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足の爪がはがれる:医師が考える原因と対処法|症状辞典

足の爪がはがれる

受診の目安

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 痛み、出血がある
  • ケガなどきっかけがはっきりしている
  • 自然に剥がれる、少しの刺激で剥がれることを繰り返している

聖マリアンナ医科大学皮膚科 教授

門野 岳史 先生【監修】

足の爪はケラチンと呼ばれるタンパク質が主成分であり、固く強度が保たれています。このため、歩行時などに足の指の腹に伝わる外力が爪に吸収され、円滑な動作が可能になります。

一方で、足の指は外力がかかりやすい部位であり、その外力を吸収するはたらきを持つ爪はさまざまなダメージを受けて何らかの不快な症状を引き起こすことも少なくありません。中には、爪がはがれるといった症状が引き起こされることもあります。

  • 爪が白く厚くなり、ボロボロと崩れてはがれた
  • 爪の下にしこりのようなものができ、徐々に大きくなって爪が浮き上がってきた
  • 爪を強くぶつけて黒く変色し、根元からはがれた

このような症状がみられた場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。

爪は、爪の下の結合組織(爪床(そうしょう))と密着しており、通常は多少の外力が加わっただけではがれることはありません。しかし、以下のような病気によって足の爪がはがれてしまうことがあります。

足の爪自体に生じる病気が原因で、爪がはがれることがあります。爪のはがれの原因となる主な病気には以下のようなものが挙げられます。

爪甲剥離症(そうこうはくりしょう)

爪が先端部分から徐々に爪床(そうしょう)剥離(はくり)していく病気で、カンジダ感染症や乾癬(かんせん)などの皮膚(ひふ)疾患が原因となります。爪床()から剥離した部位は白く変色し、進行すると爪全体が爪床から剥離して脱落することも少なくありません。また、剥離した部位は細菌感染を引き起こしやすく、痛みや発赤などを生じることがあります。

爪白癬(つめはくせん)

一般的に爪水虫と呼ばれるもので、カビの一種である白癬菌(はくせんきん)が爪に感染することが原因で発症する病気です。白癬菌は、爪の主成分のケラチンを分解するはたらきがあり、爪が徐々に浸食されていくことで白くスカスカに変性し、外見上は爪が分厚くなったように見えます。しかし、進行すると(もろ)くなった爪が先端からボロボロと崩れ落ちるようになり、最終的には爪床から脱落します。また、分厚くなった爪が靴などに圧迫されると痛みを伴い、足の指の間にも白癬菌が感染して強いかゆみのある水疱(すいほう)の形成が見られることがあります。

爪下血腫(そうかけっしゅ)

爪に重い物を落としたり、強くぶつけたりするなど大きな外力がはたらくことで、爪床に血腫が形成されるものです。血腫が大きい場合には爪全体が赤黒く変色し、徐々に爪床から浮き上がって剥離を引き起こすことがあります。

グロームス腫瘍(しゅよう)

爪床や爪の根元にできる良性腫瘍の一種です。腫瘍が大きくなると爪が物理的に浮き上がり、爪床から剥離します。また、腫瘍自体に非常に強い痛みを生じることが特徴であり、治療は手術による腫瘍摘出です。

爪部皮膚がん

爪床や爪周囲にできる皮膚がんのことで、悪性黒色腫有棘(ゆうきょく)細胞がんなどが挙げられます。早期の段階では、小さなしこりやほくろなどができるのみで、自覚症状がないケースがほとんどです。しかし、進行してがんが大きくなると、爪が変形して剥離したり、出血や痛みなどがみられたりすることもあります。特に、悪性黒色腫は肺や脳に転移しやすく、全身にさまざまな症状を引き起こすことがあります。

爪やその周辺以外の部位の病気によって、足の爪がはがれやすくなることがあります。原因となる主な病気には、以下のようなものが挙げられます。

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血では、爪の強度が低下して脆くなります。その結果、足の指の腹などから伝わる慢性的な外力によって爪が反り返ったように変形するスプーン爪を示すことがあります。スプーン爪は痛みなどの症状は引き起こしませんが、悪化すると爪が先端部位からはがれて脱落する原因になります。

鉄欠乏性貧血
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栄養障害

爪はタンパク質などの栄養素から形成されるため、過度な栄養不良の状態が続くと正常な爪が形成されなくなって、爪の表面にでこぼこが生じることや、割れやすくなって剥離の原因になることがあります。通常の生活を営んでいれば、栄養不良に陥ることはまずありませんが、神経性食思不振症などによる極端な摂食量の低下、がんなどの消耗性疾患、腸炎などの栄養吸収障害を引き起こす病気によって栄養状態が悪化することがあります。

栄養失調
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足の爪がはがれた場合は、細菌感染を引き起こすこともあり、痛みによって歩行に支障が出ることもあります。そのため、なるべく早めに病院を受診するほうがよいでしょう。

特に、足の爪やその周囲のしこりが徐々に大きくなっている、非常に強い痛み・熱感・腫れがある、はがれた部位以外の爪にも変形や剥離(はくり)の兆候がある、このような場合には速やかな受診が必要です。

受診に適した診療科は整形外科や皮膚科ですが、動悸(どうき)や息切れなど、足の爪以外の症状がある場合は内科で相談することもひとつの方法です。受診の際には、いつから足の爪に異変が現れたのか、現在の爪の症状や随伴症状、ほかの爪の異常などを詳しく医師に説明するようにしましょう。

足の爪は、日常生活上の習慣が原因ではがれやすくなることがあります。主な原因とそれぞれの対処法は以下の通りです。

足の爪は、歩行時に靴による圧迫を受けやすく、特に先端が極端に細い靴やヒールの高い靴は母趾(ぼし)の爪に過剰な負荷を加えます。このような靴を長時間にわたって履き続けることで、爪が物理的に爪床(そうしょう)から浮き上がって剥離(はくり)する原因になることがあります。

足の爪に負担がかからない靴を選ぶには

靴は、足の爪に過度な負担がかからないような、先端の幅が自身の足のサイズと合っているものを選ぶようにしましょう。また、長時間の歩行が予想される場合は、ヒールの高い靴は避け、平らで歩きやすいものがおすすめです。

足の爪は普段目が行き届かない部位であるため、爪が伸びたままの状態になっていることがあります。爪を伸ばしすぎると、転倒したときや足の指をぶつけたときなどに爪が引っかかって剥離(はくり)を引き起こすことがあります。

足の爪を正しく切るには

足の爪は定期的にケアすることが大切です。余分な部分が足の指から出ない程度に爪を切りましょう。また、陥入爪(かんにゅうそう)の原因になるため、爪は一直線上に切ることもポイントです。

夏場など、サンダルを履く機会が多くなると、若い女性を中心に足の爪にもネイルアートやマニキュアを施す人がいます。これらは爪の上皮にダメージを与えて、爪の割れや爪の脆弱(ぜいじゃく)化を引き起こし、剥離(はくり)の原因になることがあります。

適度に爪を休ませるには

足の爪への過剰なネイルアートは避け、爪の先端が割れやすくなったり、爪の表面がボロボロと()けるような症状が見られたりした場合は、ネイルアートを取り除いて爪を休ませるようにしましょう。

日常生活上の対処法を講じても足の爪がはがれやすい場合は、思わぬ病気が潜んでいる可能性も考えられます。軽く考えずに、なるべく早くそれぞれの症状に合わせた診療科を受診するようにしましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。