インタビュー

重症筋無力症の症状は?―至急受診すべきクリーゼとは

重症筋無力症の症状は?―至急受診すべきクリーゼとは
中山 貴博 先生

横浜労災病院 神経筋疾患 部長

中山 貴博 先生

この記事の最終更新は2015年08月31日です。

重症筋無力症とは?―体のさまざまな部分で力が出しにくくなる病気では、「重症筋無力症」の原因・検査・遺伝などについてご説明しました。この病気は、神経が筋に信号を伝えるはたらきに障害が起こり,体の様々な部分で連続して力 を出しにくくなるなどの症状が出る病気です。この記事では、重症筋無力症の症状についてさらに詳しくご説明します。多くの患者さんに起こる症状はどのようなものなのか、また緊急の受診が必要とされる「重症筋無力症クリーゼ」とはどのようなものなのかについて、横浜労災病院神経筋疾患部の中山貴博先生にご説明いただきました。

重症筋無力症の症状には、眼瞼下垂、眼球運動障害、顔面筋力低下、構音障害、嚥下・咀嚼障害、頸部・四肢筋力低下、呼吸障害などがあります。これらの症状は、筋の連続使用で増強し(易疲労性)、日内変動(一日のなかで時間とともに変動すること)が見られます。症状の種類は患者さんによって様々です。

約半数の患者さんの場合、重症筋無力症は眼瞼下垂や複視だけを主訴(もっとも強く訴える症状)とする「眼筋型重症筋無力症」として発症します。そのうち50~60%の患者さんが、発症2年以内に全身型重症筋無力症に移行するといわれています。

高齢者の場合は、全身型に移行するケースは31%とやや低頻度で、全経過を通じて眼筋型に留まる頻度が高いといわれています。また、眼筋型と軽症全身型との区別は困難な場合があります。症状がなくても反復電気刺激による誘発筋電図検査で振幅の漸減現象が見られることもあり、厳密な区別は難しいと言われています。

重症筋無力症患者が呼吸困難をきたして急速に増悪し、呼吸不全に陥って人工呼吸器管理が必要となった状態を「クリーゼ」と言います。多くの場合、呼吸筋の筋力低下だけでなく、誤嚥や構音障害を伴います。
経過中にクリーゼを経験する症例は11-15%であり、診断確定2年以内に生じやすく、高齢者・若年女性・嚥下障害を有する患者、胸腺腫合併例で生じやすいと言われています。

クリーゼにはしばしば誘因(これを引き起こす原因)が存在します。感染症(特に上気道・呼吸器感染症)が多く、妊娠・出産、手術、薬剤などのほか、疲労も誘因となるため、これらの誘因の治療や除去も重要です。このような場合も適切な治療を受ければ改善するため、クリーゼが起こった場合には受診中の病院へ至急連絡し、受診することが望まれます。

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