
酒さとは、頬や鼻、額などの顔面が赤くなる病気で、成人の女性に多いといわれています。このような症状が慢性的に持続することによって、QOL(生活の質)が著しく低下する恐れもあります。酒さは治療を受けることで数か月ほどで改善することもあれば、なかには年単位で治療が必要なケースもあるとされています。
本記事では、酒さとはどのような病気なのかを詳しく解説します。
酒さの主な症状は以下の4つです。これらの症状のうち1つ以上の症状が見られる場合、酒さを疑います。
また、上記のような主症状に伴い、以下のような副症状が見られることもあります。
酒さは、どのような症状が顕著に見られるかによって以下の4型に分類されます。
顔面が赤くなり、毛細血管の拡張を認めます。
主に、にきびのような丘疹や膿疱が見られます。
鼻が盛り上がる鼻瘤が見られます。鼻の変形や拡大が生じたり、鼻部の皮膚が肥厚したりします。また皮脂腺が増大して、皮脂の分泌が過剰になったりします。
結膜の充血、眼球の異物感や熱感、瘙痒(かゆみ)、乾燥、羞明感(まぶしく見える)などの目の症状が見られます。
酒さの発症原因は明らかではありません。ただし、酒さの症状を悪化させる要因として、以下のようなものがあることが分かっています。
など
酒さの治療を行ううえでは、酒さと似た症状が現れる他の病気との鑑別が重要です。
鑑別が必要な代表的な病気は、接触皮膚炎、花粉症・花粉性皮膚炎、光線過敏症、脂漏性皮膚炎、尋常性ざ瘡(にきび)、毛包虫性皮膚炎などが挙げられます。また、これらと比べて発症頻度は高くないものの、見逃してはいけない病気に、全身性エリテマトーデスや皮膚筋炎などの膠原病、好酸球性毛包炎、顔面播種状粟粒性狼瘡などがあります。
また、これらの病気は、酒さと同時に発症しやすい病気でもあるため、これらの病気を合併していないかについても確認する必要があります。
酒さの治療では、まず日々の生活の中で症状を悪化させる要因を取り除くことを心がけていただいたうえで、症状に合わせた薬物治療や理学療法を行います。
先述したように、気温の変化、日光の照射、乾燥といった外的な刺激は、酒さの症状を悪化させる要因です。そのため、これらの刺激を回避することが症状改善のために重要です。
具体的には、紫外線を予防するためにサンスクリーン剤(日焼け止め)や日傘の使用を促したり、肌の乾燥を防ぐために保湿を中心としたスキンケアを推奨したりします。また、アルコールやカフェイン、香辛料のきいた刺激物も酒さを悪化させる要因となるため、これらを避けるよう指導します。
生活指導を行ったうえで、症状に合わせて外用薬や内服薬を選択します。ただし、日本において酒さに対して保険適用となっている薬剤は数少なく、自由診療として保険適用外の薬剤を使用しながら薬物治療を進めていくのが現状です(2020年8月時点)。
外用薬として主に使用されるのは、メトロニダゾールゲル、タクロリムス軟膏で、いずれも現時点では保険適用外です。保険適用となっている薬剤として、イオウ・カンフルローションが処方されることもあります。内服治療では、丘疹膿疱型酒さに対してドキシサイクリンやミノサイクリン塩酸塩といった抗菌薬の内服の有用性が証明されています。
紅斑毛細血管拡張型酒さに対しては、理学療法としてパルス色素レーザー治療とI P L(Intense Pulsed Light)が有効とされています。ただし2020年8月時点では保険適用外の治療です。
酒さは、長年にわたり症状に悩まされる人もいます。なかには、鼻瘤によって鼻の変形や拡大を伴ったり、結膜炎を生じたりすることもあり、QOLを著しく低下させてしまう場合もあります。しかし、専門医による診断・治療を受けることで、症状の改善が期待できるため、気になる症状がある場合にはためらわずに皮膚科を受診しましょう。
東北大学大学院 医学系研究科・医学部 皮膚科 准教授、東北大学病院 皮膚科 副科長
山﨑 研志 先生の所属医療機関
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酒さと診断されましたが…
2月下旬から顔が赤くなり痒くなったので皮膚科Aでステロイドの内服とボアラを出されました。 ボアラはその後、痒い時に使ったり、使わなかったりで、家にあるロコイドクリームを塗ってみたりもしていました。 使用頻度は毎日ではなく、時々です。 6月下旬に口の周りに細かい丘疹がたくさんできて、皮膚科B行ったところステロイドによる酒さ様皮膚炎と言われました。 おでこにも湿疹、鼻の横や顎も赤いです。 ステロイドとスキンケアをやめるように言われ、リバウンドが来ると言われましたがリバウンドにならず、保湿などしていないため赤くなっているところはカサカサになり皮が剥けましたが、見た目は変化なしでした。 もしかして酒さ様皮膚炎ではなく、酒さでは?と言われ、来週総合病院に紹介状を書いてもらい行くのですが、ずっとスキンケアなしで来ていましたが昨日おとといと、子供の用事で長時間野外にいる事になりメイクをして、メイク落としや洗顔料を使いました。 悪化するかと思いましたが変化なしでした。 保湿なしの初期は赤いところが熱を持っていましたが今は熱は引きました。 酒さではない可能性はありますか? また、総合病院ではどのように診察してもらえるのでしょうか? 念のためステロイドやプロトピックは使いたくありません。
心電図と心エコー
50才台後半男性です。 2023年2月、労作性狭心症でバイパス手術を受けました。 その後、循環器内科のかかりつけ医を探して、内科的治療を受けています。 手術した病院、かかりつけ医ともに、心筋にダメージはないので、運動制限はなく沢山運動して下さいとの事でした。 その後、過去の心電図を見直すと異常Q波がみられます。かかりつけ医に質問すると、心エコーで心筋の異常はないので運動制限なしで良いとの事でした。フルマラソンも構わないとのことです。 心電図と心エコーでは、心エコーの結果がが優先されるのでしょうか。 また、CPX試験では同年代の男性より結果は良く、運動療法処方箋では心拍数95〜100を目標に30分以上の有酸素運動を3回/週以上、心臓リハビリ中は心拍数120を超えないようにとのCPX試験を担当した医師の指示です。 よろしくお願いします。
リンパ節転移の場合の5年生存率
術前タイプ1ステージ1Aで子宮卵巣全摘と骨盤内リンパ節郭清を行い、術後検査結果待ちです。術前からリンパ節が怪しく、後日取るのは大手術になるので念のため骨盤内のリンパ節は取る計画でしたが、術後の説明でも、やはりとったリンパ節が見た目で怪しいとのこと。術中生検の結果を聞いたところ、先生はしない主義だそうで、骨盤内だけリンパ節を取って閉めたそうです。来週術後病理検査結果を聞きに行くのですが、骨盤内リンパ節に転移していた場合はステージ3ということかと思われます。当該病院のHPでは子宮体癌の5年生存率はステージ1で96%程度、2と3で90%程度と、かつて50%程度だったステージ3の生存率が大幅に改善している理由として、原則として傍大動脈リンパ節まで郭清するようになって改善したとあります。家内についてはステージ1Aとの前提で腹腔鏡手術の上、骨盤リンパ節郭清のみで傍大動脈リンパ節郭清はしていませんが、5年生存率はかつてのステージ3の50%程度に下がるのか、あるいはそういう人も含めて今は90%なのだからそんなに悲観しなくていいのか、それでも傍大動脈はリンパ節郭清していないのだから80%くらいには下がるのか、心配です。また、このようなリンパ節が疑われる手術で術中に生検しないことには、先生はそういうことはしないとのことでしたが、一般的に見て合理的な理由はあるのでしょうか。
睡眠時間の減少について
約3週間ほど前から睡眠が浅くなっていると感じます。 元々多少前後することはあっても23時頃に寝て6時頃起床する生活を送っていました。ですが最近週4日程度のペースで22~0時頃に入眠すると午前2~3時頃目が覚めてしまいなかなか寝付けなくなってしまいました。活動状況は様々で1日中動き回った日でものんびり過ごしていた日でも同様です。 どのような原因が考えられそうかご意見いただけたら嬉しいです。
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