新型コロナウイルス感染症特設サイトはこちら
インタビュー

前置胎盤の分娩-出血のリスクや赤ちゃんへの影響は?

前置胎盤の分娩-出血のリスクや赤ちゃんへの影響は?
種元 智洋 先生

東千葉メディカルセンター 産婦人科副部長

種元 智洋 先生

前置胎盤の最大のリスクは分娩時の大量出血とも言われており、分娩方法はほぼ100%帝王切開となります。また、妊娠中の出血の程度によっては、緊急帝王切開が必要となることも少なくはありません。今回は、分娩時に考えられるリスクの詳細や赤ちゃんへの影響について、東千葉メディカルセンター 産婦人科副部長の種元智洋先生にお話しいただきました。

前置胎盤の分娩には、大量出血をはじめとする高いリスクが伴うため、NICUのある総合病院や大学病院で対応することとなります。また、妊娠後期になると出血頻度も増していくので、人工早産となる場合も多々あります。妊娠中に緊急帝王切開が必要になるような出血がない場合は、胎児の成長を待ち、妊娠37週以降を目安に帝王切開を行います。

前置胎盤の場合、分娩時の大量出血にそなえ、あらかじめ2~3回自己血貯血をするのが望ましいとされています。また、自己血では足りないほどの出血が起きた場合に備えて、輸血の確保も万全にしておきます。ただし、実際に輸血を行うか否かは、母体の状態(貧血の程度や心拍数、血圧など)によって変わりますので、必ずしも全てのケースで輸血を必要とするわけではありません。

手術時間は止血にかかる時間などにより変わりますが、早くて普通の(逆子などの)帝王切開と同じ程度で、ほとんどは長くなると考えていただいて間違いないでしょう。

前置胎盤による大量出血は母体死亡の大きな原因であり、分娩時に母体の生命にかかわるほどの出血が起きた場合は、やむをえず子宮摘出の処置がとられることもあります。1993年のデータになりますが、前置胎盤の3.5%症例に子宮摘出が必要であったという報告もなされています。

先に述べたように、前置胎盤の場合は早産になる可能性も高く、そのこと自体が赤ちゃんの負うひとつのリスクであると言えます。しかし、母体からの出血が多く、34週未満で早産児として生まれた赤ちゃんは、前置胎盤であったかどうかということは関係なく、早産児としてのリスクを負うだけ、つまり「生まれた時の週数のリスクを週数相当に負うだけ」ということになります。前置胎盤の出血は母体からのものであり、出血量が多いことが赤ちゃんに影響を与えるといったことはありません。他の早産児と同じように、NICUにも生まれた週数に応じて入院することとなります。

帝王切開には縦切開と横切開、2種類の切開法があります。縦切開は何かあった時に切り口を広げやすく、手技的に簡単というメリットがあり、横切開は傷が目立ちにくく、美容面で優れているというメリットがあります。

現在、施設によっては縦と横どちらの切開法も行うこともありますが、前置胎盤の場合はリスクが高くなるため、そのような施設であっても縦切開しか行わないことがあります。当院では、あらかじめ出血が少なそうであると考えられる場合に限り横切開を行うこともありますが、その件数は少なく、ほとんどは縦切開となります。

また、よりリスクの高い癒着胎盤を合併している疑いが持たれる場合は、縦切開のみでの処置となります。前置胎盤の危険な合併症である癒着胎盤については、次の記事で詳しく解説していきます。

受診について相談する
  • 東千葉メディカルセンター 産婦人科副部長

    種元 智洋 先生

「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

    関連記事

  • もっと見る

    関連の医療相談が2件あります

    ※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しておりますが、アプリからは初回のみ無料でご利用頂けます。初回利用後も、自動で課金される事はありません。

    「前置胎盤」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。