インタビュー

エキシマレーザー手術と有水晶体内レンズ手術―最新の屈折矯正手術

エキシマレーザー手術と有水晶体内レンズ手術―最新の屈折矯正手術
鈴木 雅信 先生

国際医療福祉大学三田病院  眼科学教授

鈴木 雅信 先生

この記事の最終更新は2015年12月04日です。

屈折矯正手術として日本国内で実施されている手術は、大別してエキシマレーザー手術と有水晶体内レンズ手術です。どちらの手術も眼鏡やコンタクトレンズに比べれば歴史が浅いものの、確実に進歩を遂げています。

この記事では、国際医療福祉大学三田病院眼科教授・鈴木雅信先生に、屈折矯正手術の進歩、そしてこれからの屈折矯正手術について解説していただきます。

角膜を削ってピントを合わせるLASIKやPRK手術ですが、実は屈折矯正手術の歴史自体は意外に古いものです。ソビエト連邦(現在のロシア共和国)のフィヨドロフ博士がRK手術を実用化した頃から、屈折矯正手術は進歩を続けています。RK手術とは、角膜を放射状に切開して屈折矯正する方法です。のちにアメリカの医師が技術を学び、手術が広がっていきました。日本では、フィヨドロフ博士がRK手術を普及させるよりも以前に、角膜にメスを入れる屈折矯正手術を開発し、実際に行っていたものの、結果が芳しくなかったこともあり普及しませんでした。

その後エキシマレーザーによるPRK手術が開発され、さらに、フラップ(ふた状の角膜)を用いるLASIKが開発されました。また、LASIKをさらに改良したReLExが開発され、患者さんの負担がより少なくなっています。

近年の屈折矯正手術の進歩を考えるうえで、特筆すべき手術はICLでしょう。ICLとは、「眼内コンタクトレンズ手術」「有水晶体眼内レンズ挿入術」などとも呼ばれる手術ですが、眼内にソフトレンズを挿入する手術です。LASIK以上に鮮明で自然な視力を獲得できるメリットがあり、乱視も同時に治すことができます。

このように手術法が進歩した理由は、生体に親和性が高くタンパク質が付着して濁ることがおきにくいレンズが開発されたことや、3㎜程度の切開でレンズを眼内に移植できる術式が確立したことが大きいといえます。

屈折矯正手術は、開発時当初はメスによる切開を行っていましたが、エキシマレーザーの実用化によって、より安全・確実に手術する方法が生まれています。

PRKではレーザーで角膜上皮を除去し、その後角膜をレーザーで削って角膜の厚さを調整します。LASIK(レーシック)では角膜にフラップ(ふた状の角膜の組織)を作り、角膜の内部にレーザーを照射して角膜を削った後、フラップを戻します。

SMILEと呼ばれる手術も進化した屈折矯正手術の一つです。SMILEは、LASIKやReLExと違い、角膜を薄く削ったフラップ(ふた状の角膜)を作りません。角膜の周辺部を2~3ミリ切開し、レンズ状に切り出した角膜を除去し、角膜全体の厚さを調整する手術法です。LASIKやReLExは、一定の頻度で術後にドライアイが起きますが、SMILEはドライアイが起きにくいことがわかっています。

また、LASIKは、スポーツをされる方や外傷が起きやすい仕事をしている方は慎重に実施しなければなりませんでした。これに対し、SMILEはフラップを作らない手術のため、患者さんの社会的な制限が起きにくいメリットがあります。  

有水晶体内レンズ手術においては、眼球内を流れる房水の流れを妨げないよう、虹彩に穴を開ける必要がありました。しかしレンズの中心に穴を開けたHole-ICLは、レンズの穴から眼球内の房水が流れるため、以前の眼内レンズ手術のように虹彩に穴を開ける必要がありません。術後の白内障もおこりにくくなっています。

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