尖圭コンジローマは性感染症の中でも比較的多い感染症です。ヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされ、男女ともに外性器やその周辺にイボができます。尖圭コンジローマは外科的処置や薬による治療、もしくはそれらの併用で治療を行いますが再発を頻繁に繰り返す性感染症です。尖圭コンジローマの完治について、臨床経験豊富な尾上康彦先生に伺いました。
2015年の段階で性感染症のガイドラインに診断・治療方法が定められている性感染症は17疾患あります。ヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされる尖圭コンジローマは、この17疾患のなかのひとつで、ウイルスが感染した部位にイボを作ります。
HPVには現在確認されいてるだけでも150近い種類が確認されていますが、このなかで尖圭コンジローマとしてイボを作り出すのはHPV6型・11型です。ウイルス感染後、実際にイボが目視で確認できるようになるまで3週間から8ヶ月ほど個人差があるため、ウイルスを保有している人と接触してすぐに検査を行っても症状を確認できないことがあります。
尖圭コンジローマのイボが確認されやすい部位として、男性では亀頭・包皮・陰嚢・外尿道口・肛門周辺、女性は腟口、腟前庭、小陰唇、大陰唇があります。
女性の尖圭コンジローマについて、詳しくはこちら「女性の尖圭コンジローマの症状」
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)によってイボが生じる性感染症です。男性の尖圭コンジローマは、亀頭部、冠状溝、包皮内板に確認することが多いです。確認されるイボも鶏冠状(ニワトリのとさかのような形)のものから、樹枝状のもの、乳頭状のものまで実にさまざまです。
こうした部位に生じるイボは比較的発見しやすいのですが、見逃してしまいがちな部位にイボを確認することがあります。たとえば、尿道口にわずかに尖圭コンジローマが発症している場合は、尿道口内を入念に診察しないと見逃してしまいます。また陰茎根部(基部)にイボが生じているときには陰毛に隠れてしまいがちなので見逃しやすくなります。
尖圭コンジローマは性器周辺にイボを確認することが多いですが、MSM(男性間性交渉者のこと。Men who have sex with men)では性器以外に肛門周辺にも確認することがあります。もし肛門周辺に尖圭コンジローマを確認した場合には、HIVや梅毒を併発している可能性があるので検査は必須といえるでしょう。
詳しくはこちらから「HPVが引き起こす尖圭コンジローマ以外の疾患について」
尖圭コンジローマの特徴的な症状であるイボをつくる原因、ヒトパピローマウイルス(HPV)は粘膜や皮膚に生じた小さな傷から侵入します。このHPVは性交経験のある女性のうち60~80%に感染しているという説もあるほどありふれたウイルスですが、実際に尖圭コンジローマの症状を起こす原因となるのはHPV6型もしくはHPV11型です。
このHPVが侵入する経路の代表例は性行為等です。近年では性的行動の多様化により性器以外にも口腔咽頭内部への感染を確認することも多いです。とくにMSM(男性間性交渉者のこと。Men who have sex with men)の場合、アナルセックスにより肛門や直腸内にHPVを確認することもあります。
尖圭コンジローマはどういう状態を「完治した」と呼ぶかは大変難しい問題です。 尖圭コンジローマは治療しても30%以上の確率で再発します。そのため臨床的には、尖圭コンジローマは見かけ上イボが消失してから3ヶ月以上再発しない場合を「治癒」としています。しかし治療後6ヶ月以上経ってからイボが再発する場合もあるので、私が判定をする際には1年以上再発しない場合を完治としています。
「尖圭コンジローマの治療」でもご紹介したように、尖圭コンジローマの治療は2007年にイミキモドクリームが保険診療の対象になり、第一選択となりました。
イミキモドクリームをイボやその周辺に塗布、6〜10時間後に石けんなどを使用して洗い流します。これを1日1回、1週間に3回行い、最低でも2週間程度と長い期間続ける必要があります。そのため、患者の治療意欲が低下していくことも多々あります。
個人差はありますが、イミキモドクリームの塗布を続けると約80%の方に塗布部が赤くなったり、ただれたりする皮膚反応が起こることがあります。こうした理由から、治療を途中で中断してしまい尖圭コンジローマの完治に至らないことがあります。治療の際は諦めず継続できるよう医師と協力して完治を目指しましょう。
繰り返しになりますが、尖圭コンジローマはどんな治療を行っても15〜30%の確率で再発します。そのため、尖圭コンジローマの治療においては「イボが消失すること」が1番の目標ですが、イボを目で確認できなくなってからも3ヶ月の経過観察が非常に重要になります。
尖圭コンジローマを完治させるためにも、治療の途中で勝手に塗布を止めず、専門の医師の指示に従って適切な治療を行いましょう。
症状の進行には個人差がありますが、尖圭コンジローマを放置してしまった場合イボが大きくなるほかイボが増加することもあります。このように症状が進行するだけでなく、尖圭コンジローマを大切なパートナーにも感染させてしまう可能性があります。 尖圭コンジローマは、コンドームの使用だけで感染を完全に抑えることはできません。尖圭コンジローマかもと不安を感じたら、すみやかに専門医による診察を受けましょう。
プライベートケアクリニック東京 院長
尾上 泰彦 先生の所属医療機関
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