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病院総合診療専門医制度認定プログラムとは? 病院総合医育成コンソーシアム・記者会見レポート

病院総合診療専門医制度認定プログラムとは? 病院総合医育成コンソーシアム・記者会見レポート
メディカルノート編集部  [取材]

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この記事の最終更新は2019年10月18日です。

近年、高齢化の進行、地域による医療格差などを背景に、あらゆる病気を診ることができる総合診療医が注目されています。そのような中で、日本病院総合診療医学会などから構成される「病院総合医育成コンソーシアム」は、「病院総合診療専門医制度認定プログラム」を作成し、2020年より病院総合診療医の育成をスタートすることを発表しました。今回は、2019年8月9日に行われた記者会見の内容をレポートします。

近年、総合診療医がクローズアップされるようになりました。それには、いくつかの理由があります。たとえば、高齢化の進行と共に、並存疾患をもつ患者さんが増えていることが挙げられます。また、医師が不足している地域では、あらゆる疾患を診る医師が必要とされるようになりました。

これらを背景として、我が国では、総合診療科が専門診療科のひとつとして認められるようになり、2017年より総合診療専門医研修がスタートしたのです。

その一方、残念ながら総合診療医の数は十分とはいえません。都市部から離れた場所で経験を積まなければならないこと、キャリアパスを描くことが難しいことなどを理由として、若手の医師が総合診療医を目指すことに二の足を踏んでいる現状があります。

写真中央・マイクを持ち話す日本病院総合診療医学会 副理事長 田妻進先生
写真中央・マイクを持ち話す日本病院総合診療医学会 副理事長 田妻進先生

総合診療医には、病院で初期診断を行う病院総合診療医と、診療所などで訪問診療をも行う家庭医という分類があります。2019年5月には、日本プライマリ・ケア連合学会より、「新・家庭医療専門医」という診療所タイプの研修をスタートすることが発表されました。

その一方、家庭医ではなく、病院総合診療医を目指す医師も少なからず存在しています。さらに、地域住民や医療団体、医療機関における病院総合診療医のニーズは高いという現状があります。これらのことから、日本専門医機構とは別に、病院総合診療医に関わる各団体が主体的に集まり、「病院総合医育成コンソーシアム」を立ち上げたのです。

病院総合医育成コンソーシアムは、日本病院総合診療医学会、日本プライマリ・ケア連合学会、日本病院会、全日本病院協会、全国自治体病院協議会、地域医療機能推進機構(JCHO)、日本臨床内科医会などの団体から構成されています。

日本病院総合診療医学会が中心となり、それぞれの団体と議論しながら、病院総合診療専門医制度認定プログラムを作成しました。

写真中央・マイクを持ち話す、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科全人的医療開発学講座総合診療医学分野 教授の竹村洋典先生。同コンソーシアム世話人を務める
写真中央・マイクを持ち話す、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科全人的医療開発学講座総合診療医学分野 教授の竹村洋典先生。同コンソーシアム世話人を務める

病院総合診療専門医制度認定プログラムは、総合診療専門研修を修了した医師が、サブスペシャリティとして病院総合診療専門医の取得を目指すものになっています。プログラムは基本的に3年間を想定し作成されていますが、1年などに短縮することも可能です。総合診療専門研修には、診療所や中小規模の診療施設で行われる「総合診療専門研修I」と、大規模病院で行われる「総合診療専門研修II」があります。日本病院総合診療医学会認定の施設でこれらの研修を行った場合には、病院総合診療医の研修としてカウントすることが可能です。なお、研修施設として、全国に29の基幹施設、157の連携施設があります(2019年4月1日時点)。

また、本プログラムは、内科専門研修、外科専門研修、救急科専門研修などを修了した医師も、病院総合診療医を目指すことができるようなものになっています。

本プログラムでは、日本病院総合診療医学会のテキストを基に作成した研修マニュアルを使用します。マニュアルには、症候編と管理編があります。初期診断のための臨床推論や治療と共に、院内感染・医療安全などの病院管理も学んでいただきます。

病院総合診療医の特性上、病院の管理も重要なミッションのひとつです。病院経営の管理職になるというキャリアアップの道筋を示すためにも、必要な知識を身につけて、経験を積んでいただきたいと考えています。

若手にメッセージ

医師のキャリアパスとして、狭義の家庭医だけではなく、病院総合診療医というキャリアパスもあることを十分に認知していただきたいと思っています。病院総合診療専門医研修プログラムを活用し、専門医制度に乗り遅れることなく、ますますニーズが高くなっている病院総合診療医を目指していただきたいです。

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