インタビュー

心臓カテーテル治療最先端 ―ロータブレーター

心臓カテーテル治療最先端 ―ロータブレーター
三角 和雄 先生

千葉西総合病院 病院長/心臓病センター長、 東京医科歯科大学 臨床教授

三角 和雄 先生

目次
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この記事の最終更新は2015年07月30日です。

日本全国から多くの患者さんが心臓カテーテル治療を受けにくる病院が千葉県にあります。千葉西総合病院は年間3,000例を超える心臓カテーテル治療を行っており、その数は5年連続で全国1位です。中でも難度の極めて高い「ロータブレーター治療」は世界で有数の件数をほこっています。

この医療チームを率いる三角和雄医師は、世界でもっとも「ロータブレーター治療」を行っている医師として世界的に有名な医師です。三角先生に、ロータブレーター治療とはどのような治療なのかをお伺いしました。

冠動脈疾患(狭心症心筋梗塞)は、悪玉コレステロールが心臓の周りの血管(冠動脈と呼びます)の内側にへばりついて硬くなり、血管の内腔が狭くなってしまうことから起こる病気です。冠動脈疾患が進行してくると、血管が石のような硬さになります。硬くなってしまうと、通常の冠動脈疾患の心臓カテーテル治療で使われるバルーンやステントなどで血管を広げることが不可能になってしまいます。

石のように硬くなってしまった血管を広げるためには、それよりも硬いもので削ることが必要です。石よりも硬いものはダイヤモンドという発想で、ダイヤモンドドリルさながらのロータブレーターが作られました。ロータブレーターは心臓の血管の固くなった部分を削り取るドリルのような医療機器です。ロータブレーターの先端には小さなダイヤモンド粒子が組み込まれており、ドリルを高速回転させることで動脈硬化を起こした血管壁を削ります。

ロータブレーターのイメージ
ロータブレーターのイメージ

私がこの治療法に出会ったのは1993年のことです。それから二十数年間、累計で数千件のロータブレーター治療を行ってきましたが、多くの場面でこの治療は絶大な効果を発揮してきました。ロータブレーターがなければ救えなかった患者さんは多くいます。たとえば通常のカテーテル治療も心臓のバイパス手術も行えないような高齢の患者さんなど、多くの命を救ってきたのです。

ロータブレーターの強みは、固くなってしまった病変を削ることにあるので、心臓の血管が石のように硬くなってしまった患者さんがよい適応になります。

具体的には、

  • 長期間の高血圧、高コレステロール血症、糖尿病などがあって、動脈硬化が進行してしまった患者さん
  • 血液透析を行っており、血管が硬くなっている患者さん
  • 血管が硬くなることの多い川崎病の患者さん(若い人に多い)

などがあげられます。

ロータブレーターは日本でも1997年に認可されました。その使用効果は絶大ですが、誰でもできる治療ではありません。血管に穴をあけてしまうなどといった重大な合併症もあるため、習熟した医師しかできず、病院が厚生労働省に定められた基準を満たさないと、ロータブレーター治療を行うことは認められていません。

どれくらいの難しさかというと、一般的な心臓カテーテル治療であるバルーンやステントは自転車やオートバイを普通に運転する程度のレベルだとすると、ロータブレーターはフェラーリで首都高を時速200kmで運転するレベルの難しさです。

千葉西総合病院では、世界的に見てもロータブレーターの手術件数ではトップクラスの病院で、私個人としても累積で行ってきたロータブレーター件数は世界でもトップだと思います。 

記事1:「5年連続心臓カテーテル治療数1位」の医療チームを作った医師―三角和雄
記事2:心臓カテーテル治療の現在 ―最先端カテーテル治療室
記事3:最新の心臓血管検査―マルチスライスCT
記事4:心臓カテーテル治療最先端 ―ロータブレーター
記事5:心臓カテーテル治療最先端 ―エキシマレーザー

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  • 千葉西総合病院 病院長/心臓病センター長、 東京医科歯科大学 臨床教授

    三角 和雄 先生

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