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結核(こども)

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概要

結核とは、結核菌(Mycobactrium tuberculosis)に感染することによって発症する病気を指します。戦前の日本における衛生環境は非常に悪く、結核を始めとする感染症の流行や、それに伴う死亡率はとても高い水準にありました。しかし、終戦を前後して導入された予防接種、レントゲン診断、結核治療薬などが功を制し、1947年の死亡総数146,241人をピークとし以後減少の一途をたどりました。

しかし、2019年時点においても、毎年18,000人前後の発症数並びに2,000人前後の死亡者数を認めています。この数字は先進諸国の中から見ても極めて高いものであり、まだまだ結核は過去の病気ではありません。

その一方で、子どもの結核について着目すると、年間新たに結核と診断される子どもは50例前後であり、世界的に見てもこの数字は低い部類に入ります。成人世代における結核はいまだまれではなく、家族内や学校、塾での感染が考えられます。また、近年、日本へ留学に来る外国籍の学生も増加するなか、結核が流行している外国からの持ち込み例も少なくないと考えられています。

原因

結核は結核菌に感染することで引き起こされる感染症です。排菌している患者さんの咳などで結核菌が空気中に飛び、結核菌を肺に吸い込むことで空気感染します。

結核菌は、肺から近くのリンパの流れに乗って、リンパ節で増殖をします。増殖した結核菌がやがて肺に病変を作ることが多く、学童から成人でよくみられます。一方、乳幼児では、肺結核になることもありますが、結核菌が身体中に広がり、重症化することがあります。結核菌が肺に留まるのか、さらに全身に広がるかは、感染者の免疫力で経過が異なることが多いです。

また、結核菌に感染しても、活動性の病気をきたさない潜在性結核という病態があります。放置しておくと、そのまま発症しないこともありますが、一部の患者さんは、肺結核などの活動性の病気に進展するので、潜在性結核でも治療対象になります。

活動性の病変では、肺に病変を作る肺結核が多いですが、あらゆる臓器に感染することがあります。乳幼児では、免疫の機能が発達途上のため、結核菌に感染すると、全身に結核菌が拡散する栗粒(ぞくりゅう)結核、脳神経に侵入して結核性髄膜(ずいまく)炎などを起こす頻度が高いといわれています。またHIVや治療で免疫を抑制する薬(ステロイドなど)を使用することもリスクとされています。

小児結核と診断された場合、周囲に排菌している結核患者さんがいるため、感染経路の特定が必須となります。

症状

結核の感染部位や分類によって異なります。潜在性結核の場合は、症状はありません。肺結核の場合は、咳、発熱、血痰、体重減少、寝汗など成人の肺結核と同様の症状がみられます。肺以外の結核では、小児ではリンパ節炎が多く、頚部(けいぶ)や肺のリンパ節が多いです。リンパ節の腫脹(しゅちょう)などがみられます。

結核性髄膜炎では、活気低下、意識障害、脳神経麻痺(まひ)(目の動きがおかしい、ものが二重にみえるなど)、けいれんなどの症状がみられることがあります。

粟粒結核では、体重が増えないまたは減る、原因がわからない発熱が続く、倦怠感(けんたいかん)、元気がない、食欲がないなどの特異的でない症状に加えて、感染で障害されている臓器が肺であれば、咳、多呼吸などの呼吸器の症状、消化管であれば腹痛、下痢など消化管の症状などがみられます。

腸結核では、発熱、下痢、血便、体重が増えないまたは減る、腹痛などの症状がみられます。

検査・診断

結核の検査目的には、大きく分けて二つのものがあります。ひとつは、感染者との接触等をきっかけとした感染の有無を確認します。ふたつめは、結核を疑う症状(体重減少や咳、血痰など)を伴う人に対する発症の有無の確認です。

感染の有無をチェックする検査には、主にインターフェロンガンマ遊離試験(IGRA)という血液検査と、皮膚(ひふ)内に薬を注入して反応をみるツベルクリン反応があります。IGRAは、結核菌に対しての感染状況を判定でき、血液検査ですむ検査です。ツベルクリン反応は、定期接種に結核の予防接種(BCG)が導入されている日本では、BCG接種後にツベルクリン反応がでるため、検査結果の解釈が難しいことがあります。また喀痰(かくたん)や胃液を用いて、培養や遺伝子検査で結核菌の有無をみる検査も行われます。

結核の発症が疑われる場合は、発症した臓器に結核菌がいるかどうかの培養や遺伝子検査が行われます。また、胸部レントゲン写真や胸部CT検査などの画像検査、髄液や骨髄の検査が行われることがあります。

培養検査で陽性になると、薬剤感受性の検査を行うことができます。小児では結核菌がはえにくいですが、感染源となった患者さんから培養された結核菌の薬剤感受性結果を参考にすることもできます。

小児の結核の診断は、さまざまな検査を総合して行っても、確定診断や違うと診断することが難しいことがあります。そこで重要なのは、問診で排菌している患者さんとの接触がどのくらい濃密にあったかを聞くことです。同居家族など、狭い空間で濃密に長い時間の接触があった場合には、検査がすべて陰性でも、検査で否定することが難しいので、感染したものとして結核と診断することもあります。

治療

症状のない潜在性結核の治療は、活動性結核に進展しないようにすることが治療の目標となります。内服薬で治療し、場合によっては、診断を途中で否定して、早めに治療をやめることもあります。

活動性の結核の治療は、障害されている臓器の機能回復、結核菌を充分に減らして再燃しないことが目標となります。薬の種類によっては、目に副作用がでるため、目の症状を訴えにくい小児では使用しないこともあります。通常は、抗結核薬を3~4種類、組み合わせて治療を開始します。結核菌は、薬が効かなくなる薬剤耐性をきたしやすく、耐性化を防ぐには複数の薬で、決められた期間、回数と量を守って飲みきるということが重要となります。肝臓などに薬の副作用が出ることもあります。

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