インタビュー

PCI(Percutaneous Coronary Intervention)を行うのが難しいケース

PCI(Percutaneous Coronary Intervention)を行うのが難しいケース
岡部 輝雄 先生

岡部 輝雄 先生

この記事の最終更新は2016年04月15日です。

PCIの治療技術においては日本がもっとも進んでいるとされていますが、なかには治療が難しいケースもあります。国際医療福祉大学三田病院心臓血管センターの岡部輝雄先生にお話をうかがいます。

血管の末梢(血管の終わりのほう)は非常に細くなっているため、ステントなどの器具が入れられない場合、治療ができないことがあります。しかし、ほとんどのケースにおいて治療が可能です。基準としては、たとえばステント留置術で使用されるステント(もっとも小さい2.25ミリ)が入れられる血管径以上です。

治療が難しいのは、動脈硬化の場所から血管が枝分かれしている分岐部病変や、人工透析を行っている場合などで動脈硬化部分が石のように硬くなったケース、左主幹部病変などです。また、PCIの適応になるケースでもっとも困難といわれる慢性完全閉塞病変や過去にバイパス手術をした方やステント留置を行った方が再び狭心症心筋梗塞になると治療が非常に難渋することがあります。

血管が完全に詰まってしまっているため、造影剤が詰まった部分から先へ流れず詰まった部分を見ることができません。

もし冠動脈が完全に閉塞している場合、心筋梗塞を発症してしまっていることも多くあります。一方、病変の周辺にある本来存在していない細い路地のような血管(側副血行路)が発達して詰まった冠動脈を助ける役割を果たしていることがあります。その場合、この側副血行路は他の冠動脈から、詰まった血管の先につながって逆方向から血流を供給するような状態になっています。この側副血行路が十分に発達している場合は、閉塞している領域の血管走行が見えるようになるため、側副血行路を通して逆行性に器具を病変部まで運び治療を行うことができます。

この「逆行性に器具を通す」という技術により、PCIによる慢性完全閉塞病変の治療は大きく改善し、バイパス手術の成績に肉迫しようとしてます。バイパス手術は、胸を開けて直視下で手術を行いますので、当然患者さんに対する負担や侵襲が大きくなります。幸いなことに、このPCIの技術がもっとも進んでいるのは日本です。この病変が見つかった場合、欧米では最近までバイパス手術の適応となっていましたが、日本のPCIによる治療技術を海外に持ち込むような形で現在では欧米でも慢性完全閉塞の治療はPCIで行われるようになっています。

 

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  • 日本循環器学会 循環器専門医日本内科学会 認定医

    岡部 輝雄 先生

    数ある施設のなかでもPCI治療後の生活習慣改善指導に力を入れる三田病院において、退院後も患者さんが良好な生活習慣を保てることを一番に考え診療にあたる。医師が主体となって生活改善への取り組みや経過観察のスケジュールを組むなどのサポートを積極的に行っている。

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