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脳卒中の診断——早期診断のための取り組み

脳卒中の診断——早期診断のための取り組み
浅岡 克行 先生

医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院 院長補佐/脳疾患センター センター長

浅岡 克行 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年06月28日です。

迅速な治療が重症化を防ぐといわれている脳卒中では、早期発見・早期治療が大切といわれています。北海道札幌市にある手稲渓仁会病院では、脳卒中を早期に治療するために、早期診断につながる工夫を行っています。それはどのような工夫なのでしょうか。

今回は、手稲渓仁会病院 脳神経外科 浅岡克行先生に、脳卒中の診断と共に、早期診断のための取り組みについてお話しいただきました。

脳卒中の診断では、まず、診察によって脳卒中による症状が現れていないか確認していきます。

医療

その後、CTやMRI等の画像診断を行います。脳梗塞の場合には、MRIを受けていただくことでより正確に血管の状態を確認することができるため、当院では脳卒中が疑われる方がいらっしゃった場合には、脳梗塞の可能性を考慮し、はじめにMRIを受けていただくようにしています。たとえば、CTを受けていただき脳出血がないことがわかった後にMRIを受けていただくと、そこでタイムロスが生じてしまい治療の開始が遅くなってしまうからです。

MRIを最初に受けていただき、脳梗塞であることを確認した場合には、つまっている血管の部位や脳の組織が壊死している範囲を確認し、なるべく早期に治療を行います。

また、血液検査を行い、他の病気との鑑別(かんべつ)(区別すること)や治療方針を決定する際の参考にします。たとえば、脳卒中の治療法のなかには、血液検査で現れた値によっては、適応することができない治療法もあります。そのため、血液検査の結果も考慮し、その後の治療方針を決定していきます。

診断時に脳卒中と区別すべき病気には、てんかん発作があります。てんかん発作とは、発作的に起こる意識障害やけいれんを指し、意識のない状態で発見されたり、けいれんの後に麻痺の症状が一時的に現れたりすることがあります。これらの症状は脳卒中でも現れる可能性があるため、脳卒中が疑われるケースもあるのです。

てんかん発作のほかにも、意識障害を起こすような病気と区別する必要があります。たとえば、糖尿病による低血糖症状など、さまざまな体内の血液のバランスが崩れて起こる意識障害は、血液検査によるスクリーニングが大切です。

当院では、24時間365日、常にCTやMRI、MRA(脳血管撮影)を行うことができる体制を築いています。また、当院は欧米型のER(救命救急病棟)を設けています。充実した救急科の医師やスタッフが患者さんを的確に診断し、緊急の処置が行われています。

救急科の医師と他の診療科の医師の連携もとれているため、迅速に検査や治療を行うことができる体制が築かれている点は大きな特徴でしょう。

検査

脳卒中の治療は時間との勝負です。発症から時間が経過していくほど、後遺症が残ったり命にかかわったりする可能性が高くなるからです。そのため、できるだけタイムロスがないよう検査を進めていく体制を築いています。

また、院内では、脳卒中の患者さんの血液検査を優先的に行っています。診察と共に採血を行い、血液検査をしている間に画像診断を受けていただきます。画像診断の結果がでて診断がつき次第、薬の投与や血栓回収等の治療を開始することができるよう努めています。

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