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腎細胞がんの治療法とは

腎細胞がんの治療法とは
メディカルノート編集部 [医師監修]

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目次
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腎細胞がんは早期の段階で発見できれば、外科的治療が可能です。今回は腎細胞がんの治療法について解説します。

腎細胞がんのステージは、以下の観点から判断されます。

  • がんの大きさ
  • 腎臓の外まで広がっているか否か
  • リンパ節やほかの臓器に転移しているか否か

これらの観点をふまえて、ステージ1~4の状態を示したのが以下の表です。

腎細胞がんのステージ(病期)について

*所属リンパ節:最初にがんが発生した病変と直結したリンパ節のこと。

腎細胞がんのステージ(病期)について

腎細胞がんの治療方法は、標準治療に基づいて患者さんの希望や体の状態によって決定します。

腎細胞がんは、外科的手術が標準治療となります。腎細胞がんに対する外科手術の主な術式は、以下の2つです。

腎部分切除術(腎機能温存手術)

腎部分切除術(腎機能温存手術)は、発生した腎細胞がんを含む、腎臓の一部分のみを切除する術式です。残った腎臓の機能を保てるというメリットがあり、術後のことを長期的に考えたとき、腎機能の低下やそれに伴う合併症のリスクを腎摘除術よりも抑えることができるため、より望ましい術式といえます。

この術式の場合には、開腹(開放)手術、腹腔鏡下手術(ふくくうきょうかしゅじゅつ)、ダヴィンチ手術(ロボット支援手術)というアプローチが選択できます。

根治的腎摘除術

根治的腎摘除術とは、がんが発生した側の腎臓を全て取り除く術式です。腎部分切除術が困難な場合や透析患者さんの腎細胞がん(腎臓が機能していない場合)に対して選択されます。副腎も切除するかどうかは、がんが発生している位置や副腎への転移の有無をふまえて決定します。

通常は手術で片側の腎臓を摘出しても、もう片側の腎臓のみで日常生活に支障をきたすことはあまりありません。

この術式で多くの場合に選択されるアプローチは、腹腔鏡下手術です。開腹手術と比較しても効果は同等で、低侵襲(体への負担が少ない)のため術後の回復が早いといわれています。

腎細胞がんの薬物療法には、分子標的治療や免疫療法があります。分子標的治療とは、がん細胞に特有の分子をターゲットにして、その細胞の機能を制御する治療法です。免疫療法は、自分の体の免疫が、がん細胞に対してより有効に働くようにする治療法です。

薬物療法はがんが進行し、ほかの臓器への転移が見られた場合などに選択します。治療によって起こる副作用は、薬剤ごとにさまざまです。

腎部分切除を行う際、ダヴィンチ手術(ロボット支援手術)が選択されることがあります。ダヴィンチ手術は、術者が手術支援ロボットのダヴィンチを操作します。術者はモニターに映る患部の立体画像を見ながら、遠隔操作で手術を進めます。

ダヴィンチ手術を行う術者は、一定のトレーニングを積む必要があり、専門の研修認定施設でトレーニングを受講して認定資格を取得します。

低侵襲のため術後の痛みが少なく、回復も早い

ダヴィンチ手術では患者さんの体に1~2cmの穴を数か所開け、ロボットのアームや内視鏡を挿入します。傷口が小さいため、皮膚や筋肉を切開したことによる痛みが、通常の手術よりも少なくなります。また翌日から食事をとれる場合も多く、入院期間に関しても、ダヴィンチ手術は腹腔鏡下手術や開放手術と比較して入院期間が短くなります。

人間の手よりも繊細な作業が可能

ダヴィンチは術者の手とまったく同じ動作を行いますが、術者の手ぶれを制御する機能があります。さらに、腹腔鏡の画像と比較して、鮮明に術野をとらえることができます。そのため、人間の手よりも、より繊細に手技を行うことができます。

より腎機能の温存が期待できる

一般的に、腎細胞がん部分切除を行う際には、腎臓へ向かう血流を一時的に遮断するという処置を行います。ダヴィンチ手術では微細な操作が可能なこともあり、縫合などの処置がスムーズに行えるため、阻血時間(そけつじかん)の短縮が可能です。阻血時間が短くて済むことで、開腹手術や腹腔鏡下手術よりも腎機能の温存が期待できます。

臓器を触った感覚がない

ロボットを介した遠隔手術となるため、感覚がありません。必要以上に臓器を圧迫して傷つけてしまう可能性もあるため、注意深い操作が必要です。

残った腎臓が正常に機能していれば、生活に支障をきたすことはあまりなく、日常生活を送るなかで特別注意すべきこともありません。

食事

残った腎臓の機能に問題がなければ、ほとんどの場合、食事制限は不要です。ただし、慢性腎臓病の予防のためには、肥満や塩分の過剰摂取に気を付けるとともに、水分を十分量とることが重要になります。

ほかの病気の影響

糖尿病高血圧など、腎臓の機能を悪くする病気がある場合には、それらを悪化させないように心がけましょう。また、場合によっては、それらの症状を抑えるために服薬が必要となることもあります。

別の医療機関で処方された薬の服用

内服薬や画像検査に用いる造影剤の中には、腎臓の機能に影響を与える薬剤もあります。ほかの医療機関で検査を受けたり、新たに処方された薬を服用したりする際には、事前に担当医師に相談しましょう。

治療後は体の状態やがんの転移、再発がないか定期的に通院をして検査を行います。定期健診で行う主な検査は超音波検査やCT検査、MRI検査です。検査の時期などについては担当医師と相談のうえ決めることになります。

腎細胞がんは治療から10年以上経過してから再発することもあります。定期的な通院が終わった後も、健康診断人間ドックを受けておくと、再発時の早期発見につながります。

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