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インタビュー

耐性菌を防ぐための一般生活者へのメッセージ

耐性菌を防ぐための一般生活者へのメッセージ
本郷 偉元 先生

関東労災病院 感染症内科 部長

本郷 偉元 先生

抗生物質が効かない耐性菌の発生を少しでも防ぐために、私たち一般生活者はどのようなことを心がければよいのでしょうか。武蔵野赤十字病院感染症科副部長の本郷偉元先生に、引き続きお話をうかがいました。

まず対症療法と根治療法という考え方について知っていただきたいと思います。たとえば咳(せき)がなかなか止まらなくて病院に行った場合、薬で咳を止めることが対症療法にあたります。これに対して、咳が出る原因となっている病気が何であるかを調べ、それが肺炎であれば肺炎を治すための治療をする―これが根治療法です。根治治療、原因療法ともいいます。

患者さんは今苦しんでいるつらい症状が解消されることを望んでおられることでしょう。しかし、単に咳を薬でおさえてしまうだけであれば、肺炎を見逃して重症化させてしまうかもしれません。肺炎を治すことができれば自ずと咳もなくなります。咳が出るから咳止め、痛みがあるから痛み止めを出すということではなく、その原因となっている病気を治しましょうというのが医師の立場・考え方です。

私たち医師は症状の元となっている病気を治すためにどういう治療をし、その結果患者さんにどんなメリット・デメリットがあるのかをきちんと説明する必要がありますし、また患者さんにもぜひそのことをしっかりと受け止めていただきたいと考えます。

逆もまた然り、です。特に感染症に関しては、熱があるから抗生物質を、ということにはなりません。抗生物質は解熱剤ではありませんので、熱を下げたいのであれば熱さまし=解熱剤を使うべきです。

風邪やインフルエンザは「日にち薬」と言われるように、時間の経過とともに自然治癒する病気ですが、つらい症状を和らげるための治療は必要に応じて行われるべきです。しかし、そこで必要のない薬までもらうことのないよう、ぜひ賢い消費者になっていただきたいのです。

次に抗生物質の服用についてですが、処方された抗生物質は指示通りに服用していただくことが大切です。症状が良くなったからといって途中で服用をやめたりしてはいけません。

たとえば、関連記事「抗生物質とはなにか」の中でも触れたA群溶連菌による咽頭炎の場合であれば、症状がなくなっても合計10日間は服用を続ける必要があります。同記事の中でもすでに述べているように、リウマチ熱を予防するという意味があるからです。咽頭炎を治すためというよりも、リウマチ熱の予防のための抗生物質だということを知っていただくことが大切です。

また、副作用が出たからといって自分の判断だけで服用を中止するのではなく、まず医師に連絡してそのことを伝えていただきたいと思います。そうすれば替わりに別の抗生物質を処方するかもしれません。

絶対にやめていただきたいのは、医師の指示なしに手持ちの抗生物質を服用することです。その後医療機関を受診しても感染症の原因となっている起因菌がわからなくなってしまい、適切な診断ができなくなってしまうからです。

最後にお伝えしたいのは、ワクチン接種や検診を積極的に受けていただくということです。まず感染症を予防すること―それは自分自身もそうですが、社会全体としての集団免疫という考えに立って、誰かひとりでも感染すれば、人から人へ拡がっていくものだという意識を持つことが大切です。

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