「オピオイド鎮痛薬」は一般的な鎮痛剤です。オピオイド鎮痛薬は、たとえば骨折手術後の痛みのように、短期的かつ重い疼痛を抑えるのに役立ちます。また、がんなどの疾患による痛みを抑えるためにも有用です。
ただし、オピオイド鎮痛薬は、強力な薬剤であることに注意せねばなりません。また、この薬を関節炎や腰痛、頻繁に起こる頭痛など、長期間持続する痛みを抑えるために使用することは、通常適切ではありません。このような痛みのことを、「慢性的な」疼痛と呼びます。慢性疼痛にオピオイド鎮痛薬を使用する前に、必ず他の選択肢はないか、医師と相談し検討するべきです。一体なぜでしょうか。
慢性疼痛は、病院を受診する理由のうち、最も多いものの一つといわれています。慢性疼痛を訴える患者の5人に1人がオピオイド鎮痛薬を処方されています。
一般的なオピオイド鎮痛薬には、下記のものが含まれています。
オピオイド鎮痛薬は、短期の使用であれば役に立ちます。しかし、長期にわたる使用の効果は証明されていません。
オピオイド鎮痛薬を長期間繰り返し使用していると、体が薬に慣れて効き目が得られなくなっていきます。そのため、徐々にオピオイド鎮痛薬の投与量を増やすことになります。投与量が多くなることで起こり得る副作用には、次のようなものがあります。
また、オピオイド鎮痛薬には強い中毒性があります。米国では、オピオイド鎮痛薬を長期にわたって使用している方のうち4人に1人が中毒者となっています。これに加え、米国ではオピオイド鎮痛薬の多量投与により毎日46人が死亡していることも見逃せません。さらに、1日数百人という人が救命救急センターに運ばれています。
オキシコドンのような種類のオピオイド鎮痛薬は、毎月1000ドル(日本円で約110.000円)費用がかかります。この費用は、米国の場合加入している保険によってはカバーできますが、副作用が出た場合はさらに費用がかさむことになります。
オピオイド鎮痛薬を用いない疼痛治療により、より高い効果を得られ、リスクを減らせる可能性があります。
鎮痛治療の専門家は、最初にオピオイド鎮痛薬以外の治療(下記)を試すべきと述べています。
痛みの種類によっては、市販の鎮痛剤でも十分抑えることができます。下記に挙げる鎮痛剤は、服用方法を守り頻繁に服用し過ぎなければ安全なものです。
ジェネリック薬や薬局で販売されている医薬品は安価です。また、安全であるだけでなく、効果もあります。
下記の項目に従い、安全に服用しましょう
アセトアミノフェンの過剰摂取に気を付けましょう
米国の消費者レポートは、1日3250㎎以下に服用量を留めるよう推奨しています。
群星沖縄臨床研修センター センター長 、東京科学大学 臨床教授、獨協大学 特任教授、琉球大学 客員教授、筑波大学 客員教授、聖マリアンナ医大 客員教授、総合診療医学教育研究所 代表取締役、Choosing Wisely Japan 副代表、Journal of Hospital General Medicine 編集長
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