尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で発症する性感染症で、性交渉が盛んな若い世代を中心に年間約10万人もの方々が感染すると言われています。たとえイボが消えたとしても、ウイルスは体内にとどまり続けます。そのために尖圭コンジローマは正しい治療を行い完治させなければ再発してしまいます。今回は尖圭コンジローマの治療についてです。
尖圭コンジローマの治療方法には、「外科療法」と「薬物療法」があります。 外科的療法には外科的切除、電気焼灼(しょうしゃく)、凍結療法(液体窒素)、レーザー治療があります。 もうひとつの薬物療法とは、抗癌剤の軟膏などによる治療方法です。 病変部・大きさ・数・性状・再発傾向・治療歴などをふまえて外科治療方法と薬物治療方法を選択、治療を行います。
しかし、目に見える部位の尖圭コンジローマを治療したとしても、ほかの部位へと感染していることも考えられます。そのため、尖圭コンジローマは数週間にわたり繰り返しの治療を行う場合もあります。
現在保険で使用できる外用薬は、イミキモドクリームのみとなります。イミキモドクリームは、外性器と肛門周囲の尖圭コンジローマに対して優れた効果を発揮します。ウイルスから身体を守る免疫機能を高めるので、HPVの増殖を抑えたり、ウイルスが感染した細胞を障害したりしてイボを治します。
イミキモドクリームは、尖圭コンジローマに1日1回、1週間に3回就寝前に患部に塗ります。6〜10時間後の起床時に、塗布した薬剤を石けんなどを使って洗い流します。イミキモドクリームは最低2週間程度(8回)塗布すると、イボやその周辺に赤みやただれ、表皮剥離などの皮膚反応が高頻度(約80%)にあらわれます。このころまでにはイボが少し小さくなっています。イミキモドクリームは最大16週間まで保険適用となります。尖圭コンジローマは治療に長い時間を要するので、諦めず継続できるように医師と協力して治療するのが重要です。
日本国内の臨床試験でベセルナクリームを使用した64例の中で、53例(82.8%)に副作用がみられました。確認された副作用として、塗布部位の紅斑・びらん・表皮剥離・浮腫・疼痛などがあげられます。このような皮膚反応が激しく見られる時には、イミキモドクリームの使用頻度を下げることもあります。
尖圭コンジローマの外科療法には、イボをマイナス196度にも達する超低温の液体窒素で凍らせて取り除く冷凍療法「凍結療法」、イボを電気メスで焼く「電気焼灼」、レーザー治療はイボを炭酸ガスレーザーで取り除く「レーザー治療」、専用の器具でイボを切除する「外科的切除」があります。これらの治療法の中からイボの状態等によって最適な治療法を選択します。
プライベートケアクリニック東京 院長
尾上 泰彦 先生の所属医療機関
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