インタビュー

細菌性腟症の検査

細菌性腟症の検査
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

この記事の最終更新は2016年01月01日です。

腟トリコモナス症や性器カンジダ症のように原因となる微生物等が特定されている腟炎・腟症がある一方で、病因が完全には解明されていないものがあります。これが細菌性腟症です。この細菌性腟症の検査はどのように行われるのでしょうか。引き続き、性感染症治療の第一人者である尾上泰彦先生に伺いました。

約半数の方が無症状であるといわれていますが、帯下(たいげ。「おりもの」のこと)の臭いに異変を感じて、もしくはパートナーに指摘されて受診に至るというケースが多いです。

細菌性腟症の検査と診断は、腟分泌物の性状のほかにアミン臭の有無、腟粘膜の炎症の様子、腟分泌物のpH、分泌物内の細胞などを判断材料にして総合的に診断されます。この診断は医師のこれまでの臨床経験をもとに下されることもあります。

細菌性腟症の可能性があるときには以下の検査を行い総合的に判断します。

細菌性腟症が疑われる方から、腟分泌物を採集します。この分泌物をスライドグラスに塗布してグラム染色をして検体を作成し、油浸レンズ(1,000倍)で観察します。この時に確認される菌数をスコア化し、このスコアの計数によって判断する方法です。このスコア が一定以上の場合、細菌性腟症に関連する微生物の培養検査を行うことが望ましいとされています。

この方法は客観的に細菌性腟症の診断を行うことができるのですが、検体の観察にはある程度の習熟が求められることから、検査を行う方によって判定結果に差が生じる可能性があります。そのため特異性(false positiveの問題)や治癒判定に問題があるという指摘があります。

>4.5よりも>5.0がより実用的とされています。

トリメチルアミン・チラミンなどの有無を検査します。

他の腟炎・腟症と比較して、合理的に判断する方法です。細菌性腟症の場合には、帯下感が多いか(腟トリコモナス症)、掻痒感があるか(性器カンジダ症)などに焦点を当てま す。

細菌性腟症は性感染症というよりも、性感染症関連疾患として取り扱われています。性的パートナーが多い方、IUD(子宮内避妊具)を使用してる女性は特にリスクが高くなるといわれています。細菌性腟症は女性特有の疾患のため男性の性的パートナーへ感染することはありませんが、不特定多数とのセックスをしないなどを心がけ、「パートナーと愛のある健康なセックス」をしましょう。

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