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インタビュー

重症筋無力症の治療は?―4種類の治療はどう選択されるか

重症筋無力症の治療は?―4種類の治療はどう選択されるか
中山 貴博 先生

横浜労災病院 神経筋疾患部 部長

中山 貴博 先生

重症筋無力症」とは、神経が筋に信号を伝えるはたらきに障害が起こり、体の様々な部分で連続して力 を出しにくくなるなどの症状が出る病気です。この治療にはどのような方法があるのでしょうか。また、この病気の治療を行う患者さんが生活の中で気を付けるべきことには、どのようなことがあるのでしょうか。引き続き、横浜労災病院神経筋疾患部の中山貴博先生に伺いました。

治療は大まかに「a) 胸腺摘除術」「b) 経口免疫療法」「c) 非経口免疫療法」「d) 対症療法」に分けられます。また費用は、使用する薬剤、特定疾患の認定状況、特定疾患認定患者の場合は家族を合わせた総収入によって左右されます。以下にそれぞれについて説明します。

a) 胸腺摘出術は、「胸腺腫」(胸腺に起こるがんの一種)が合併している場合に適応されます。胸腺腫がない患者さんの場合で胸腺摘出の有効性が期待できるのは、以下をすべて満たす場合です。

  • 45歳未満の早期発症重症筋無力症の患者さんである
  • 若い発症である
  • 病初期である
  • アセチルコリン受容体抗体陽性である
  • 胸腺過形成が認められる

b) 経口免疫療法では、「高容量経口副腎皮質ステロイド治療」が有効です。しかし長期化を招きやすい点や、副作用の点から、長期にわたってステロイドを経口で投与することは少量にとどめたほうがよいといわれるようになっています。免疫抑制剤(シクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤とタクロリムス)が罹病期間の短い患者に対してより有効であると言われています。

c) 非経口免疫療法には、「ステロイドパルス療法」「免疫グロブリン静脈注射療法」「血液浄化療法」があり、症状増悪時やクリーゼ発症時などを中心に使用されます。

d) 対症療法で用いるものとしては「抗コリンエステラーゼ阻害薬」などが挙げられ、眼筋型や軽症~中等症の患者さんに対して使用されます。眼筋型の場合は、抗コリンエステラーゼ阻害薬による対症療法のほか、副腎皮質ステロイドを中心とする免疫療法が行われますが、治療方針を選択する明確な基準はありません。ただし発症後2年間は全身型への進展の可能性があり、定期的な受診が望まれます。

現在でも、完全寛解(1年以上症状がなく、重症筋無力症のいずれの治療も受けていない)率は15%以下と言われています。重症筋無力症は自己免疫性疾患であるため、免疫療法が長期にわたって行われます。現在は、経口プレドニゾロン(経口ステロイド製剤の一種)5mg/日以下で、軽微な筋力低下はあるが日常生活には支障がない状態になるよう、免疫療法を組み合わせることが提唱されています。しかし、重症筋無力症患者さんの病状把握は難しく、治療法については、受診中の医師とよく相談することが重要であるといえます。

症状の増悪につながる、感染症、手術、過労、精神的ストレス等は避けるように気をつけましょう。そのためには手洗い・うがいをすることや、インフルエンザの流行期や人混みに外出する際にはマスクを装着することがお勧めです。症状がコントロールされている場合は、日常生活に制限を加える必要はありません。しかし過労にならないよう、十分な休息や休養をとることが重要です。飲酒や喫煙も控えた方がよいです。

ワクチン接種については、ステロイド・免疫抑制剤を服用中の患者さんは生ワクチンの接種はできません。また歯科治療に際して、ステロイドの副作用である骨粗鬆症の治療で用いられる「ビホスネート系製剤」を服用中の場合は抜歯できません。ステロイド・免疫抑制剤による治療中には、処置後の感染にも注意を払うべきであるといわれているためです。この点を受診中の医師・歯科医師とよく相談して下さい。

また、麻酔薬、抗てんかん薬、抗生物質、抗精神病薬の中には症状の増悪を生じると報告される薬剤があります。抗リウマチ薬であるD-ペニシラミンやブシラミン、抗甲状腺薬であるメチマゾール、胃癌等の治療のためのインターフェロンαやインターフェロンγも症状増悪の危険があります。薬剤を服用する場合は、患者さん自身が重症筋無力症であるということを必ず医師・薬剤師に伝えて下さい。

参考:重症筋無力症診療ガイドライン2014、南江堂、2014

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