足の指の腫れ:医師が考える原因と対処法|症状辞典

足の指の腫れ

熊本回生会病院 院長補佐

中村 英一 先生【監修】

足の指の腫れは痛みなどを伴うことも多く、歩行などに影響が出やすい症状です。

  • 足の指が1本だけ腫れている
  • 足の親指が腫れていて、変形しているようにも見える
  • 足の指が腫れて熱を持っている

このような心当たりがある場合、考えられる原因にはどのようなものがあるでしょうか。

日常生活に問題があり、足の指が腫れているケースもあります。

むくみとは、余計な水分や老廃物がたまることです。むくみが足の指に起きると、腫れているように感じられることもあります。

むくみを和らげるには

むくみが強いときには優しくマッサージしたり、温めたりするとよい場合もあります。また、塩分や水分を摂りすぎてしまうことも、むくみを招く原因のひとつとなります。ファーストフードや外食、アルコールの多量摂取を控え、栄養バランスの整った食事を摂りましょう。

また、むくみがいつまでも引かないような場合、むくみの原因を調べることが必要な場合もあります。

自分でできる対処法を試してもよくならない場合には、思いもよらない原因が潜んでいることもあります。一度、医師に相談してみましょう。

足の指の腫れの原因となる病気には以下のようなものがあります。

外反母趾

足の親指が人差し指を圧迫するように「くの字状」に曲がる病気です。足の指の腫れや痛みのほか、関節の脱臼などを起こすことがあります。

つま先の細い靴やハイヒールなどを履き続けたことで起こる場合も多く、患者のほぼ9割は女性というのも特徴的です。また、上記のような靴によるものだけでなく、遺伝的な要素も指摘されています。

足の指の痛みを軽減するための動作や姿勢が多くなり、ほかの部位への負担が増加し、腰痛や膝の痛みを併発することも少なくありません。

関節リウマチ

免疫システムが誤って自分の正常な関節を攻撃し破壊してしまう、いわゆる自己免疫性疾患のひとつです。関節に炎症を起こし、関節の痛み、腫れ、こわばりなどが現れます。全身のあらゆる部位に症状が出る可能性があるため、足の指に症状が出ることもあります。

症状が長引くと、関節の変形・脱臼によって曲げ伸ばしが難しくなることもあります。

痛風性関節炎(つうふうせいかんせつえん)

尿酸という物質の結晶が関節の中に析出(せきしゅつ)し、急性関節炎が生じる病気です。結晶が関節を刺激し発作を起こすと、激しい痛みを感じます。

発作を起こす場所のほとんどは足の親指の付け根の関節で、赤く熱を持って腫れ上がります。そのほか、膝や足関節などにも起こることがあります。発作による強い痛みは2~3日続きますが、1~2週間で治まる場合が多いとされています。

痛風関節炎は、高尿酸血症の人に起こる症状のひとつです。痛みがないときにも、高尿酸血症を継続して治療していくことが大切で、まずは、尿酸のもとになるプリン体が多く含まれるビールやエビ・カニ・肉などを多く摂食しないようにして、血中尿酸値を上昇させない食事療法が重要となります。

心当たりのある人は一度、内科あるいは整形外科を受診して、食事療法や薬物療法が必要かどうか検査してもらいましょう。

蜂窩織炎(ほうかしきえん)

皮膚の脂肪組織など、比較的深い部分が細菌などに感染して炎症を起こす病気です。皮膚が赤く腫れて熱を帯び、触ると痛みを感じます。体のどこにでも起こる可能性がありますが、手足などは比較的起こりやすいといわれています。

アトピー性皮膚炎湿疹などがあり、皮膚のバリア機能が弱い人、虫刺されや擦り傷などで皮膚が傷ついている人などは発症しやすいので注意したほうがよいでしょう。また、炎症が全身に及ぶと、発熱、だるさ、悪寒などの症状を伴うこともあります。

足の指が腫れていて強い痛みを伴う場合や、熱を持ったりしているような場合には早めに受診しましょう。また、腫れがずっと続いている、歩行の際に靴に当たって痛むようなときにも一度受診が必要です。

原因によって専門の科目が異なりますが、長く続いている腫れのような場合には、まずは整形外科への受診がよいでしょう。逆に、急激な痛みや腫れが起こったような場合には内科などがよい場合もあります。

医師には、いつから足の指が腫れているのか、ほかの気になる症状はいつから・どんなものがあるのか、できるだけ詳しく説明することがポイントです。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。