一回発病してしまうと、場合によっては入院も必要であり、長い間薬を飲まなければならない結核。しかし、感染しても症状もなく、発病しないケースも多くあります。結核の予防は、「感染の予防」より「発病の予防」という観点で考えることが大切です。結核の専門家である国立国際医療研究センターの高崎仁先生にお話をお伺いしました。
乳幼児の特徴は、大人に比べて免疫力がとても弱いことです。そのため、結核に感染して発病してしまうと重症になりやすいことが知られています。さらに、肺結核だけでなく、結核による髄膜炎や全身への感染を起こしやすいという特徴があります。そのため、生後1歳未満のうちにBCG接種を行うことが、予防接種法で定められています。
BCGは「生ワクチン」です。これは、実際の結核菌を処理し弱毒化した(弱くしたり無害化した)ものです。そのため、生後すぐの接種は推奨されず、標準接種月齢は生後5ヶ月以上8ヶ月未満とされています。
大人の場合は「子どもの頃にBCGも接種しているし大丈夫だろう」と考えたいところです。しかし、BCGの効果は十数年程度しかもちません。そのため、大人にとってBCGで結核の発病を予防する効果は期待できません。それでは、大人になってもう一度BCG接種を打てばよいのでしょうか。
しかし、成人になってBCGを打った場合の効果は証明されていないため、成人のBCG接種は推奨されていません。BCGは現実的には重症化を防ぐことが目的であるため、重症化しやすい乳幼児に対してこそ価値があるのです。
実際のところ、結核は空気感染(空気中に飛沫となって原因菌が漂流し、感染する)のため、感染を防ぐことは難しいです。たとえばインターネットカフェに一晩泊まり、近くの席の方がずっと咳をしていた場合、それで感染してしまうこともあります。
結核には「感染」と「発病」の2つのステージがあり、この2つの状態は異なります。感染とは、「身体の中に生きた状態の結核菌が定着しているが、まだ身体には変化が起きていない」状態です。正確には「潜在性結核感染(せんざいせいけっかくかんせん)」といいます。発病とは「結核菌が分裂・増殖して身体に変化が起き始めている状態」、つまり「結核菌が実際に体に悪さをしている状況」で、より危険とされます。ただし、感染しても症状が全く出ずに発病しないケースが感染者のうち90%を占めます。
大人の場合は、まず免疫力低下を防ぐことが重要です。つまり、健康な体の維持とそのための栄養・睡眠・運動がポイントになります。一般的な内容ですが、以下のような基本的なことに気をつけましょう。
学校や職場、場合によっては医療機関で集団感染が発生する事例が報告されています。周囲の方の中に結核の患者さんが出たときは、どのように予防をするのでしょうか。
このような場合、症状の精査のほか、様々な検査(ツベルクリン反応、胸部レントゲン、血液検査など)を行います。その結果として、結核菌の検査であるIGRA検査(リンク)で陽性となり結核感染の可能性が高いと判断された場合には、抗結核薬であるイソニアジド(INH)を6ないし9ヶ月間内服し、発病する前に治療してしまいます。このことを「潜在性結核感染症の治療」といいます。
ただ、特別に結核感染のリスクが高い場合にはIGRA検査の結果が陰性、場合によっては検査結果を待たずに予防内服をスタートするケースがあります。これは、結核菌を大量に排出していた方と毎日一緒に仕事をしていたり、一緒に住んでいた場合です。
また、日本では全年齢において治療薬は公費負担となります(感染症法に基づく)。
国立国際医療研究センター 呼吸器内科
周辺で結核の実績がある医師
独立行政法人国立病院機構 東京病院 副院長
内科、リウマチ科、呼吸器外科、消化器外科、整形外科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、麻酔科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、感染症内科、消化器内科、脳神経内科
東京都清瀬市竹丘3丁目1-1
西武池袋線「清瀬」南口 久米川駅行・所沢駅東口行 東京病院北下車 下里団地行・滝山営業所行・花小金井駅行 東京病院玄関前下車 バス5分、JR武蔵野線「新秋津」 車10分、西武新宿線「久米川」北口 清瀬駅南口行 東京病院北下車 バス
関連の医療相談が12件あります
肺レントゲン
乳がんの検査中 肺レントゲンを撮り 今まで何回も肺レントゲンしたことありますが 始めて 昔肺炎なったことがあるあとがあるといわれたから マイコプラズマなら。 と言ったら 結核とかの跡かなぁ。 と言われましたが 母は思い出が無いようです 先生は むかしは知らない間にあるみたいだと 言われましたが 影 ?? 転移とか 肺炎は ちゃんとレントゲンで差はわかりますか?
結核の対策について
最近アレルギーの薬をもらうために病院に通い始めたのですが、そこの待合室に「結核に要注意」みたいなポスターが貼ってあって心配になりました。 待っている間暇なので眺めていると、若い人に多いとか、過去の病気じゃないみたいな事が書いてありますけど、大人で結核にかかる人は僕が知らないだけでかなり多いんでしょうか? 子供のころハンコ注射をした覚えがありますが、あれが結核の予防接種ですよね?みんな受けてたと思うんですが、なぜこんなに流行るんでしょうか?何か対策した方がいいんですか?
間質性肺炎の治療について
間質性肺炎と診断され、詳細の検査中です。11月の気温が低くなったあたりから、咳がひどくなりました。12月中旬には咳が止まらず、コデインリン酸塩酸2mgを処方されました。飲み始めて副作用か腰の痛みもあります。食欲も落ち、体重も減りました。今後は、検査結果により、治療法や薬が決まるのだと思いますが病気はどのように進行するのでしょうか?
診療科の案内
何時もお世話になります。脳脊髄液ーーその後の相談です。遠方の病院で12・7~10入院し脳槽シンシグラフィー検査を受けました。結果、漏れはないとの診断でした。現在出ている症状は漏れ症以外、これから先は救急対応もあり地元で診察受けるよう告げられました。医師は検討がつかない様子、地元の病院(内科、脳神経外科内科、眼科、耳鼻科、精神科)は沢山まわりました診断がつきませんでした。掛かりつけの医師は判断できないと断られました。相談です、今後,何かを受けるかアドバイスをお願いします。 症状は起立頭痛、ふらつき、耳鳴り、物忘れ等。症状は多才です、宜しくお願い致します。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「結核」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。