院長インタビュー

一人ひとりの女性の一生に寄り添いたい——札幌マタニティ・ウイメンズホスピタルの特色

一人ひとりの女性の一生に寄り添いたい——札幌マタニティ・ウイメンズホスピタルの特色
髙後 裕匡 先生

医療法人明日葉会 札幌マタニティ・ウイメンズホスピタル 理事長

髙後 裕匡 先生

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医療法人明日葉会 札幌マタニティ・ウイメンズホスピタル(以下、札幌マタニティ・ウイメンズホスピタル)では、“出産”という女性の重要なライフイベントを充実させるべく、さまざまな取り組みを行っています。また、同院では患者さんファーストでありたいという気持ちから、出産を行う女性だけでなく女性の一生に寄り添える病院であるよう医療やサービスの充実に努めています。

今回は、札幌マタニティ・ウイメンズホスピタルの理事長である髙後 裕匡(こうご ひろまさ)先生に、同院の診療体制やサポート体制などについてお話を伺いました。

札幌マタニティ・ウイメンズホスピタル 外観
札幌マタニティ・ウイメンズホスピタル 外観

当院は1975年に、この地域のお産を担う存在になりたいという思いから開院しました。2020年3月現在は、婦人科と産科の二つが大きな柱を担っているほか、周産期医療を支えるべく、産婦人科、小児科、麻酔科*の三つが連携して診療にあたっています。

また、当院では“心のふれあいを大切に あたたかい医療を求めて”という理念に基づいて、さまざまな取り組みを行っています。産科のアメニティの充実や院内の設備整備、コンシェルジュの配備などの取り組みは、患者さんへのおもてなしの心、そして寄り添いたい気持ちから始まったサービスです。院内の保育所や無料送迎バスの運行も、妊婦さんの“困った”というニーズから始めました。医療の質を高めていく努力を怠らないということは、医療を提供する機関として当たり前のことです。それに加えて、サービスやおもてなし、思いやりの心をもって患者さんに接することをスタッフ一同大切にしています。

*麻酔科標榜医:藤井(ふじい) ひとみ先生、木田(きだ) 真紀(まき)先生

診察の様子
診察の様子

“出産”は、女性にとって重要なライフイベントです。そのライフイベントが充実したものになるよう、より安全な出産を目指しています。

そのために、まず出産前に放射線技師によるスクリーニング、胎児超音波検査を行っています。これは赤ちゃんが病気を抱えているかを確認するための検査で、胎児超音波検査によって出産後に外科治療をする必要があるのか診断し、また高次医療施設で治療を受ける必要性が想定される場合には、適した医療機関への紹介を行っています。さらには、当院では34週以降の分娩に対応しており、分娩の際に何かしらの問題が想定される場合には小児科医が立ち会う決まりになっています。このような妊娠に関する検査や、帝王切開での出産および病気のある赤ちゃんを出産する場合以外の分娩に関しては、自己負担となります*。当院における入院費用を含めた出産費用は、帝王切開は63万円、普通分娩の初産婦さんは58万円、経産婦さんは56万円が目安となっています**

そのほか、婦人科では主に一般的な婦人科外来や不妊症治療、良性婦人科疾患などに対する内視鏡手術も行っています。また、がん検診(乳がん検診***も含む)やブライダルチェック****などの各種検診も用意しておりますので、お気軽にご相談ください。

*自治体ごとに妊娠に関する検査についての助成制度を設けているので、お住まいの自治体の情報をご確認ください。また、出産に関しては、健康保険組合から出産育児一時金が支給されますので、詳細は加入している健康保険組合にお問い合わせください。
**入院日数、診療内容によって料金が変わる場合があります。
***乳がん検診に関しては日時によっては対応が難しいため、検査をご希望の方は事前に電話でお問い合わせください。
****ブライダルチェックは自由診療となります。検査一式では15,040円(税別)となりますが、検査内容によって料金が異なるため、検査をご希望の方はお問い合わせください。

当院では患者さんのご希望と状態に合わせて、和痛分娩に対応しています。和痛分娩とは、事前に背中から挿入したチューブに麻酔薬を注入し、出産が終わるまで痛みをコントロールする方法です。ここで使用する硬膜外麻酔には、低血圧やかゆみ、足に力が入りにくくなるなどの副作用や、まれに頭痛や局所麻酔薬中毒などの重症な副作用が出る場合もあります。また、和通分娩の費用は自己負担となり、当院では入院費用を含めて、初産婦さんが73万円、経産婦さんが66万円ほどになっています*

和痛分娩は、現在の当院の体制では完全予約で計画出産の場合のみ対応しています。そのため、和通分娩の予約をいただいていた場合でも、計画している日より前に陣痛や破水があった際には通常分娩に切り替えて対応しています。また、出血傾向のある方や脊椎に異常が見られる方など、状態や体質、既往歴によっては和痛分娩をお受けできない場合があります。そのため和痛分娩をご希望の場合は、事前にご相談ください。

*入院日数、診療内容によって料金が変わる場合があります。

当院には、57名の助産師が在籍しており、院内助産院や各種教室の実施を行っています(2020年5月25日時点)。

当院では、妊婦さんの希望する出産や育児を共に考えてサポートを行うために、“院内助産院すくすく”を設置しています。ここでは、妊婦さんが抱えている不安や心配に感じていることを解消することが目的です。助産師による保健指導をメインで行っており、そのほか助言やご提案を行っています。

ほかにも、“産前・産後教室”も開催しており、妊婦さんの状態に適したクラスを用意しています。産前は“安産体操クラス”や “マタニティアクアビクス”などの出産に向けた体づくりなどを目的としたクラスが設けられています。産後には“1才の同窓会”や “産後エクササイズヨガ”などのプログラムがあり、参加することで周りのお母さんたちとの交流ができ、心強いと感じる機会にもなるのではないでしょうか。

このような多様な取り組みで、当院は出産前から出産後まで、安心して出産に臨んでいただけるようサポートを行っていきます。

当院では、生まれた後の赤ちゃんに対するサポートにも力を入れています。

主な取り組みとして行っているのが、特定の妊婦さんへのサポートです。経済面や精神面などが要因で子育てが難しいと判断される場合や、産後に何らかのケアが必要であると判断された場合などにフォローをしたり、行政への橋渡しを行ったりしています。

そのひとつとして挙げられるのが、特別養子縁組を望まれる方へのサポートです。特別養子縁組とは、予期せぬ妊娠や特別な事情から子どもを育てられない場合に、養親が引き取り法的にも実子となるよう手続きを行うことです。当院では、特別養子縁組のサポート体制を導入したことで、一人でも多くの赤ちゃんが健やかに成長することを願っています。

退院後の約3か月間ご利用いただける、にこにこ相談室の設置も行っています。にこにこ相談室とは、助産師によって実施している取り組みで、お子さんの発育や健康からお母さんの精神的なケアまで、気になることを相談していただける場です。

また、健康面・精神面で何かしら不安を抱える患者さんの中には、まれに入院中に何らかのサインが出る方がいます。そのようなサインを感じ取った際には、助産師や看護師などを始めとしたスタッフが患者さん一人ひとりに適した対応をしたり、電話診療でフォローを入れたりするようにしています。

当院は産科・婦人科・小児科を専門とする病院として、福祉や社会貢献の観点からも積極的に活動を行っていきたいと考えています。

当院では、 “患者さんファースト”の気持ちに基づき、患者さん一人ひとりに寄り添う取り組みを行っています。主な取り組みとしては、病院内におけるコンシェルジュの配備や保育園の設置、無料シャトルバスの運行などがあります。

コンシェルジュは、医療措置以外で当院をご利用の際にお困りのこと、不安なことに関してサポートをしていく役割を担っています。入院の前に院内を見学していただく際の案内などを担当しており、不安要素がなくなるまでご説明行うことを心がけています。そのほか、入退院時のお手荷物を運ぶお手伝いや、スムーズに手続きができるようなサポートを行うだけでなく、入院中のサポートもしています。

“マミーちゃん保育園”では、外来の受診や産科、産婦人科へ入院する際に、お子さんを預けることができます。また、当院では“マミーちゃん会員”というサービスを導入しています。会員限定のサービスが受けられたり、院内の施設の利用の割引が適用されたりする特典があります。

無料シャトルバスについては、コースも工夫して設定しています。単に駅や大通りを走らせるのではなく、“ここからではお子さんを連れて診療に来るのは大変だろう”、“この地域は交通の便があまりよくない”と思われる場所を考慮して路線を作っています。

そのように、当院では入院前から退院まで患者さんの気持ちに寄り添ったサポートを目指しています。

当院では、新たに“さい帯血バンク”への協力を行っています。さい帯血バンクに寄与されたさい帯血は、白血病などの自分で血液を作り出せない病気の方に移植するために使われます。さい帯血には血液をつくるもととなる細胞である造血幹細胞が多く含まれているだけでなく、骨髄よりも移植が比較的容易なため、白血病治療の分野において今注目されている移植です。

また、今後取り入れていこうと思っていることのひとつとして挙げているのは、産後同窓会というイベントです。当院で同じ時期に出産したお母さんとその赤ちゃんにホテルなどに集まっていただき食事会を開催するような企画で、美味しいランチを食べたり講師による子育てのお話を聞いたりする機会を設けたいと思っています。そうすることで、息抜きにもなりますし、ほかのお母さんたちとの交流の場にもつなげることができるのではないでしょうか。

先生

私自身が産婦人科の現場を多く経験するなかで、出産の瞬間に立ち会える、というのはとても幸せなことだと実感しています。幸せな瞬間をお手伝いできることに対する喜びや嬉しいといった気持ちは、産婦人科医としていつまでも忘れないでいてほしいです。そこにやりがいを見出すことができれば、多少つらいことがあってもこの仕事を続けていけるのではないかと思います。医師を続けていくなかには大変なこともたくさんありますが、出産という幸せな瞬間に立ち会いたいと思っていただける方がいましたら、一緒に頑張っていきましょう。

当院では、女性の一生に寄り添える病院でありたいと思っています。そのために、医療の質や社会に貢献できることを原点に立ち返り、常に意識していきます。たとえば、出産のときだけでなく、がん検診や女性特有の病気にも対応できる体制を整えて、困ったときに頼っていただける病院を目指していきます。そのように、女性の一生に寄り添える病院であることが、産婦人科医療を担う病院の役割となるでしょう。

当院では、これからも一人ひとりの女性に寄り添える病院であるように努めてまいります。

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  • 医療法人明日葉会 札幌マタニティ・ウイメンズホスピタル 理事長

    髙後 裕匡 先生

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