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インタビュー

言語聴覚士とは。言語聴覚士によるリハビリとボイステラピー

言語聴覚士とは。言語聴覚士によるリハビリとボイステラピー
渡邊 雄介 先生

国際医療福祉大学 教授、山王病院/国際医療福祉大学 東京ボイスセンター長

渡邊 雄介 先生

皆さんは言語聴覚士という資格を持った方々のことをご存知ですか? 山王病院東京ボイスセンター長の渡邊雄介先生は、音声外科の手術や音声外来による治療はもちろんのこと、その後の言語聴覚士によるリハビリとボイステラピーがさらに重要になってくるとおっしゃいます。これはなぜなのでしょうか? 渡邊先生に詳しく解説していただきました。

言語聴覚士とは、音声機能・言語機能・聴覚に障害を持つ人のためにリハビリテーションを行うなどして、そのような方々が日常生活で円滑に過ごせるよう支援をする人たちのことです。医師や歯科医師のもとで診療補助を行うこともあります。

また、そのような障害を持つ方々の場合、身体的障害だけでなく事故や病気などの結果、音声機能や言語機能に障害を抱えてしまったなどの深刻な過去を抱えている場合も少なくないため、精神面のケアも賄える人が望ましいとされています。

言語聴覚療法ではコミュニケーションに障がいのある人々の言語・聴覚のリハビリはもちろんのこと、摂食・嚥下(せっしょく・えんげ)機能に障害を持っている方のリハビリも行います。具体的には声がうまく出せない方々に対して、声帯機能などの改善を促進させる訓練などを行っています。

言語聴覚士によるリハビリテーションの治療方法は、良い音声を保つための「声の衛生」と「症状対処的音声治療」「包括的音声治療」に分けられます。

声をよく使う職業についている人にとって最も重要なリハビリです。声の衛生とは、発声時に余計な力がかかっていないかなど、負担のない楽な発声を導くための日常的な注意を促すことをいいます。

音声の異常そのものを改善するという考え方に基づいた治療です。代表的なものとしては、声門の緊張を和らげる治療(あくび/ため息法・咀嚼法・舌突出法・気息性起声・/h/発声・声の配置法など)があります。

包括的音声治療とは、総合的に音声を作り出す呼吸・発声・共鳴の調節能力を高めることで音声の異常をよくしようとするリハビリテーションのことです。具体的には、アクセント法・発声機能拡張訓練などがあります。

詳しいリハビリの方法は機能性発声障害のリンクを参照してください。
「声がかすれる」―機能性発声障害の治療法と予防法とは? 基本的には「切らない治療」

音声外科は医師と言語聴覚士がチームとなって様々な方向から取り組むことで、幅広く患者さんへの対応が可能となる領域です。そのため、良いリハビリができるようにチームとして連携していく必要があります。

詳細は「声がかすれる」―機能性発声障害の治療法と予防法とは? 基本的には「切らない治療」でも述べましたが、言語聴覚士が行うリハビリテーションはボイストレーニングではなくボイステラピーと呼びます。
ただし歌手であった方、またこれから歌手になりたい方に対してはボイストレーニングも必要な作業になってきます。

  • 不自然な高さの声を出さず、出しにくくてもいつもの声を使う
  • ささやき声は使わない
  • 力み声を出さない
  • のどや肩に力を入れたとき、声を出さない

山王病院では、かつてご自身が声帯ポリープや結節手術を受けた女優の方に、プロ歌手の手術後のボイストレーニングをしてもらっています。その方たちは手術後の患者さんがどのように治癒していくか経験されているため、患者さんの目線に立ったボイストレーニングを行うことができます。このような方々をSVS(シンギングボイススペシャリスト)と呼び、言語聴覚士(ST)、シンギングボイススペシャリスト(SVS)、医師(MD)の三人体制で患者さんを支えるように取り組んでいます。

かつては、医療技術の問題もあり外科手術によって患者さんの声の機能を悪化させてしまうようなこともあったようです。言語聴覚士もまだ法制化されていなかったため、ケア(リハビリ)が不十分で、手術後の患者さんに対する対応が充分でない時代がありました。これからは前述のような管理体制をしっかり構築し、患者さんが安心して音声外科を受診できるような取り組みを作り上げていく必要があるでしょう。

近年は音声外科手術が発達し、様々な音声疾患に対する外科的治療が行われるようになってきました。

一方で、音声のリハビリテーションは術後の沈黙療法(術後一週間はしゃべってはいけない)が主になっていることも多く、これからまだまだ発展していく必要があります。例えば整形外科の場合、大腿頸部骨折手術後には歩行のリハビリをします。音声外科でも、ケア(リハビリ)の面をよく考える必要があります。

ケアを担うのは言語聴覚士です。言語聴覚士がいることで、リハビリの質が担保されます。医師によるキュア(治療)と言語聴覚士によるケア(リハビリ)が同時にできる必要があるのです。

一つには音声のリハビリを支える言語聴覚士という職業の認知の問題があります。言語聴覚士は歯科衛生士のようにそこまで世間に認知されていないのが現状です。最終的には、耳鼻科の外来に来る患者さんが「ここには言語聴覚士さんはいないのですか?」と聞いてくれるほど、言語聴覚士の認知度が高まると同時に、医師と言語聴覚士の包括的な治療が実現できればいいと考えています。

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  • 国際医療福祉大学 教授、山王病院/国際医療福祉大学 東京ボイスセンター長

    渡邊 雄介 先生

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