足の裏が熱い:医師が考える原因と対処法|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
岡山大学病院 総合内科・総合診療科長/感染症内科長/検査部長、岡山大学学術研究院医歯薬学域 総合内科学 教授
大塚 文男 先生【監修】
足の裏が急にほてり、熱くなると病気ではないかと不安になる方は多いでしょう。実際に病気が原因で起こることもありますが、日常生活上の原因で起こることもよくあります。
このような場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。
足の裏が熱い場合に考えられる病気としては、以下のものが挙げられます。
糖尿病性神経障害は、糖尿病における高血糖状態が長期間続くことで発生する神経障害です。この病態は、全身の神経系に影響を及ぼしますが、特に足に症状が起こりやすいといわれています。患者は足先や足裏にしびれや痛みを感じることがあり、足がジンジンとした不快な感覚に襲われたり、足の裏が熱くなるような異常な感覚を経験したりすることもあります。
むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)は、脚に不快な感覚が生じ、じっとしていられなくなる病気です。特に夕方から夜間にかけて症状が強く現れる傾向があります。症状としては、脚がむずむずする感覚に加え、かゆみや痛み、ほてりなどの不快な感覚が現れます。特徴的なのは、安静にしているときに症状が悪化する一方で、脚を動かすことで一時的に症状が和らぐという点です。このため、就寝時に症状が出ると、十分な睡眠が取れないことがあります。
閉経前後の10年間を更年期と呼び、この期間は女性ホルモンのバランスが大きく変化するため、さまざまな症状が現れることがあります。これらの症状が日常生活に著しい支障をきたす場合を更年期障害といいます。更年期障害の症状は多岐にわたり、疲労感、肩こり、頭痛、イライラ、動悸などが含まれます。特に代表的な症状として知られるのがホットフラッシュです。ホットフラッシュは、顔や体が突然熱くなり、のぼせや発汗を伴う状態を指し、中には足の裏がほてり熱く感じる方もいます。なお男性においても、男性ホルモンの低下による男性更年期という体調の変化があります。
自律神経失調症では、ストレスや不規則な生活習慣によって自律神経のバランスが乱れ、多様な症状が引き起こされます。自律神経は体温調節の役割を担っているため、そのバランスが崩れると、体温調節機能に異常をきたすことがあります。その結果、過度な発汗や体のほてりとして現れ、足の裏に熱さを感じることもあります。
さまざまな感染症で発熱が起こることがあります。発熱すると全身が熱くなり、足の裏にも熱さを感じる場合があります。これは、かぜやインフルエンザなどの感染症にかかった際、体がウイルスや細菌といった病原体に対する自然な防御反応として体温を上昇させるためです。免疫機能が活性化し、病原体の増殖を抑えようとする結果、発熱が生じます。
かぜの場合、発熱に加え、咳や喉の痛み、鼻水などの症状がみられることが多くあります。一方、突然38度以上の高熱が出た場合は、インフルエンザや新型コロナウイルスへの感染の可能性も考えられます。
また、蜂窩織炎は皮膚と皮膚の下にある組織が細菌感染を起こす病気で、特に下肢に発生しやすいのが特徴です。発症すると患部に赤みや腫れ、痛みが生じ、触れると熱さを感じることがあります。
まれな病気の中には、微熱や発熱が続く、全身が熱くなるなどの症状により、足の裏が熱く感じる病気がいくつか存在します。
悪性腫瘍(がん)は、腫瘍熱と呼ばれる特有の発熱を引き起こすことがあります。白血病や悪性リンパ腫などの血液系のがん、腎細胞がんなどでよく見られますが、他の臓器のがんにおいても発熱を引き起こします。長期間または断続的に発熱が見られることが特徴です。がんは免疫機能を低下させ、細菌、ウイルス、真菌による二次的な感染症を引き起こしやすくなり、これもまた発熱の一因となります。
自己免疫疾患は、免疫機能が誤って自身の組織を攻撃し、全身に炎症が起こる病気の総称です。関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)などの病気では、持続的な発熱に加えて、疲労感、皮疹、関節炎などさまざまな症状が現れます。さらに、家族性地中海熱のような比較的まれな病気では、周期的な突然の発熱と、腹痛や胸痛、関節痛などの症状がみられます。
足の裏が熱いという症状に加えて、何かしら気になる症状があれば一度病院を受診することを検討しましょう。
専門の診療科が原因によって異なるため、まずは近くの内科や総合診療科、かかりつけの医療機関などで相談してみるのもよいでしょう。
診察時に、症状がいつから続いているのか、どういったときに熱くなることが多いのか、ほかにどのような症状があるかを具体的に伝えると診断の参考になります。受診する前にメモなどにまとめておくとスムーズです。
体の冷えや足の疲労による血行不良は、日常生活において足の裏が熱くなる原因となることがあります。
体の冷えや慢性的な疲労は、足の血行不良を引き起こし、足の裏に熱感や不快感を生じることがあります。
足の血行不良を改善するためには、日常的な生活習慣の見直しが重要です。定期的なストレッチや軽い運動を取り入れ、血液循環を促進することが有効です。また、適切な靴下の選択も血行を改善します。締め付けがなく、保温性の高い素材を選ぶことで、足の血行を改善する助けとなります。さらに、入浴で体を温めることも血行を良好に保つ方法の1つです。
足の裏の熱さやほてりがいつまでも続く場合、思いもよらぬ原因が潜んでいる場合もあります。一度医療機関で相談してみましょう。