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公開日 : 2017 年 08 月 02 日
更新日 : 2017 年 11 月 30 日

がん死亡率減少のために国が行なうべき対策とは-がんにかかる人を減らす

2006年に始まった日本のがん対策は、「がんによる死亡率を10年で20%減らすこと」を最大の目標として行われてきました。しかし、がん医療の向上により、すべてのがんを対象とした5年生存率は6割を超えたにもかかわらず、この目標を達成することはできませんでした。(※2016年時点)

がんによる死亡率を抑制できなかった最大の原因は、日本のがん対策から「がん予防」という観点が十分でなかったことにあると、独立行政法人国立がん研究センターの理事であり、がん対策推進協議会の会長も務める門田守人先生はおっしゃいます。「インパクトのある治療開発も重要であるが、同時に、地道な予防に注力すべきである」と述べられる理由を、門田先生にお伺いしました。

日本のがん対策から欠落していた「予防」という視点の重要性

日本地図

2006年から始まったわが国のがん対策は、患者さんを中心として進められてきました。がん対策基本法はがん患者さんの声により成立し、国の基本的な方向性を定めるがん対策推進基本計画の案を作成する協議会も、有識者や医療者だけでなくがん患者さんやご遺族によって構成されています。

これにより、日本のがん対策はがん患者さんの切なる声を大いに反映するものとなりましたが、その一方で罹患する前の「がん予防」という視点は、この10年の施策では十分ではありませんでした。

日本のがん対策は「がんありき」の状態をスタート地点としており、いかにがんに罹患する人を抑えるかという対策は、過去10年間にわたりあまり講じられてこなかったのです。

記事1『過去10年で日本のがん死亡率が目標の20%減に届かなかった理由とは?重視されるべきがん予防』では、予防という視点の欠落こそが、わが国のがん対策の最大の目標とされてきたがん死亡率の20%減を達成できなかった原因であると述べました。予防施策によりがんの罹患者数を抑制できなければ、たとえがん発症後の5年生存率を改善できたとしても、がんによる死亡率を大きく減じることはできないのです。

「がんにかかる前の状態」をスタート地点としたがん対策を打ち立て、実施するためには、がん患者さんのみならず、すべての国民の参画が不可欠です。

がん対策は1次予防、2次予防、新規治療開発の3段階にわけられる

国が主導するがん対策とは、限られた財源のなかで、最大限効率的に行われていかねばならない質のものです。そのためには、がん対策を以下のような段階にわけたうえで、コストを投入していくという考え方が必要になります。

(1)1次予防:がんを発症する前のすべての国民にアプローチする

(2)2次予防:がんに罹患してしまった方を早期に発見し、治療できる段階で介入する。

(3)新規治療開発:現段階では手立てのない進行がんなどを治るがんとするために、新規治療や新薬を開発する。

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