腎細胞がんは、比較的男性に多く見られる悪性腫瘍で、早期段階では自覚症状が少なく、症状が出現したときにはすでに進行している場合が多いといわれています。しかし、近年は画像検査が進歩したために、人間ドックや定期健診などで無症状のうちに偶然発見されるケースが増えてきています。今回は、腎細胞がんの原因や症状、検査方法について解説します。
腎臓は、体内の老廃物をろ過して尿として排泄したり、血圧をコントロールしたりするはたらきをもつ臓器です。この腎臓にできる悪性の腫瘍が、腎臓がんです。さらに腎臓がんのうち、特に腎臓の実質的なはたらきを担う腎実質の細胞ががん化したものを腎細胞がん、腎盂にある細胞ががん化したものを腎盂がんとよびます。
腎細胞がんにかかる人の割合は、10万人に約6人です。これはがん全体の約1%を占めています。比較的男性に多い傾向にあり、50歳頃から増加し始めます。
腎細胞がんの発症リスクを高める主な原因として、以下のものが挙げられます。
多くの場合、腎細胞がんの発症早期は無症状です。がんが大きくなると、血尿や腹部、側腹(脇腹)、背中の痛み、体重減少、発熱といった症状が現れることもあります。
最近では画像検査が進歩したために、人間ドックや定期健診、ほかの病気の検査を通して、無症状のうちに偶然発見される腎細胞がんの頻度は高いといえます。また、そのように発見されたがんは腫瘍が小さく、予後も良好となる傾向にあります。一方で、無症状の方を対象に、特定の病気の可能性がある方を見つける目的のスクリーニング検査においては、腎細胞がんの早期発見を可能とする腫瘍マーカー*は、現在のところありません(2020年2月時点)。
*腫瘍マーカー:がんが発生した際、それぞれのがんに特徴的なタンパク質や酵素、ホルモンなどの物質が増加する。それらの物質を腫瘍マーカーという。その数値をもとにがんの発生やその種類、進行度などを判断する。
腎細胞がんの検査には、以下のような方法があります。
腹部超音波検査とは、体の表面に超音波を当てた際の臓器からの反射波を利用した検査です。腎細胞がんは、ほかのがんと比較して、この検査で発見される頻度が高いといわれています。
患者さんの体への負担が少なく、手軽に検査を行うことができる一方で、全身の検査をする必要がある場合には、超音波検査のみでは不十分なため、CT検査やMRI検査を追加します。
腹部CT検査とは、X線(レントゲン)を用いて体の断面を撮影する検査です。がんの大きさや状態、周囲の臓器への広がりも調べることができます。
腎細胞がんの診断のためには、腎臓や尿管、膀胱などをしっかりと写す必要があるため、一般的には、造影剤を使用したCT検査を行います。また、肺への転移の有無を確認するために、胸部CT検査を行うこともあります。
磁気共鳴断層撮影検査(MRI)とは、強力な磁気を利用して体内の状態を画像にする検査です。がんの大きさや周囲の臓器への広がり、腫瘍が良性か悪性かの診断などが可能です。
超音波検査やCT検査だけでは診断が難しい場合や、CT検査時に使用する造影剤に対するアレルギーがある場合に、MRIによる検査が行われます。
経皮的針生検では、背中から腎臓に向かって細い針を刺して採取した腎臓の組織を、顕微鏡で詳しく調べます。局所麻酔を用いて行われる検査で、画像検査と比較すると患者さんの体への負担が大きくなります。
画像検査を行っても、がんであるか否か、悪性度はどの程度かなどがはっきりとしない場合、治療方針を決定するために針生検を実施することがあります。
造影剤を用いてX線写真を撮影し、腎臓や尿管、膀胱などの形態を確認する検査です。経静脈的腎盂造影*をIVP、点滴静注腎盂造影**をDIPといいます。
腎盂がんと腎細胞がんを鑑別するために用いられますが、近年はCTなどを用いた画像検査の精度が向上しているため、この検査を行うことはほとんどありません。また、腎機能に問題がある場合には、この検査を実施することができません。
*経静脈的腎盂造影:腕の静脈から造影剤を注射してX線写真を撮影する。
**点滴静注腎盂造影:腕の静脈から造影剤を点滴してX線写真を撮影する。
血管造影検査は、造影剤を用いて血管の走行を調べる検査です。この検査も排泄腎盂造影検査と同様に、CTなどの検査精度向上により、現在はほとんど行っていません。
関連の医療相談が13件あります
腎癌の治療法について
肺がん罹患して5年目になります。10月末から膀胱に違和感を感じ、本来治療してもらってる病院には泌尿器科が無いため、違う総合病院の泌尿器科を受診しました。 わたしが肺がんがあると分かると転移の可能性を探るためCT検査をしました。結果、腎臓と後腹膜リンパ節に転移がわかりました。膀胱の違和感はまだ検査してないので分かりませんが、多分間質性膀胱炎じゃないかと疑ってます。 泌尿器科の先生は最初は腎癌には手術しかない、と言ってたのですが、途中から、放射線だな、放射線がいい、と言い始めました。 自分なりにネット検索したら腎癌には手術が標準治療とありました。放射線治療はあまり効果が無いと書いてありました。腎癌ですが、わたしは症状はまだ感じていません。 放射線治療は時間がかかるし、今は膀胱の状態が良くないし、別の病院で肺がんでの通院もあるので、私としては手術して欲しいと思ってるのですが?放射線治療がベストなんでしょうか?回答よろしくお願いします。(補足ですが、肺がんは今は強い抗がん剤は使えない状態で、緩和ケア1歩手前状態だそうです。月に一、二回変化を診るためにレントゲン撮影しに行くくらいになってます。)
腎臓の腫瘍全摘の診断。セカンドオピニオンが必要でしょうか。
家内ですが、数か月前より排尿時の不快症状があり、市立病院を受診しました。エコー検査で腎臓に腫瘍が有ることが判明、大学病院を紹介され、MRI、CTなどの検査を受けました。昨日その結果の説明があり、良性か悪性か現時点でははっきりしないものの、それなりの大きさなので、左側の腎臓を全適する必要が有るとのことで、5月半ばに手術日が決定しました。排尿時の不快症状と腎臓の腫瘍は基本的に無関係とのことで、偶然発見された形ですので、私たちにしてみれば、あまりに急な展開で少しびっくりしています。またそれほど重大な状態なのかと不安です。セカンドオピニオンを求めるなら紹介状も出していただけるということなのですが、あまり時間がかかってよくないことになってもいけないし、家内も仕事があるのであまり時間が取れません。5月に手術を受けないと、次は8月になってしまうそうです。4月初めに再度説明があるそうなので、その時は自分も同席するつもりですが、健康だった家内の初めての事態にかなり気が動転しています。やはり早く手術を受けたほうがよろしいでしょうか。他の機関でセカンドオピニオンを受けたほうがよろしいでしょうか。また負担が軽い手術方法はありますでしょうか。
母が腎臓がんと診断されました
母(80歳)はもともと腎臓が悪く、通院していました。先月、たまたま行ったCTの検査で腎臓がんがみつかり、手術しなければならないと言われています。しかし。腎機能がもともと悪いため、手術で腎臓をとることで、さらに腎臓機能が悪くなり、最悪透析になる可能性もあると言われ本人はかなり落ち込んでいます。手術はするしかないと思うので仕方ないのですが、腎臓がんの手術で透析になる可能性はかなり高いのでしょうか。現在の母の腎機能はクレアチニンが2.1です。腎臓がんのサイズは右の腎臓に4cmほどと言われています。よろしくお願いします。
腺癌の専門の病院
今日 結果を聞いて抗がん剤治療をします。と言われたが、ほかにどんな治療があるか知りたい
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「腎細胞がん」を登録すると、新着の情報をお知らせします