ちょうけっかく

腸結核

大腸・小腸

目次

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概要

腸結核とは、結核菌が腸に感染することによって起こる感染症です。結核の代表的な感染症である肺結核に合併して起きた場合を「続発性腸結核」といい、肺に病巣がみられない場合を「原発性腸結核」と呼びます。

続発性の腸結核は、近年では肺結核の減少とともに徐々に減ってきていますが、原発性腸結核は増加傾向にあり、現在(2017年現在)では腸結核の半分以上を占めているとされます。病巣の部位は、盲腸、回腸、上行結腸に多いです。

結核菌は消化管、肝臓、胆管(胆汁の流れる管)、腹膜(お腹の中の臓器を覆っている膜)などのいろいろな場所に感染を起こしますが、そのなかで腸結核は最も頻度が高いものです。
 

原因

腸結核の原因は結核菌です。感染を起こす経路としては、

  • 結核菌を含んだ痰を飲み込み感染
  • 血液を介して感染
  • リンパ管を通じて感染
  • 腸に接している他の臓器の結核病巣から直接感染

などが考えられます。
 

症状

腹痛や、下腹部の不快感、吐き気、食欲の低下、下痢、下血、発熱、体重の減少などさまざまな症状を起こします。

まれに、腸管に穴が開く(穿孔(せんこう))、大量に出血を起こす、腸閉塞(イレウス)を起こすなど、重篤な状態となることもあります。

検査・診断

検査

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を行います。これは、肛門から内視鏡(大腸カメラ)を挿入して大腸や小腸の一部を管の内側から直接観察する検査です。腸結核の活動期(病勢が進んでいるとき)には、大腸や小腸に輪状、帯状、地図状の潰瘍(かいよう)が認められます。特に、小腸と大腸がつながる部位(回盲部)に病変ができやすいという特徴があります。また、腸結核を治療して改善が得られた後にも、潰瘍が治ったあとの傷(潰瘍瘢痕(かいようはんこん))や大腸壁の変形(偽憩室など)、狭窄(せまくなること)などの病変が長期にわたって認められます。

診断

結核の診断のためには、胸部X線(レントゲン)検査(肺結核を疑うような影がないかどうかをみる検査)や、抗原特異的インターフェロン-γ遊離検査(IGRA):T−SPOT、クォンティフェロンTBゴールド(QFT)を行います。併せて血液検査では血沈やCRPなどの体の炎症反応をチェックします。

確定診断

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を行った際に組織の一部を採取して(生検検査)顕微鏡で観察し、腸結核に特徴的な乾酪性肉芽腫(かんらくせいにくげしゅ)と呼ばれる病変を確認します。腸結核は回盲部が好発部位であり、75%の患者さんで回盲部に病変が出現するため、特に注意深く診察を行う必要があります。

また、便や病変部位から採取した組織の培養を行い、結核菌を証明することによって診断を確定します。このとき、便の培養では陽性率が低いのに対して、組織の培養では比較的高く、より有効だとされています。結核菌の特異的遺伝子を検出するDNA増幅法(PCR)も有用です。

ただし、これら結核菌の培養検査は必ずしも陽性になるとは限りません。そのため、結核菌に対する治療を実際に行って改善が得られるかどうかをみながら診断を行うということもあります。
 

治療

肺結核と同じように、複数の抗結核薬を用いて治療を行います。具体的には、イソニアジド(INH)、リファンピシン(RFP)、ピラジナミド(PZA)、エタンブトール(EB)もしくは硫酸ストレプトマイシン(SM)の4剤を併用した抗結核多剤化学療法を行います。治療は、再発の可能性がなくなるまで、9~12か月程度継続することが必要です。

副作用としては、INHによる神経障害や、RFPによる肝障害、SMによる聴力障害などがあります。治療を行う際にはこうした副作用の発現がないかどうかを観察していくことが重要です。
なお、腸結核が治癒した後にも、小腸や大腸には変形や瘢痕などが残存しますが、これらに対して治療する必要はありません。

一般的に、治療を開始すると腹痛、発熱などの症状は2~3週間で改善するとされ予後のよいことが多い病気ですが、腸病変が治癒する過程で腸の狭窄(きょうさく)(せまくなること)が高度に生じる場合には、外科的治療(手術)が必要とされることもあります。

自覚症状があまりない状況があったとしても、抗結核療法は副作用がないかぎり予定された期間しっかりと継続することが重要です。