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インタビュー

膝靭帯損傷および半月板損傷の治療。膝関節損傷の治療(1)

膝靭帯損傷および半月板損傷の治療。膝関節損傷の治療(1)
望月 義人 先生

浅草病院 整形外科 人工関節センター長

望月 義人 先生

膝の関節はスポーツによる故障が非常に多い部分です。その中でも前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)や半月板の損傷は競技生活への影響が大きいことで知られています。股関節・膝関節外科を専門とされ、スポーツ外傷の治療経験も豊富な武蔵野赤十字病院整形外科の望月義人先生に、膝関節の靭帯と半月板損傷の治療についてお話をうかがいました。

膝前十字靭帯の損傷は、放置すると二次的に半月板や関節軟骨の損傷を引き起こす原因にもなるため、基本的には手術による再建を行います。靭帯は一度切れたものが自然に治るということはほぼありません。また縫合によって結合させても癒合(ゆごう)することが難しい組織です。このため、別のところから組織を取って再建します。膝関節は大きく切開するとダメージが大きく、スポーツへの復帰に悪影響があるため、低侵襲な(身体を傷つけることが少ない)内視鏡手術を行います。

再建に使用する組織は大きく2種類に分かれます。ひとつは膝屈筋腱(ひざくっきんけん)で、もうひとつは骨付き膝蓋腱(しつがいけん)です。どちらを使用するかは医師の考え方にもよりますが、屈筋腱が6割、骨付き膝蓋腱が4割といったところです。私の場合は、患者さんの状況に応じて使い分けをしています。

両者を比較すると、骨付き膝蓋腱の方が明らかに優れた素材であることは確かです。丈夫で伸びないうえに移植先の骨とくっついた時の安定性にも優れています。しかしその反面、再建に使用した場合に失うものも大きいといえます。デメリットのひとつは膝の前面痛を起こしやすいということです。そして、再手術が必要になった場合のことも考慮する必要があります。

骨付き膝蓋腱を取るときには、薄筋腱(はっきんけん)などの屈筋腱を傷つけてしまうことになり、再手術をする場合は同じ側の脚の屈筋腱を使うことが難しくなります。このため、反対側の骨付き膝蓋腱を使うしか方法がありません。

最初の再建で屈筋腱を使った場合には、同じ側の骨付き膝蓋腱を使って再手術をすることが可能ですが、その逆の場合、丈夫な骨付き膝蓋腱を使った後の再手術で強度の劣る屈筋腱を使うということになってしまいます。ただしこれはあくまでもひとつの考え方であり、医師によってそれぞれ考え方は異なります。

  • 内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)損傷

単独の損傷であれば、ギプスや内側側副靭帯用サポーターの装着でほとんどの場合治癒可能です。ただし、複合靭帯損傷(他の靭帯と同時に損傷している)の場合には、他の靭帯の再建時にあわせて手術をすることもあります。

  • 後十字靭帯(こうじゅうじじんたい)損傷

スポーツに支障を来たさない場合が多いので、まず保存的治療としてサポーター装着・テーピング・大腿四頭筋の筋力トレーニングなどのリハビリテーションで様子を見ます。その上で改善がみられない場合には靭帯再建術を行います。

半月板損傷は靭帯断裂などの場合とは異なり、ある程度自然修復する可能性があり、痛みがなくなることも少なくないため、ただちに手術を考えるというわけではありません。日本では一般的にまず保存的治療を行い、それでも痛みが残る場合や、ロッキングといって半月板が関節内ではまり込む症状が起こっている場合に手術を行います。

また、手術以外の選択肢としてヒアルロン酸注射という方法もあります。保険適応ではありませんし、治療効果について明確なデータがあるわけではありませんが、一般的に行われている治療のひとつです。

従来は半月板の傷ついた部分を切除する手術が中心でしたが、切除後に変形性膝関節症が進行することが考えられます。現在は縫合技術や機器が進歩していることから、損傷部分を縫合する手術も多く行われています。

手術は基本的に関節鏡を用いて行いますが、場合によっては補助的に小さく切開して行うこともあります。いずれにしても大きく切開することはありません。大きく切開すると術後に痛みや拘縮を起こしやすいというデメリットがあるうえ、膝の後ろ側などはたとえ大きく開けても見えにくく、直接触れることができません。膝関節は関節鏡による手術に適している部位であるといえます。

関節鏡手術は低侵襲といっても、執刀する医師の経験と技量に左右される部分が非常に大きく、誰が担当しても同じ結果になるわけではありません。そういう意味でも関節鏡手術の件数は患者さんにとって判断材料になりうると考えます。

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    望月 義人 先生

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