破損する原因になるため、こまめに長さを整えるようにしましょう。

足は汗が蒸れやすく、さまざまな細菌やカビが増殖するため不衛生になりやすい部位です。このため、爪周囲に小さな傷があると、そこから細菌感染を引き起こしたり、爪自体に感染が生じたりします。それによって、爪の痛みを引き起こすことがあります。

足を清潔に保つには

通気性・吸水性に優れた靴や靴下を着用するようにし、足を蒸らさないことがポイントです。長時間の外出時には、こまめに靴を脱いで蒸れを防ぐようにしましょう。

また、入浴時には足の指やその間をしっかりと洗浄しましょう。

日常生活上の対処法を講じても症状がよくならない場合は、思いもよらない非常に重い病気が潜んでいることがあります。見過ごさずに早めに病院を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

爪は日常的にさまざまな外力が加わる部位であるため、痛みを生じることは多々あります。原因は多岐に渡りますが、以下のような病気が原因のことも少なくありません。

爪の痛みは爪自体に生じる病気によって引き起こされていることがあります。原因となる主な病気は以下の通りです。

陥入爪(かんにゅうそう)

いわゆる巻き爪と呼ばれるもので、爪が()を描くように変形することで先端の両脇部分が爪周囲の皮膚(ひふ)や皮下組織に入り込む病気です。入り込んだ爪によって皮膚や皮下組織にダメージが加わります。そのため、痛みや発赤、熱感などが生じ、悪化すると細菌感染を引き起こして(うみ)の流出がみられることも少なくありません。

爪白癬(つめはくせん)

爪に白癬菌と呼ばれるカビの一種が感染することによって生じる病気です。いわゆる爪水虫と呼ばれるもので、手と足の指のどちらにも発症する可能性があります。

白癬菌が爪のケラチンを分解して増殖するため、爪が脆弱(ぜいじゃく)化してスカスカになり、分厚く肥厚(ひこう)することが特徴です。通常は痛みを伴いませんが、足の指に発症した場合には、靴が患部を圧迫することで痛みを引き起こすことも少なくありません。

爪の痛みは、爪自体ではなく爪周囲にできる病気によって引き起こされることがあります。原因となる主な病気は以下の通りです。

爪下血腫(そうかけっしゅ)

重いものを落としたり、転倒したりするなどして爪に強い外力が加わった際に、爪床(そうしょう)部に血腫が形成される病気です。爪は紫~黒色に変色します。血腫が大きい場合には、爪が爪床から徐々に浮き上がって脱落することがあります。強い痛みを伴うことが多く、特に爪を圧迫すると痛みが増すことが特徴です。

爪周囲炎(そうしゅういえん)、ひょう()など

爪の周囲の皮膚(ひふ)や皮下組織に炎症を生じる病気です。爪周囲炎の原因は多岐に渡り、ささくれや深爪、過度なネイルアートなどが原因となり、ひょう疽は、指先の小傷から細菌感染を生じることが原因です。いずれも爪の周辺に痛みを伴う発赤や腫れ、熱感がみられ、痛みが爪に放散することも少なくありません。

グロームス腫瘍(しゅよう)

爪床に生じる皮膚良性腫瘍の一種です。しこりが5ミリ程度の小さいうちから強い痛みを伴うことが特徴です。しこりが大きくなると爪の変形や発赤などを引き起こします。痛みは爪から腕にまで放散することもあり、圧迫すると痛みが増強します。

爪床部の皮膚がん

爪床部に悪性黒色腫有棘(ゆうきょく)細胞がんなどの皮膚(ひふ)がんを発症すると、進行した際に爪が変色・変形・脱落したり、潰瘍(かいよう)を形成したりすることで出血や痛みの原因になることがあります。症状の現れ方は皮膚がんの種類によって異なりますが、爪だけでなく爪周囲の皮膚にも病変(病気による変化がみられる箇所)が広がっていくことが特徴です。

爪の痛みは比較的発症頻度の高い症状であり、病院を受診せずにやり過ごしている人も多いでしょう。しかし、爪の痛みは、皮膚(ひふ)がんなど思わぬ病気が潜んでいるケースも少なくありません。軽く考えず、痛みが長引く場合は病院を受診する必要があります。

特に、爪の変形を伴う場合、痛みがひどく日常生活に支障をきたしている場合、爪が脱落した場合などは早めに病院を受診するようにしましょう。

受診に適した診療科は皮膚科や整形外科です。受診の際には、いつから爪が痛いのか、痛みの誘因、随伴する症状を詳しく医師に説明するようにしましょう。

受診の目安

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 爪の剥がれ、割れ、変色がある
  • 足の指に腫れ、赤み、皮膚の異常がある

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない
原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。