インタビュー

尖圭コンジローマの外科療法について

尖圭コンジローマの外科療法について
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

この記事の最終更新は2015年12月01日です。

尖圭コンジローマの外科療法として行われているのは凍結療法・電気焼灼・レーザー治療・外科的切除の4種類です。日本性感染症学会では、外科治療のなかで最も効果の高い治療方法として、凍結療法と電気焼灼を推奨しています。今回は、4つの外科療法についてのお話です。

イボとその周辺部位を約マイナス190度の液体窒素で凍らせて取り除く方法で、尖圭コンジローマ以外のイボの治療にも用いられています。この治療方法のメリットは広範囲に使用できること、イボが再発もしくは残存した時にも繰り返し凍結を行えること、凍結中は痛みが少ないことがあります。

このようなメリットもありますがその一方で、患者さんによっては痛みが数日間残ること、治療が不十分だった場合には再発を繰り返す場合があるといったデメリットがあります。いずれにしても、早期に治療を行うことができれば有効な治療法と言えるでしょう。

電気焼灼法とは、高周波電流のメスでイボを焼く方法です。この治療方法を行うには、手術前に局所麻酔が必要となります。腫瘍の表面のみを焼杓しても不十分で再発してしまうことが多いので、深く広範囲に焼勺を行う必要があります。そのため、組織障害の程度が比較的強く、結果として手術痕が残る可能性があります。

レーザー治療法とは、炭酸ガスレーザーにて蒸散を行う方法です。この治療方法でも局所麻酔を行う必要があります。上記の電気焼灼方法と比べて傷害深度は非常に浅いので、術後の患者さんの負担は軽いです。しかしイボに直接レーザーを照射すると、イボ周辺の部位にウイルスを拡散してしまい、周辺に再発を誘発することがあります。

レーザー治療法は外科的切除や電気メスで大まかにイボを切除した後、再発予防のための追加療法として使われることが多いです。レーザーだけで手術しなくては行けない場合には、イボ周辺にウイルスが拡散しないようイボ本体の周辺から照射していきます。このとき皮膚の深層まで焼灼するので、手術痕が残ることがあります。

外科的切除とは、リング鉗子(かんし)という専用の器具を使ってイボを切除する方法です。術前にイボの根元に局所麻酔薬を注射し、イボを深い層も含めて切除します。切除した後は周囲を電気メスで焼灼することで、イボが再発する確率を減らすことができます。イボが少ない場合には1〜2週間程度で手術痕もほとんど残らないほどにきれいに回復することが多いです。他の方法に比べ出血するので、イボの切除後は電気メス等で止血する必要があります。

これまで4種類の治療方法をご紹介しました。尖圭コンジローマのイボを切除する場合には、数や大きさなどに応じてこの4種類のなかから最適な治療法を選択します。また必要に応じては、薬物療法と併用することもあります。

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