済生会宇都宮病院は3次救急を担う救命救急センターを併設し、多くの救急患者さんを受け入れています。そのため、外科では救急で運ばれた患者さんの緊急手術にも迅速かつ柔軟な対応が必要とされます。外科における救急疾患への対応について、済生会宇都宮病院外科主任診療科長の篠崎浩治先生にお話をうかがいました。
済生会宇都宮病院は3次救急の重篤な患者さんを受け入れる救命救急センターとしての役割を担っています。このため救急搬送の件数が非常に多く、外科で行っている手術の4分の1近くは、緊急もしくはそれに準じる形で搬送された患者さんが占めています。そういった地域の医療圏における病院の役割から、救急疾患に対する治療もかなり広い範囲まで外科が行っています。
また外傷患者に対しても、当院救急診療科外傷チームと協力し、主に腹部外傷に対する緊急手術を行っています。年間約30~50件の緊急腹部外傷手術が行われています。
通常、胆石症による胆石発作や炎症を伴う急性胆嚢炎(きゅうせいたんのうえん)に関しては、消化器内科で初期的治療を行った上で、手術適応症例が外科に回ってくるという流れが一般的に多いと思われますが、済生会宇都宮病院では総胆管結石症(そうたんかんけっせきしょう)を含む大きな括りでのいわゆる胆石症の大半を外科が担当し、内視鏡治療から手術まで一貫して診療しています。一例として、落下総胆管結石を有する胆嚢結石症の患者さんが、胆管炎や黄疸を主訴に外来を受診した場合、原則当日にERCPによる胆管結石の内視鏡治療を行い、翌日もしくは翌々日に、腹腔鏡下胆嚢摘出手術を行って、1週間前後の入院での治療の完結を行っています。
ですから、私も含めてここの外科に所属しているスタッフはほぼ全員、肝胆膵領域の内視鏡治療もひと通りできるようになっています。これはもちろんトレーニングされているからこそできることですが、緊急な手術にも対応しなければならない、目の前の患者さんを何とかしたいという思いがその原動力となっています。
我々外科の特色をひと言で申し上げるならば、緊急性の高いものから内視鏡治療まで幅広く対応しているということになりますが、それは済生会宇都宮病院の理念でもある地域医療の中核を担うということであり、言い換えればこの地域における「最後の砦」であるということを意味しています。
たとえば急性膵炎などの診療ガイドラインを見ると、急性化膿性閉塞性胆管炎で敗血症ショックを伴うようなものに関しては、高度な医療施設に搬入するようにフローチャートに示されています。しかし、この地域では済生会宇都宮病院がその高度な医療施設ということになります。そして、その中でどの診療科が対応するのかというと、それは我々外科の役割ということになります。
したがって、外科のスタッフほぼ全員が肝胆膵領域も含めた消化管、消化器一般の緊急対処ができる能力を備えています。さらに患者さんの手術後の管理に関しては、ICU専属医も含めた人員の面でも、またクオリティの面でも集中的に質の高い治療を行なっています。
大学病院や専門病院のように、ひとつのことに特化した最先端の領域で世界に向かって発信していくということに関しては、決して秀でているとはいえない部分があるかもしれません。しかし、我々はこの地域において済生会宇都宮病院が最後の砦であるという自負を持って日常の診療に取り組んでいます。
私自身も外科の診療責任者として、現在でもオンコールの呼び出しや土曜・日曜にも対応をしていますし、もちろん夜中でも緊急で患者さんを受け入れた場合には駆けつけ、外科の全スタッフと共にそれぞれ役割を分担しながら診療にあたっています。
済生会宇都宮病院 外科
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