乳がんの罹患率は年々増加傾向にあり、日本では1年間におよそ53,000人の女性が乳がんと診断されています。乳がんのリスク因子には、乳がんの家族歴や喫煙、アルコールの多飲など、さまざまなものがあります。また、乳がんを発症した方の5〜10%は遺伝的に乳がんを発症しやすい体質を持っているとされています。
乳がんのリスク因子や遺伝性乳がんを疑う状況について、戸塚共立第1病院附属サクラス乳腺クリニックの岡本直子先生にお話を伺いました。
乳がんのリスク因子には、以下が挙げられます。
しかしながら、リスク因子に該当する項目がなくとも、定期的な乳がん検診を受けることは大切です。なぜなら、乳がんの罹患率は徐々に増加しているからです。
国立がん研究センターがん情報サービスの「生涯でがんに罹患する確率(2013年データ)」によると、乳がんは11人に1人(およそ9%)が罹患するといわれています。
さらに、無症状でも検診によって病変が発見されることがあるため、定期的な検診は大切であると考えます。(乳がん検診については、記事2をご覧ください。)
乳がんは食生活などの環境因子が複雑に関与し、発症すると考えられています。一方で、乳がんを発症した方の5〜10%は、遺伝的に乳がんを発症しやすい体質を持っていると考えられています。
遺伝性の乳がんを考慮すべき状況は、以下のとおりです。
- 若年発症乳がん(50歳以下が目安。浸潤性および非浸潤性乳管がんを含む)
- トリプルネガティブ(ER陰性、PgR陰性、HER2陰性)乳がん
- 同一患者における2つの原発乳がん(両側性あるいは同側の明らかに別の複数の原発がんを含む)
- 年齢にかかわらず以下の乳がん患者
1)50歳以下の乳がんに罹患した近親者(第1~3度近親者)が1人以上
2)上皮性卵巣がんに罹患した近親者が1人以上
3)乳がんおよび/あるいは膵がんの近親者が2人以上
引用元:一般社団法人日本乳癌学会 編. 患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2016年版 第5版. 金原出版.2016.p240.
2018年現在、日本乳癌学会の診療ガイドラインでは、上記の項目に1つでも当てはまる場合、遺伝性乳がんの可能性を考慮し、専門的に詳細な評価を行う診療の流れが示されています。
さらに、遺伝の可能性がある程度高い場合、選択肢として、遺伝子カウンセリングを受けることも可能です。
もしかしたら乳がんかも?と不安になったときには、まず自覚症状を確認していただきたいです。基本的に当院では、以下のような自覚症状がある場合には、乳腺外科の受診をおすすめしています。
などがあります。
一方、生理前に乳房が少し痛む・張るといった自覚症状は、女性ホルモンの影響などで現れることもあるため、日常生活に支障をきたさない程度の痛み・張りであれば、検診にご案内しています。
しかしながら、「普段と違う」「これまでになかった」症状がある場合には、乳腺外科の受診をおすすめすることもあります。いずれにしても、もし気になる症状がある場合には、遠慮せずにご相談ください。
戸塚共立第1病院附属サクラス乳腺クリニック 院長
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