足の裏が痛い:医師が考える原因と対処法|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
熊本回生会病院 院長補佐
中村 英一 先生【監修】
足の裏は歩いているとき、立っているとき、全体重がかかる負担のかかりやすい場所です。
このような症状が起こったとき、考えられる原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
足の裏が痛むとき、何らかの病気やケガが原因となっていることがあります。
足の裏はアーチ状の構造(土踏まず)によって地面からの衝撃を吸収できるようになっています。このアーチを支えているのが足底腱膜と呼ばれる線維の束です。
多くは、この足底腱膜が付着する踵骨側に炎症が起こり、かかとや土踏まずに痛みや腫れがみられます。長時間の歩行やランニング、立ち仕事などをする人に多いといわれています。
歩行をしようと足を1歩踏み出したときに強い痛みを感じることがあります。
滑液包とは、皮膚や筋肉、腱、靭帯と骨がこすれる部分で衝撃を吸収する役割を担っている部分です。その滑液包が炎症を起こすことがあり、かかとの足底部に発生したものを踵骨滑液包炎といいます。
スポーツや歩きすぎなどでアキレス腱やかかとを使いすぎたとき、ハイヒールなど足に負担のかかる靴を長時間履いていたときなどに起こりやすいといわれています。かかとやかかとの底がズキズキと痛み、腫れることもあります。
足の親指の付け根には、種子骨という小さな骨があり筋肉や腱の動きを助けています。この種子骨に炎症が起こったものが種子骨障害で、歩く、走る、踏み込むなどの動作をしたとき、親指の付け根のふくらみに痛みを感じます。指で押したり、足の親指をそらしたりした場合にも痛みが起こります。
陸上選手やバスケットボール選手、踏み込むことの多い剣道や空手などの格闘技をする人に多く見られます。
人によっては、外脛骨という舟状骨に余分な骨を持っている場合があり、この骨が運動などの負荷によって炎症を起こしたものが外脛骨障害です。内くるぶしの前側で足の裏に近い部分を押すと痛んだり、そこに出っ張りが現れたりします。
外脛骨障害は、サッカーやバスケットボールのように、走っている途中で急に止まる、といった動作が多いスポーツ選手に多いといわれています。
かかとの骨にはアキレス腱や足底筋膜など、足の動きに大切な役割を果たしている腱が付着しています。運動などの負荷によって腱が過剰に引っ張られ、かかとの骨の骨端線(成長軟骨)が炎症を起こす病気です。
シーバー病ともいわれ、10歳前後の活動的な子どもに多く見られます。通常は片側に症状が出ますが、まれに両足に起こることもあります。急激な痛みというより、ジーンとした痛み方が特徴です。
強い衝撃などによってかかとの骨が折れてしまうことです。転落事故や、高齢者の階段の踏み外しなどで起こることがあるケガです。
骨が一部つぶれた、欠けたなども骨折に含まれます。痛みが強いような場合には注意が必要です。
何らかのはっきりしたきっかけで足の裏の痛みが起こり、腫れたり強く痛んだりするような場合には早めの受診が必要です。また、そこまで強い痛みではないもののよくならない、痛みがひどくなっている、走ったりするとまた痛むなどの症状がある場合にも一度受診しましょう。
受診科目は整形外科が適しています。
受診の際には、いつ頃から痛み始めたか、痛みのきっかけはあるか、スポーツなどの習慣があるか、他に気になる症状などについて伝えるようにしましょう。
日常生活の中にも、足の裏の痛みを起こす原因があります。
立っている時間が多い仕事をしていたり、走る、ジャンプする、急に止まるなどの動きが多い運動を頻繁にしたりするとかかとや足の裏に負担がかかります。悪化すると足底腱膜炎などになることもあり、注意が必要です。
対処法としては、足への負担を軽減することです。インソールなどを利用してアキレス腱やかかとへの負担を減らすとよいでしょう。
足にあっていない靴を無理に履いていると足裏の痛みにつながることがあります。
足に合った靴選びのポイントは、つま先に余裕があり足指を自由に動かせる、かかとのカーブがぴったり合っている、靴の幅が足と合っている、くるぶしが履き口にあたっていない、といった点です。必ず靴は試し履きをして、足にフィットするものを選びましょう。
自分でできる対処法を試しても症状がよくならない場合には、思いもよらぬ原因が潜んでいる可能性があります。一度整形外科で相談してみましょう。