
尿路結石には緊急を要する病態とそうでないものがあり、治療についてもいくつかの方法があります。自然に排出されるようにする保存的な治療のほか、結石を砕く体外衝撃波結石破砕術と経尿道的尿管砕石術について、済生会宇都宮病院泌尿器科主任診療科長の戸邉豊総先生にお話をうかがいました。
多くの場合、結石の大きさが6mm以下のものに関しては尿道からの排出ができるのではないかといわれており、最大7mmぐらいまでは出せるのではないかともいわれています。
この保存療法に取り入れられている薬剤として、前立腺肥大症の治療に用いられるα-1ブロッカーがあります。α-1ブロッカーは尿管を拡張させる働きがあり、結石の自排率(自然に結石が排出できる割合)が1.2〜1.3倍になるといわれています。このような薬剤を併用することによって保存的に治療、つまり尿道から結石を出しやすくします。
それでも結石が出ないような場合、または尿管に石が詰まって腎臓が腫れて水腎症(すいじんしょう)と呼ばれる状態になり、腎機能を低下させるような場合には、いわゆる積極的治療の適応になります。
無麻酔でできる治療としては、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)があります。これは衝撃波発生装置の上で患者さんに横になっていただき、体の外から衝撃波を当てて結石を破砕するというものです。済生会宇都宮病院の泌尿器科では、1990年に栃木県でもっとも早くこの装置を導入しています。
ESWLは麻酔なしで行える安全な治療法ですが、あまり大きな結石や、がっちりと尿管にくっついているものに対してはなかなか効果が上がらないという欠点があり、また大きな結石では砕いた細かい破砕片が尿管に詰まってストーンストリートと呼ばれる状態になってしまうこともあります。
済生会宇都宮病院の泌尿器科では、経尿道的尿管砕石術(TUL)を積極的に行っており、年間100例を超える患者さんに実施しています。これは尿道から内視鏡を入れて結石のところまで到達させ、ホルミウム・ヤグレーザーで石を砕くという方法です。ごく細いファイバースコープを尿管や腎盂(じんう・腎臓と尿管の接続部で腎臓からの尿が集まるところ)の中まで入れ、結石を見ながらレーザーファイバーを操作してレーザーで直接石を砕くので、砕石効率が非常に良い方法です。
YAGレーザー(ヤグレーザー)には、Nd:YAGレーザー(ネオジウム・ヤグレーザー)とHo:YAGレーザー(ホルミウム・ヤグレーザー)があります。経尿道的尿管砕石術で一般的に用いられるのはホルミウム・ヤグレーザーです。ホルミウム・ヤグレーザーの到達度は0.4mmと短いので、結石は砕いても尿管の組織を傷つけにくいという特徴があります。
結石が砂状に粉砕されれば自然に体外へ排出され、治療が完了します。もしブロック状の破片がある場合には、内視鏡で腎盂から回収することもできます。
尿路結石には、緊急を要する病態と経過をみてもよい病態の2つがあります。熱がある・腎不全を起こしている・腎臓が片側のひとつしかないなど、下記のような緊急を要する病態の場合には、速やかな処置が必要です。
・両側の尿管に結石が詰まっている
・腎臓が一つしかなく、その尿管に結石が詰まっている
・結石が尿管に詰まったことによって尿路が破裂して周囲に尿がもれている
このような場合には、腎臓に直接カテーテルを入れる腎瘻(じんろう)や、尿道からカテーテルを入れて尿をドレナージ(排液)する尿管ステントが必要になることもあります。ただし、割合としては腎瘻よりも尿管ステントのほうが圧倒的に多いです。
痛みを訴えて救急で来られた患者さんであっても、緊急を要する病態でない場合には、疼痛を取り除くという処置にとどめます。座薬や注射による痛み止めや前述した尿管を拡張させるα-1ブロッカーに加えて、指圧も有効です。腰背部に腎兪(じんゆ)という痛みのツボがあり、そこを指圧することで患者さんの痛みが軽減できます。座薬や注射と比べても即効性があり、これらの痛み止めが効くまでの間、かなり多くの患者さんに効果があります。
済生会宇都宮病院 泌尿器科 主任診療科長
周辺で尿路結石の実績がある医師
国立国際医療研究センター病院 病院長/泌尿器科 診療科長/第一泌尿器科 医長
内科、血液内科、リウマチ科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器内科、呼吸器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、乳腺腫瘍内科、膠原病科
東京都新宿区戸山1丁目21-1
都営大江戸線「若松河田」河田口 徒歩5分、東京メトロ東西線「早稲田」2番出口 徒歩15分
北里大学北里研究所病院 泌尿器科 部長(北里大学医学部 准教授)
内科、リウマチ科、外科、精神科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、整形外科、形成外科、美容外科、皮膚科、泌尿器科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、内分泌内科、代謝内科、膠原病内科、脳神経内科、血管外科、病理診断科
東京都港区白金5丁目9-1
東京メトロ日比谷線「広尾」1・2番出口 徒歩10分、東京メトロ南北線「白金高輪」3番出口 徒歩13分
東京泌尿器科医会 会長、武蔵野陽和会病院 病院長・理事長
内科、外科、神経内科、脳神経外科、腎臓内科、整形外科、皮膚科、泌尿器科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科
東京都武蔵野市緑町2丁目1-33
JR中央・総武線「三鷹」北口 北裏行き、武蔵関行き、田無橋場行き 緑町住宅(武蔵野陽和会病院前)下車 バス、JR中央・総武線「吉祥寺」北口 市役所行き、市役所経由 柳沢駅行き 緑町住宅(武蔵野陽和会病院前)下車 バス、西武新宿線「武蔵関」南口 三鷹駅行き 緑町住宅(武蔵野陽和会病院前)下車 バス、西武新宿線「西武柳沢」南口 三鷹駅行き、吉祥寺行き 武蔵野住宅下車 バス
関連の医療相談が19件あります
下腹部と熱
昨日尿管ステントを抜去しました。内視鏡での手術だったのですがコロナ禍の為手術が延長されておりました。 先日ステント交換とCTをやり結石がなくなっていた事からステントの抜去をしたのですが脇腹が痛くて寝られません。熱は37.6頭痛倦怠感もあり風邪なのかステント抜去のせいなのかがわかりません。 泌尿器科に行けば良いのか内科に行けば良いのか教えてくれましたら嬉しいです。 現在ファロムを1日3回飲んでます。
尿管結石の大きさ17ミリ
8年前に尿管結石になり、その時の結石の大きさは17ミリでしたが、そのまま8年間放置して今に至ってます。腎臓も正常で安心してたのですが、最近左腰の下の方に我慢できるくらいの痛みがあります。座薬入れればすぐ治り日常生活できます。ドクターは尿管結石か骨盤斑か判断できないと言ってますが、そもそも17ミリの結石が8年間放置されても何の症状もないっていうことあるのでしょうか?
尿管結石の事前検査について
1年ほど前に尿管結石になったものです。 尿管結石の再発症率はとても高いと聞き再度痛みが出る前に未然に防ぎたいと考えております。 定期検診やその他個人でできる検知方法は何かありますでしょうか?
腎臓結石について
新しく質問させて頂きます。 尿路結石で何度も質問してお世話になってます。 4月8日に症状がでて、15日CTにて尿路結石を確認、20日経過で排石4ミリの結石。それからも背中や下腹部に我慢できる範囲の痛みはありました。5月15日にCTで異常なく、22日に読影により、左腎臓に3ミリ弱の結石を確認。左側に我慢できる痛みはあります。心配で4月のCTを確認したら、読影後に腎臓結石、左右に5個最大4ミリの結石あり。でした。 初めの激痛から既に腎臓結石はあったそうです。 只、5月22日のCTでは、左腎臓に3ミリ弱の結石と聞いてます。 初めにあった腎臓結石は知らぬうちに流れてしまったのでしょうか? 何にしても、水分をとり流しやすくするしかないと思い、1日2リットル飲むようにしています。 後、食事も和食にスクワット、運動も無理をしないように始めました。 リン酸カルシウムが大半の成分だったので、心配はロックアイスを使用してるのはミネラルウォーターと同じになりますか? 医師からは必ずしも、激痛を起こすとは限らないと聞き、水分は欠かしてません。 やはり、激痛が恐く、腎臓結石がこれ以上大きくならないように気をつけたいので、再度、アドバイスをお願いします。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「尿路結石」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。