院長インタビュー

急性期医療を担い地域の健康を守る水島中央病院

急性期医療を担い地域の健康を守る水島中央病院
松尾 龍一 先生

水島中央病院 病院長

松尾 龍一 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年03月07日です。

水島中央病院は岡山県倉敷市水島に位置する病院です。地域の救急医療を担い、急性期医療を提供しています。診療だけでなく、地域の皆さんが健康で楽しく生活を送ることができるよう、さまざまな取り組みを実施しています。同院の取り組みについて、水島中央病院病院長の松尾龍一先生にお話を伺いました。

当院の歴史は、1961年に地域の開業の医師が集まり開院したことから始まります。

1960年代、日本は高度経済成長期に突入し、急速な経済成長を迎えていました。倉敷市は瀬戸内工業地域の工業都市のひとつで、当院のある水島地区も化学繊維・鉄鋼・自動車や造船などの産業で栄えています。そのため倉敷市水島地区では、労働災害も多く発生していたといわれていて、開院後は労働災害にあった方の治療にあたることが多かったそうです。そのため当院は、時代と共に成長した病院といえます。

水島中央病院 外観
水島中央病院 外観

機能分化として、同一医療法人内で急性期医療に特化した病院を既存の水島中央病院が担い、リハビリテーションに特化した病院を倉敷リハビリテーション病院として2000年に開院しました。急性期治療と回復期リハビリテーションの機能を分化することで、より専門的な治療を提供できるような体制を整えました。また、倉敷リハビリテーション病院の近隣には、倉敷中央病院、川崎医科大学附属病院など高度急性期医療を担う医療機関が位置しています。当院だけでなく、このような3次救急からの受入体制も確立し、当院と同様に医療機関との連携に力をいれております。

当院では、地域の救急患者さんを受け入れ、治療にあたっています。夜間の救急患者さんの対応は、当直の内科系の医師と外科系の医師が担当します。また、迅速な治療を要する病気が疑われる患者さんが、緊急の検査を受けることができるよう、放射線技師の当直、及び検査技師のオンコール体制を取っています。このように、夜間でもCTやMRI検査・血液検査ができるような診療体制を整えることで、必要な治療をより早急に開始できるようにしています。

救急患者さん受け入れの様子
救急患者さん受け入れの様子

整形外科は、当院が開院した当時から力を入れている診療科です。交通事故外傷だけでなく、労災事故外傷の患者さんなどを受け入れ、診療にあたっています。外傷だけでなく、関節疾患や脊椎疾患など整形外科分野を幅広く診療しています。さらに、肩や手などのいわゆる上肢の診療に関しては、肩専門外来や手・上肢専門外来を開設しています。

また、関節鏡・スポーツ医学センターも開設し、関節に不安や障害を持つ患者さんの診療も実施できるようになりました。関節鏡・スポーツ医学センターでは、関節鏡を用いて患者さんの体へ負担が少なくなるような方法での手術治療を実施しています。

消化器内視鏡センターでは、上部・下部の内視鏡検査、早期の消化器がんの内視鏡切除などを実施しています。また、吐血や下血で救急搬送された患者さんを24時間365日受け入れる体制を取っています。吐血や下血の患者さんに対しては、搬送から1時間ほどで内視鏡検査が行える体制を整備しています。

泌尿器に発生するがんの診療、排尿障害尿管結石症尿路感染症などの診療にあたっています。特に排尿障害に関する相談や診療に力を入れており、排尿ケアチームを編成して、さまざまな面から排尿障害の治療やアドバイスといったサポートをしています。

排尿ケアチームは、泌尿器科の医師、各病棟看護師、日本看護協会が認定するWOC認定看護師(皮膚・排泄ケア認定看護師)、理学療法士による構成で、週1回カンファレンスを実施しています。

2018年4月より、当院と水島地区を結ぶコミュニティータクシー「すいわ号」の運行を開始しました。

すいわ号の運行は、地域の医療・保健・福祉の専門職、民間企業が知恵を出し合い活動する、新しい地域づくりに向けた挑戦のひとつです。市の補助を受けて、地域の皆さんが安心して暮らし続けることができる町づくり、何歳になっても行きたい場所へ気軽に訪れることができる交通手段となるように運行しています。

健康講座を聴く地域の皆さん
健康講座を聴く地域の皆さん

当院では毎月1回、医師をはじめとした各専門職がそれぞれの専門分野から健康維持に役立てるような講演を行っています。講演テーマはさまざまで、2019年2月はヘリコバクター・ピロリ菌についての講演でした。ヘリコバクター・ピロリ菌は、胃炎や胃・十二指腸潰瘍胃がんなどの消化器に発生する病気に関係していることがわかっています。地域の方々に、健康講座を通じて病気の本態を知ってもらうことで、予防や早期発見につなげられればよいと思います。

当院が主催の健康フェスティバル、第1回水フェス(水島中央病院健康フェスティバル)を2018年11月に開催しました。水フェスでは、講演会や看護コーナー、体験コーナー、無料測定コーナーを企画しました。体験コーナーでは、腹腔鏡手術で使用するCCDカメラを使ったゲームを実施して、普段はなかなか見ることのない医療機器を触ったり動かしたりする体験をしていただきました。水フェスは、毎月開催する健康講座とは違った視点で健康について楽しく学べる機会になったと思います。今後も地域の健康づくりに貢献していきます。

松尾院長

当院は地域のなかで、急性期医療を担う医療機関として、今後も力を尽くします。そのためには、地域の皆さんのご理解、ご協力が不可欠です。

外来診療を行っていない休日や夜間に軽症患者さんが救急外来を自己都合で受診する、いわゆるコンビニ受診は、緊急の治療が必要な患者さんへの治療開始を遅らせてしまうことがあります。

緊急の治療を必要としている患者さんが適切に医療を受けられるよう、救急外来の適正利用に対するご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

当院は、川崎医科大学や岡山大学医学部の臨床研修協力病院に指定されています。教育熱心な先輩医師が多く所属していますので、臨床研修で働く若手医師には多くのことを学んで成長してほしいと思います。

当院のような市中病院では、多くの症例を経験する機会も十分あると思います。自分が担当した患者さんをしっかりと診療して、患者さんから多くのことを学び、今後の地域医療を支えてください。

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