概要
粟粒結核とは、結核菌(Mycobactrium tuberculosis)が血液に乗って全身へと広がり発症する結核の一形態を指します。特に高齢者、女性に多いといわれています。
原因
結核は、結核菌(Mycobactrium tuberculosis)に感染することで引き起こされる感染症です。空気中に存在する結核菌を吸い込むことが感染(空気感染)のきっかけになるため、まず肺に影響が及ぶことが多いのですが、粟粒結核は肺以外の臓器に結核菌が広がることで発症します。全身の中でも血流の多い肝臓や脾臓、骨髄、脳、腎臓に結核菌が侵入する粟粒結核が多いとされます。また、結核菌は初感染時肺に侵入した後、完全に排除されることなく肺のなかに存在し続けることがあります。こうした結核菌が、何かしらのきっかけで再活性化し、血流に乗って全身へと広がり粟粒結核を発症することもあります。
結核菌が肺に留まるのか、またはさらに全身に広がり粟粒結核を発症するのかは、感染者の免疫力に依存する部分が大きいとされます。健康な方が結核菌に感染したとしても、うまく結核菌の活動を抑えることができますが、免疫力が何らかの原因で低下している状況では粟粒結核を発症するリスクが高まります。米国では、2012年において結核患者の3.5%が粟粒結核であったと報告されています。米国における粟粒結核患者の増加は、HIV感染の増加が大きく寄与していると考えられています。
粟粒結核のリスク因子として以下のものがあげられています。
症状
粟粒結核は、肺結核による長引く咳症状以外に、全身にも症状を引き起こします。具体的には、数週間持続する発熱、体重減少、全身倦怠感や食欲不振などです。その他、結核菌が入り込んだ臓器に応じて症状が出現することもあります。例えば脳に結核菌が入り込むと髄膜炎症状をきたすようになり、頭痛や吐き気、嘔吐、けいれん、意識障害などを生じることがあります。
また、脊椎に結核が散布されると「脊椎カリエス」を発症し、脊椎の骨折を起こすことがあります。さらに、心不全の悪貨や急性呼吸窮迫症候群、播種性血管内凝固症候群等を発症し、死に至ることもあります。
検査・診断
粟粒結核を発症する段階では、肺に多発性に結核性病変を認めることが多々あります。この確認のために、胸部単純レントゲン写真や胸部CTといった画像検査が行われます。粟粒結核が疑われた際には、結核菌の存在を確定する検査が行われます。具体的には、喀痰を用いて喀痰塗抹検査(ガフキー検査)、抗酸菌培養検査、遺伝子検査(PCR法)が行われます。その他、全身に結核菌がばらまかれていることを確認するための検査も併用されます。
中枢神経系の病変を確認するには、頭部CTやMRIの画像検査に加えて、髄液(腰椎穿刺)を用いた培養検査などが重要です。腎臓が侵された場合、尿中に結核菌の存在を確認することもあります。また、検査で得られた画像により結核に関連した腫瘤性病変を確認することもあります。その他にも、肝臓(肝生検)や骨髄、胸水、腹水、など、病変が疑われる組織を実際に採取して結核性病変を顕微鏡的に確認する検査が行われることもあります。
治療
粟粒結核は結核菌が全身に広がっている重篤な状態であり、積極的な結核治療が必要になります。使用可能な抗結核薬を駆使しながら数か月単位で治療を行います。さらに、粟粒結核は全身性疾患という側面があるため、通常の肺結核治療と比較しても長めに治療することが推奨されています。
結核治療薬は、副作用として肝臓や腎臓、神経などに障害が起きやすいことも知られています。粟粒結核の治療に際しては長期的な内服治療が必要になるので、副作用の出現する危険性もそれだけ高まります。したがって、副作用の早期発見のためにも、副作用が疑われる症状を理解することや、定期的な血液検査を受けることが大切です。
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