インタビュー

尿路結石を再発させないために。若者も注意が必要

尿路結石を再発させないために。若者も注意が必要
中島 雄一 先生

飯塚病院  泌尿器科部長

中島 雄一 先生

この記事の最終更新は2016年05月09日です。

尿路結石にはできやすい場所が3つあるといいます。また、再発を繰り返すのも尿路結石の特徴ですが、最近では若い年代の患者さんが増えているともいわれています。そのような尿路結石の現状について、飯塚病院泌尿器科部長の中島雄一先生にお話を伺いました。

腎臓・尿管・膀胱・尿道など尿の通り道を尿路といいますが、尿の成分の一部が結晶化して石のように固くなり、この尿路のいずれかにとどまってしまうことがあります。これを尿路結石といいます。尿路には狭くなっている箇所が3つあり、多くの場合そのいずれかの部分に石が詰まります。

狭くなっているうちのひとつめは、腎臓から出てすぐの腎盂尿管移行部(じんうにょうかんいこうぶ)というところです。ふたつめの箇所は、総腸骨動脈交叉部(そうちょうこつどうみゃくこうさんぶ)といって、腎臓から膀胱にかけて下りていく尿管と、足のほうに向かって下りていく大きな血管が交叉する部分になります。そしてみっつめは、膀胱尿管移行部(ぼうこうにょうかんいこうぶ)といい、尿管から膀胱に入る直前のところです。

石の大きさが3~4mm程度と小さく自然排石が可能な場合は、水分をたくさん摂っていただいて自然に石が出るのを促します。水分の摂取量は、1日にだいたい1500mlから2000ml程度摂っていただくようにしています。ただ高齢者の場合はそこまで摂ると少し多いかもしれませんので、およそ1500ml程度を目安にしています。

水分といっても、現代は様々な種類の飲み物がありますが、一番いいのはやはり「水」です。2005年ごろ、アメリカで尿路結石のときにどのような飲み物が有効かという研究をされた医師がいて、論文を出していました。その論文でも、水が一番いい結果であったと報告されていました。

お茶がいいといわれたりしますが、一番茶など良質のお茶を飲むのはよくありません。せめて玄米茶かほうじ茶にしてもらうといいでしょう。紅茶やウーロン茶は石ができやすくなります。もちろん、ビールもよくありません。ビールは尿酸値が上がって尿が酸性化するので石ができやすくなります。 その他コーヒーやココアもできやすいといわれています。

グレープフルーツ飲料もよくありません。通常、柑橘類はどちらかというと石をできにくくする働きがあるのですが、グレープフルーツに関しては、シュウ酸の量が他の柑橘類とは全く異なっているため、ジュースであってもよくありません。

尿路結石の最大の問題は、再発を繰り返すということです。一度できると二回、三回と繰り返しできることが非常によくあります。飯塚病院でも再発に関する統計をとっていますが、再発の割合はおよそ6割から7割程度です。

再発する要因としては、体質もありますが、住んでいる地域や生活習慣といったものが大きいと考えられます。再発させないためには、やはり食生活が重要で、生活習慣や食習慣を整えることが必要になります。

近年の尿路結石の特徴は、若者に増えてきているということです。飯塚病院でも2014年、2015年と高校生くらいの男子や女子が数人、救急車で運ばれてきました。この年代というのは、一般的に大人がかかるような病気にならない年齢です。しかし、生活習慣の乱れなどで、大人がかかるような病気に子どもたちも罹患(りかん)するようになっています。近年、子どもの肥満が増えているといわれていますが、少々肥満気味でジャンクフードが大好きといった子どもは石ができやすいので親御さんが注意してあげる必要があります。

結石の予防としては、バランスのいい食事をして、水分を多めに摂って、からだを動かすことといえるでしょう。要するにメタボリックシンドロームの改善が石の予防につながるということになります。

 

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