インタビュー

子どもの髄膜炎の症状─首を曲げたときの痛みに注意

子どもの髄膜炎の症状─首を曲げたときの痛みに注意
福岡 かほる 先生

東京都立小児総合医療センター 感染症科

福岡 かほる 先生

堀越 裕歩 先生

東京都立小児総合医療センター からだの専門診療部(内科系) 感染症科 医長

堀越 裕歩 先生

子どもの髄膜炎は、小さな赤ちゃん(1歳未満)と、症状が訴えられるようになった子どもとで症状が異なります。赤ちゃん(1歳未満)の髄膜炎の症状には不機嫌やずっと泣いている、子どもの髄膜炎の症状には頭痛や発熱、嘔吐などがあります。赤ちゃん(1歳未満)は自分の症状を言葉で伝えられないため、泣く、ミルクを飲まないといった行動でいつもと状態がちがうことを示しますが、症状は分かりにくいことが多いです。一方、ある程度言葉で自身の体調を伝えられる年齢の子どもであれば、異変に気づきやすいでしょう。前回に引き続き、東京都立小児医療センターの福岡かほる先生に子どもの髄膜炎の症状について解説していただきます。

髄膜炎の症状は、年齢で異なる

6歳以上の子どもの場合

頭痛を訴えるほかに、発熱や嘔吐、意識障害、けいれんなどの症状がみられます。項部硬直(こうぶこうちょく:後頭部や項部(こうぶ:首の後ろ、うなじ)が硬直する)や首を曲げた際に痛みを訴えることがあります。ただし、これらの症状がすべて現れるとは限りません。

1~5歳までの子どもの場合

発熱や嘔吐、意識障害、けいれんなどの症状がみられます。1~5歳頃の子どもは、頭痛などの症状があっても保護者などへ伝えられない場合があります。

赤ちゃん(1歳未満)の場合

赤ちゃん(1歳未満)は自分の体調不良を言葉にすることができず、特徴的な症状が出にくいため、保護者からみて症状が伝わりにくく発見が遅れてしまうことがあります。下記の症状がみられた場合は注意が必要です、

  • 不機嫌
  • ミルクをあまり飲まない
  • または飲みたがらない
  • いつもと様子が違う
  • ずっと泣いている
  • ぐったりしている
  • 大泉門がふくれる(頭頂部の大泉門が開いている乳児の場合)
  • けいれんして、意識が悪い

髄膜炎が重症化した場合の症状

意識障害、けいれんがみられ命にかかわることも

髄膜炎が重症化した場合には意識障害やけいれんを起こし、全身状態の悪化がみられます。一目で様子がおかしいと考えられる症状です。その場合には、すぐに救急病院を受診しなければなりません。一方、子どもは、熱性けいれんといって、発熱でひきつけることがあり、この場合は、けいれん後の意識状態はよいことが多いです。

髄膜炎の合併症や後遺症

ウイルス性髄膜炎の後遺症-軽度の精神障害や運動障害、難聴

ウイルス性髄膜炎は後遺症の少ない髄膜炎です。しかし完全に後遺症がみられないわけではありません。まれに頭痛や軽度の精神・運動障害が残ることがあります。

また、おたふくかぜが原因で髄膜炎にかかった際には、後遺症として難聴が残ることがあります。

細菌性髄膜炎の合併症・後遺症―硬膜下腫瘍、知的障害、記憶障害など

細菌性髄膜炎の合併症は、硬膜下膿瘍、脳膿瘍、水頭症などがあり、また頭蓋内圧亢進の圧が上がって脳ヘルニアを起こし、非常に重篤な状態となることもあります。

細菌性髄膜炎の後遺症は、原因菌によって後遺症の重症度や頻度は変わりますが、以下のような後遺症を残すことがあります。

  • 難聴
  • てんかん
  • 知的障害
  • 運動失調
  • 水頭症

細菌性髄膜炎にかかった子どもの全員に後遺症が残るわけではありません。しかし、なかには治療後に後遺症が残ることや、亡くなってしまうこともあります。

髄膜炎は、後遺症や合併症により命に関わることもあります。そのため髄膜炎を合併しないように感染症の予防が重要です。

記事4『子どもの髄膜炎の検査と治療』は髄膜炎の検査や治療について解説いたします。