インタビュー

発達外来とは。高次機能発達障害児や代謝異常症の子どもを診る

発達外来とは。高次機能発達障害児や代謝異常症の子どもを診る
新宅 治夫 先生

大阪市立大学 大学院医学研究科 障がい医学・再生医学寄附講座 特任教授

新宅 治夫 先生

この記事の最終更新は2016年02月18日です。

近年、小児科では発達外来という窓口を設けている病院も増えてきました。今回は一般的な発達外来の内容について、また大阪市立大学医学部附属病院の発達外来で扱っている病気についてご説明します。大阪市立大学大学院医学研究科 発達小児医学分野教授の新宅治夫先生にお話を伺いました。

発達外来とは、一般的には 言葉の発達が遅い・落ち着きがないといった、言語や運動の高次機能発達障害の小児を対象とした外来です。高次機能発達障害とは、自閉症・アスペルガー症候群学習障害ADHDなどの発達障害のことを指します。実際のところ、医療機関で扱う対象も高次機能発達障害のお子さんが多くなってきました。多くは小学生までのお子さんを対象としており、こども病院や小児科外来のひとつとして開設されています。

一般的な発達外来で対象としている高次機能発達障害においては、以下のような症状が見られることがあります。

・落ち着きがなく、じっとしていられない

・特定のものに強いこだわりをもち、いつもと同じものやことを好む

・思い通りにならないと、突然激しいかんしゃくを起こす

・偏食である

・手先が不器用である

・全く人見知りをしない

・視線が合わない

・同年代の他の子とうまく付き合うことができない

発達外来の受診のきっかけとしては、乳幼児健診等で発達の遅れを指摘されて来院するケースもあります。

一般的な発達外来では、前項でお話したような高次機能発達障害の子どもたちを対象としていますが、大阪市立大学医学部附属病院の発達外来は対象とする患者さんが少し異なっています。

大阪市立大学医学部附属病院ではメンケス病などの代謝性疾患を対象とすることが多く、背景にある疾患の早期発見・早期治療を目的とした外来をメインで行っています。そのため大阪市立大学医学部附属病院における発達外来では、患者さんが新生児期のマススクリーニングにおいて何かしらの疾患で陽性の疑いがあり、詳しい検査のために紹介されてくるケースが多いのです。

先天性疾患の症状はさまざまですが、対象年齢は新生児~乳児で、寝たきり・発話できないなど比較的重度の発達障害がある子どもが多くなっています。 

大阪市立大学医学部附属病院の小児科では、このような疾患を扱っている代謝性疾患の専門医が在籍しています。またタンデムマススクリーニングや代謝産物分析といった、より詳しい検査も充実しているため、詳細な診断の確定から治療までを行うことができます。さらに大阪市立大学医学部附属病院には食事指導ができる栄養士も在籍しています。

代謝性疾患においては、治療と同時に食事指導が非常に重要とされます。例えばフェニルケトン尿症の患者さんではフェニルアラニンと呼ばれるアミノ酸を除去するためにタンパク質を制限する食事(新生児期はミルク)をする必要があります。このような日常の食事指導を行うことができる栄養士は全国的に見てもさほど多くありません。全国的に見ると、診断されてもその後継続的なフォローができていないケースも見受けられますが、大阪市立大学医学部附属病院では診断から治療・そして栄養指導まで一貫して行うことができます。