医療法人社団青泉会下北沢病院(以下、下北沢病院)は、足に関するけがや病気などのさまざまなトラブルに総合的に対応する専門病院です。各診療科の医師が連携を密に図ることをはじめ、多職種のスタッフが協力することによって、日本国内における足病治療の普及と発展に尽力しています。
同院の特徴や足病治療に対する考え方について、病院長の菊池 守先生にお話を伺いました。
当院は2016年に足を総合的に診る病院としてリニューアルされました。当院では、足に関するさまざまな病気に対応するため、連携体制の強化に力を入れて、治療に取り組んでいます。
そのひとつとして、整形外科、形成外科、血管外科、内科、皮膚科などの医師が診療科の枠を超えたチームで診療にあたっています。また、看護師はもちろん、理学療法士や作業療法士、義肢装具士、医療ソーシャルワーカーなど、患者さんのリハビリテーションから退院後の生活までを支えるスタッフをそろえています。
当院は、足の病気とも関わりの深い、糖尿病などの生活習慣病も扱っています。それに加えて、外来・手術ともに外反母趾やむくみ、下肢静脈瘤など日常的な足のトラブルが増えてきています。そこで、足に関する病気やトラブルを総合的に診療する病院として独自のプロトコールを作り、チーム医療を生かして対応しています。特に日常的な足のトラブルはさまざまな科がそれぞれ扱っており患者さんからするといったいどの診療科を受診すればよいのか戸惑うこともあるかと思います。
当院では、足病総合センター、糖尿病センターのほかに股関節外来、膝外来、むくみ外来などにおいて、各分野の専門の先生方に協力をいただきながら、患者さんそれぞれの足のお悩みに対応しています。また、近年の足に対する意識や注目の高まりに伴い、美しさと健康を兼ね備えた足を目指して施術を行う、足の美容外科外来を新設いたしました。足の美容外科外来では、外反母趾や下肢静脈瘤の患者さんをはじめ、一般の方々の“きれいな足を取り戻したい”というニーズに美容医療で応えることを目指しています。
足に関するお悩みを抱えたときに、各診療科ならびに多職種のスタッフとのスムーズな連携を図りながら、足の病気を総合的に診療することができる当院を受診していただきたいと考えています。
自らの足で歩行することは、社会生活を営むうえで重要なことであると考えています。当院では、けがや病気を治すことに限らず、手術後のリハビリテーションやフットケアにも注力し、患者さんの足と社会生活を守る治療の提供を目指しています。
次では、当院の特徴的な設備や診療について、ご説明いたします。
足のトラブルは、主に以下のようなものが挙げられます。
このように足の病気と一口に言っても、さまざまな診療科が関わることが分かるでしょう。今のところこれらを“総合的に”診てくれる足の総合内科のような診療科は存在しないため、患者さんは何科にかかったらいいのか分かりにくいのが現状です。
足病総合センターでは複数の診療科の医師が連携して治療に取り組むことで、足のトラブルを総合的に診察し、治療を進めていきます。
特に、2020年4月には再発を繰り返す足の傷に対してトータルウンド外来という外来がスタートしました。足の変形、血行、創傷治療、内科的治療をトータルに診ることで、これまでにない総合的な足の診療を行います。
当院では、よりよい足病治療を提供するため、糖尿病センターも開設しています。2007年には、全世界で糖尿病が原因で20秒に1本の足が切断されているとデータが発表されるほど、糖尿病は足のトラブルにつながる病気です。糖尿病センターでは、糖尿病(1型糖尿病・2型糖尿病)によって発症した足の病気や症状にも対応しています。一方、病気にともなう合併症の発症や進行を防ぎ、健康なときと変わらない社会生活を過ごせるように、予防医学にも取り組んでいます。
当院は、一般病棟のほかに回復期リハビリテーション病棟を設けています。ここでは、急性期治療が一段落し、症状が安定し始めた回復期に集中的なリハビリテーションを行っています。回復期にリハビリテーションを開始することで、入院生活のなかで低下した体力、持久力、運動能力などの向上を目指しています。
また、当院では病院での治療をゴールと考えるのではなく、退院後の社会生活までサポートすることが目標です。そのため、自宅に戻ってからも入院前と変わらない生活を送ることができるような、患者さんに応じたリハビリテーションの提供に尽力しています。
当院では、糖尿病患者さんや透析患者さんに発生しやすい合併症である足病変に対して、フットケア外来を実施しています。水虫や足の傷などの糖尿病性足病変の症状を見落とすことがないよう、医師、看護師、理学療法士などのスタッフがチームで診療を行っています。
また、フットケア外来では自分に合った靴選びや履き方、正しい歩き方、爪の切り方も指導しています。
日常生活を送るうえで、いつまでも自らの足で歩くということは非常に大切であると考えています。そこで、当院では足の病気を早期に発見し、健康を維持してもらうために“足の見えるか検診”を行っています。ここでは水虫、乾燥などの皮膚や爪のトラブル、動脈硬化や静脈の異常、足の骨や筋肉の状態などの検診内容から足の健康状態を総合的にチェックすることができます。
検診を受けることで病気を早期発見し、早い段階で治療に取り組んでいただければと思っています。検診のお申し込みはお電話で受け付けています。保険適用外の検診となりますので、自費診療で50,000円が必要となります。
当院では日本糖尿病学会が認定する糖尿病専門医ならびに日本形成外科学会認定の形成外科専門医を育成するため、後期研修医を対象とした専門研修カリキュラムを行っています。この研修カリキュラムでは、専門医に必要な知識や技能だけでなく、足のプライマリケアや治療、チーム医療での連携に必要な能力を習得することが可能です。
当院では、若手医師の教育に尽力し、医療に貢献してまいります。
2018年4月に足関連の事業の展開を検討している16社と連携し、足に特化した企業コンソーシアム“足ビジネスアイディアハッカソン実行委員会”を発足しました。本活動では、母趾の負担を軽減するシューズや、履くことで足をケアするストッキングなど、当院が開発に携わった商品が発表されています。今後も本活動を通じて足の病気の予防に貢献したいと考えています。
当院では、医師をはじめ、フットケア外来などで下肢救済を行う医療従事者の方々を対象とした、フットケア関係のゼミナールを開催しています。当ゼミナールでは、足の病気の治療やケアについてさらに知識や理解を深める目的で実施しています。講義だけでなく、ディスカッションやワークショップを通して参加者全員でテーマについて話し合い、技術や知識の共有につなげたいと考えています。
ほかにも、動画の配信や講習を行い、フットケアについての情報発信を行っています。このような活動によって、足に悩みや病気を抱える方に向けて、足の健康に関する情報を発信していきます。
足に関するトラブルは、どの診療科で診てもらえばいいのか分からないという患者さんが多くいると感じます。当院は、歯のことで困ったときには歯医者さんに行くように、足のことで困ったら「下北沢病院に行こう」と思っていただけるような病院を目指しています。
足のトラブルでは、詳しい原因が見つからず、適切な治療を受けられないままの患者さんもいらっしゃいます。足のしびれやむくみの原因が、実は違ったところに見つかるケースもあります。足病治療を専門にしている当院だからこそ、さまざまな診療科や多職種のスタッフと緊密な連携を取り、スムーズな足病治療を提供できると自負しています。
下肢救済をはじめ、ひとりでも多くの患者さんの足の病気による苦痛や不安を和らげ、些細な悩みでも気軽に相談できる、患者さんの心や地域に寄り添った病院でありたいと願っています。
下北沢病院 形成外科 病院長
菊池 守 先生の所属医療機関
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。